目指せへいおんライフな私の異世界物語!?波乱万丈はお呼びではありません!
おいしいクルミ
プロローグ
第1話プロローグ1
「もーしわけない!!」
目の前に土下座をするおじいさん。
……いや、なぜこうなった!?
~時をさかのぼること数時間前~
私は、アメリカの某有名H大学の卒業式に出席していた。私は日本人であるが、学校、親族、多くの人に勧められこの大学に入った。主席での入学。首席での卒業。誰もが認める優秀者だった。
中学生のころ、飛行機の事故で親を亡くした。両親は世界に名をはせる研究者であり、世界をとびまわるか、研究室に引きこもっているかで、家にいることは少なかった。昔からである。
小学2年生の夏休み、友達は家族と旅行に行くのだといった。みんな楽しそうに夏の計画を話し出す。話を振られて悲しくなった。夏の計画なんて存在しないのだ。それでも両親が嫌いかと問われれば否と答えていた。
両親は優秀だ。テレビに出て難しい話をしていたのも知っている。尊敬していた。少しでも二人に認められたいと思った。
そんな時に見つけたのはリビングに「処分」と書かれて積み重なっていた論文の数々だった。どうせ捨てるものだ。私はそれをもらって読み込んだ。最初こそ理解ができなかった。小学2年生に理解しろとは難しい話である。しかし、私の頭は親譲りの馬鹿でかい容量の脳だった。わからない単語を調べ、一つずつ理解していった。
夏が終わるころ、私は中学までの学習内容を自然と理解していた。知識を得ることはただ単純に楽しかった。バカみたいな容量の脳に次々に入っていくのだから。
日に日に私は子供らしさをなくしていった。口から出る言葉、頭の回転が同年代の人とかけ離れてしまったためだ。もともとフレンドリーで、おしゃべりが好きで、明るい性格であったが、次第に孤立していった。そして、それが余計に私を知識へと執着させたのである。
周囲の大人は「天才」と騒ぎ立てた。最初のころはうれしかったが、次第に覚めていった。
両親が私を認めるといわぬままこの世を去ってしまったからである。
そして、親戚は私の引き取り先でもめた。私はもうそんなことはどうでもよかった。お金なら、両親が残したものがたっぷりある。ぜいたくしても一生困らないくらいには。
一人でやっていくと宣言すると子供だけでは、とたくさんの人に言われたが今までとなんら変わらないのである。実際には。
両親の残した論文がすべて読み終わると図書館の本を全制覇しようと考えた。そして、幼児本など一部を除いて達成した。一生使わなさそうな雑学や専門書まで読み漁った私は、それらすべてを記憶していた。後から考えればものすごいことである。
いろいろあって、大学に進み、今日の日を迎えた。相変わらず「天才」だと騒ぎ立て、関係者になろうとしてくる大人たちに飽き飽きし、式が終わってすぐに出てきた。
近くの公園に入ってなんとなく空を見上げた。綿あめのような雲が空にかかっている。そんなときだ。突然雷が落ちてきた。真上から。誰かがピンポイントに狙って落としたかのように私の真上だった。
そして現在に至る。死んだのだろうか?あまり痛みはなかったが。しかし、まあ、とりあえずは前の老人である。さっきから土下座体勢で動かないんですけど?
「あの…。顔、上げてください。あなたに謝られるようなことをされた覚えはありませんし・・・・・・。何よりあなたは誰ですか?」
ゆっくりと顔をおあげた老人は、今にも泣きだしそうな顔をしていた。
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