216話 動き出す世界と世界の国々・・・・・・3

 アースティア暦 1000年・西暦2030年・7月5日・午前9時36分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・アイリッシュ湖畔・ダバード・ロード王国・アルインランド州・州都・ベルクラネル市・ベルクラネル港周辺・西方面海自派遣艦隊・通称・ダバード・ロード王国派遣艦隊・略称名・ダバ派遣艦隊・つがる型揚陸護衛艦各艦の停泊地周辺にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 全艦隊の出港まで残り数時間、つがる型揚陸護衛艦が停泊して居る船付き場では、続々と魔導機兵の機体を載せた荷台車たるキャリアーを重騎竜トリプトドンに引かれながら艦内へと格納されて行く。


 ドスンッ!!!ドスンッ!!!ドスンッ!!!ドスンッ!!!ドスンッ!!!ドスンッ!!!


「うわーっ!流石に近くで見ると、竜って奴はっ!!ホンと迫力あるっすねっ!!」


「ああ、そうだな。」


 足音を立て、咆哮の雄叫びを耳にして居る海自隊員達は、大分見慣れては来ては居るが、やっぱりまじかで見る竜の勇ましく歩いて行く姿に圧倒されてしまう。


 だが、そんな彼ら達は、その迫力とは裏腹に、別の問題に直面して憂鬱と成ってしまうのであった。


ドスンッ!!!ドスンッ!!!ドスンッ!!!ドスンッ!!!ドスンッ!!!ドスンッ!!!


「だがな、これでは後で掃除と床の修繕と整備が大変だな。」


「そうっすねっ!敵に回らなきゃ、こいつ等も利口で可愛いもんですけど・・・・・・・・・・・・・」


 まだまだ新型艦でも有るつがる型揚陸護衛艦のつがる・おしま・おが・おもえ・まつまえの5隻の艦内の床は、ピカピカの新品に近い姿を残して居るので在るのだが、其処に竜の蹄後や多少の尿の匂いがこびり付いてしまう事に、整備や誘導に関わる隊員達は憂鬱な思いであった。



 つがる型揚陸護衛艦内では、海自隊員達とダバード・ロード王国軍や魔導技術省に委託された魔導士達が、日本国へ向けて輸出される様な形で、反帝国同盟間の間で開発・生産・共有流通されて居る魔動機兵・ナイト・マギアの比較的使い古された機体が搬入作業に追われて居た。


 隊長用魔動騎機兵級・ライト・シュヴリェが10機



 魔導師用魔動機兵級・ビショップ ・マキナが10機



 主力魔動機兵級・ポーン・ヘッド10機 


 以上の3種機体、全部併せて30機が日本国へと無償譲渡される。


 搬入先として、つくばみらい市の筑波大学研究施設へと運ばれ、一部は演習場で耐久性テストを兼ねて破壊される予定だったが、この度の船旅で十分な実戦データが取れた為に、その全ての機体が研究施設とへお蔵入りが決まった。


「これが噂の魔導技術で動くロボットですか?」


「全長30メートル、総重量が約330トンくらいですか?」と、著名な五台合体ロボットの説明文をそのまま棒読みにしたかのように言って居る。 


「よくもまあ、こんな寸胴な機体を動かせる様にしたもんだなぁ・・・・・」


「全くですよ。」


 機体の搬入と調査の為に国内メーカーに先駆けて先行してやって来たこの二人は、カワカミ工業の小見川忠司とモトダ技研工業の望田隆史と言う普段は国内の支社工場で新車開発エンジニア関連の業務をして居る二人が全く未知の技術で作られた2足歩行ロボットが搬入される姿を見て居た。


「伝え聞く話では600年以上もの昔の未知のオーバーテクノロジーが、あの機体たちの基礎技術の基に成って居るとか?」


「ああ、成るほどな。見た目と中身を真似るだけで、その過程が如何してそうなったのかを解析して居ないから、こう言う劣化コピーの機体が生産され続けて居ると言う訳なんだな。」


「ですね。単純に機体を真似た再現しようとして、開発過程に必要な間の基本技術をすっ飛ばした結果、この様な歪な機体と成ったみたいですね。」


「これを家のモトダや小見川さん所のカワカミ、それに防衛産業の大半を引き受けている三葉重工で、完璧な物に仕上げろって言うのも無茶な話だよ。」


「常陸那珂製作所や東柴田電機工業(東柴)が電装部品や大松製作所のパーツの下請け生産を受ける話が無かったら、今頃は如何なって居た事やら。」


「確か・・・・・これ一機を真面な値段を付けて機体を作り上げるのに、一から設計して仕立て直しした機体を作ると成ると、その価格が10式戦車が10両から15両が楽に作れるって聞きましたよね。」



「ロボットなんて物が活躍できるのはアニメの中だけなんだよなぁ・・・・・・」


「そうですね。ガチンコで剣の斬り合いや銃の撃ち合いするのは無駄な気がします。」


「政府の連中は、我々の所属するトップ企業に、機動戦士ガルダムやマシンダーZに、機動警察ポリスレイガー、闘将ロボット・ダイガモスでも造らせる気か?」


「俺達はスーパーロボットやリアルロボットが出て来る様なロボットアニメ設定上の超科学研究所やロボット重工業開発メーカーじゃ無いんだけどな。」


「くくっ、確かにそれは笑えませんね。日本の重工業会社の地下には、高出力研究所の様な秘密基地やアナハインズ・エレクトロニクス社のようなロボット工場は有りませんからね。」


「でもなぁ・・・・・・」


「言いたい事は分かります。況してや変形戦闘機ロボットのヴァルキュリアや小型のスコープ・ウルフに、絶対に作れそうにないエブァンゲリアンを造れと、俺達の会社に無茶振りを言われるよりは遥かにマシですよ。」


「それに日本政府を始め、異世界諸国の莫大な投資付き、それも関わった全ての会社にお金が入るって話は国内の機械工業系の各社に取っては無視できない話ですからね。」



「特にモトダさんはダバード・ロード王国からラブコールが来て居るんだって?」


「ええ、家の社長からは期待して居るって、私の所の開発チームに言われちやって、ホンと困ったもんですよ。」


「まぁ、この戦争中の異世界じゃ、俺達の様な機械加工屋の取引先きは引く手数多だからな。取り合いに為らないのも考え物だ。」


「ですね。近代化工場がこの世界には在りませんから、メーカーから商談に乗り込んだり、売り込みの為に敢えて懐に入ったもん勝ちですしね。」


「だが、そんな大企業でも油断はしては居られん。」


「はい。聞く所に由れば、各地方の中小企業にもお声が掛かって居るとか?」


「ああ、其れに付いては俺も噂話くらいは聞いた。言い値で資金を出すから海外進出して欲しいとも言って来て居るらしいな?」


「戦時下での下剋上ですか?そりゃ、怖いですねーっ!」


「だが考えようによっては、米国や欧州に中国と言ったライバルメーカーが少ない分、中小企業に取っても、ビジネスチャンスでもあるんだ。」


「それに力を持って居るとしても、台湾とタイ、ベトナム、インドネシアなんかの下請け企業くらいだろう。」


「ここら辺は元々日本や中国資本が多いから下手にライバルを目指す事よりも、身体を大きくしようとするから、当面の間は脅威とは言えないからな。」


「はい。しっかりとした根をこの世界中に張る事で、この世界の大半の生産品は、日本(家)の国が牛耳る事に成りますから・・・・・・・・・」



 この二人の様にダバ派遣隊に同行する形で、先行してダバード・ロード王国に乗り込む事で、転移災害で失った支社工場や取引先を新たに手に入れようと動く、日本企業や地球転異諸国企業の動きが活発に成りつつある。

 


 魔導機兵の研究開発は、その下地になる巨大なプロジェクトの一つと成って居た。



 他にも空中船の新規開発プロジェクトや大陸横断鉄道計画等と言った、巨大な多国間ビックプロジェクトが、東京サミットの後に次々と立ち上げられて行く事に成る。


 此処に居る二人は、その先駆けの交渉を任されて居たのである。



 それとは別に、つがる型揚陸護衛艦・2番艦おしまの艦内にて搬入作業を手伝うダバード・ロード王国の姿も多く見られて居た。


「シラインさーんっ!!1番艦つがる、2番艦おしまへの搬入が終わりましたーっ!!!」


「ご苦労様でしたウインハルン。」


「しかし意外ですね。シラインさんってば、直ぐにでもリナ先輩の所に飛んで行くと思ってましたけど・・・・・・・」


「意外も何も、今回の仕事は女王陛下直々の公務ですわ。」


「私達は魔導学園の大学生と言え、今回の国際会議と随行は、あくまで若手魔導技師の育成が目的ですの。」


「血税の国費を使っての外国へのお出かけなんですから、公私混同は避けるのがマナーですのよ。」


「本音は・・・・・?」


「それは決まってますわっ!!今すぐリナ先輩のぺったんな絶壁の胸の懐へと飛び込んで、あああっ!!先輩ーーっ!!貴女のサミーは貴女のすぐ近くにいぃぃぃーーーーっ!!ぜーはー、ぜーはー、えへへへへっ!!」


 サミー・シライン18歳。


 リナの後輩の魔導師で物質転移や各種魔法が得意とし、リナの故郷であるトキアード市のトキアード市立魔導総合学園の大学部に通う魔導学生である。


 序でに言うと極度の百合系性癖のド変態である。


 その隣に居るのは、同じ大学に通うアッキー・ウインハルン18歳で、ゴーレム生成と魔動人形の使い手だが、日本と関わりを深めた事で後に電子通信士の才覚を開花させる事に成って行く。


此方は真面な性格なので、どうかご安心を・・・・・・・・・・・


 シラインは、地味で口の悪いリナから痛烈な罵詈雑言を浴びせられ、ドМな変態に目覚めた経緯から、こんなド変態の性格と性癖へと仕上がって居た。


 だが、二人を含めたリナの後輩達は、ここ数年間の間、リナと音信不通と成って居たが、今回久し振りに、その消息を自国の女王であるアーヤから聞き付けて居たが、学生でありながら国費を使って、次世代の人材育成を目的に魔導機兵の管理や魔導関連のアドバイザー役として、日本へと渡航する事と成って居た。


 しつこい様だが、幾らド変態でも常識を持ち合わせて居るシラインは、憧れの先輩が近くに居ると分かって居ても、直ぐに会いに行く事は憚られるとして、職務を優先して居た。


 そう、幾らド変態な性格でもな・・・・・・・・・・・・・・・・・


「また、やってるの?」


「ええ、そうなんですよサティンさん。」


「まぁ、放って置くしかないですけど・・・・・・」 


「流石に身内の前なら構いませんけど、此処は外国船の中ですわよ。それも軍船の・・・・・・」


「ですね・・・・」


 同じく学生随行員として参加して居るカナリエ・サーティーンとミナ・コーネリア・コンゴルンの二人も呆れ顔で現れ、身内の恥と言うより故国の恥に成り兼ねないと、妄想に耽る友人を止めに入るのであった。




  アースティア暦 1000年・西暦2030年・7月5日・午前13時02分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・アイリッシュ湖畔・ダバード・ロード王国・アルインランド州・州都・ベルクラネル市・ベルクラネル港周辺にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「各国の全艦隊、出港準備が整いました。」


 笹沼彰二佐の最終報告を聞いた置鮎一佐は、頷いて答える。


「これから先が、如何なる事やら・・・・・・」と置鮎一佐は続けてポツリと小さい声で呟く。


 この反帝国同盟諸国が集まり東京サミットの推移如何では、この先の世界の運命が決まると言っても差し支えないと言えた。


「先鋒艦隊より連絡。はやぶさ隊、護衛艦くらま・あしがら・いかづち・いなづま・とね・ちくまの各艦出港するとの事です。」


「了解した。各艦隊は事前の打ち合わせ通りに随時出港。進路を日本へ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



 ダバ派遣隊の長い旅路は、これでようやく折り返しと成るが、来るときよりも格段に楽な旅路と成るだろう。


 こうして、ダバ派遣隊を含めた反帝国同盟諸国の要人を乗せた東京サミット訪問使節艦隊は、その帰り道の途上にて、シベリナ連合の同盟に属して居るアセリナ王国・アルガス公国・ラクロアナ王国・ドラグリア白龍大帝国の政府要人と合流をしながら日本へ向かう。


 まぁ、その途中で国家元首がもう日本に関わって居るの?とか、「もうエリン様は、またまたお国を長らく不在にした全くっ!!」とか言われて居る光景を目にする事も有ったが、護衛して居る置鮎一佐達は、そんな光景を見ては常に苦笑するしか無かったと言う。


 更にこの会議には中立国や南方の国々もやって来ると言う話を聞き付けて居たが、置鮎一佐達が、その詳細を聞くの帰国直前に成ってからに成るだろう。



 これでこのアースティア世界の時代は、次のステージへと進んで行く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


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