160話 移動要塞戦艦デストロイヤー再びっ!この泥沼な大紛争に、中二聖天使と雷帝の手で終止符をっ!12

 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月20日・午前14時21分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア城・セイジョン・ローグリア城各周辺及び第二防衛ライン・ナガシノ野戦陣地全域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





特科大隊と普通科部隊による怒涛なる砲撃と連続発射された誘導弾。そして、空海航空隊による航空爆撃の連続攻撃を移動要塞戦艦デストロイヤー喰らわせる。



 その中を10戦車12両・16式機動戦闘車4両・87式自走機関砲8両・87式偵察警戒車8両・89式装甲戦闘車5両・軽装甲機動車12両等が、それぞれに左右部隊に分かれて突き進んで行く。


 機甲科部隊を率いる椎名ひかる三等陸佐は、日本でも珍しい女性戦車乗りにして、若くして指揮官に抜擢された人物でも有る。



 ひょっとしたら、今回の海外遠征での成績次第で昇進も有り得る可能性を秘めていた。


 一方の冬眞友紀一射も、戦車乗りをして居る女性自衛官の1人で、とても指揮能力、特に部隊指揮の補佐が非常に良いと言われていた。


 特に今回の派遣に措いて、戦車隊に選抜で女性指揮官の派遣が決まり、その相棒とするなら女性の方がやり易いのでは?と言う意見も有ったらしく。


 スキルアップも兼ねた人員の派遣が決定されて居た。


 陸海空の自衛官達のスキルアップを目的とした選抜派遣は、陸自でも将来の多くの女性を登用された場合を見越しての派遣だった。


 日本政府や防衛省が目指したその狙いは、どうやら成功した様であった。


「冬眞っ!北側の32体は任せるわよっ!」



「了解っ!」



 椎名三佐は冬眞一射と通信で連携を取りながら、巨大な移動要塞戦艦デストロイヤーを横目にしながら敵へと前進して行く。


 ナガシノ野戦陣地へと進軍して来ているエレクドラリュウム・ゴーレム65体は、時速20キロと遅い速度で、ナガシノ野戦陣へと歩いて向かって来ていた。



 部隊編成は、以下の通りである。


 椎名三佐 10戦車6両・16式機動戦闘車4両・87式自走機関砲4両・87式偵察警戒車4両・軽装甲機動車6両。


 冬眞一射 10戦車6両・89式装甲戦闘車5両・87式自走機関砲4両・87式偵察警戒車4両・軽装甲機動車6両。



 火力面では相手が上だと言えるが、命中率と速度と兵器の質だけを言うのなら、自衛隊側に圧倒的な有利と言えた。



 空では空海航空隊が奮戦し、遠くから特科大隊とアルガス大砲大隊が必死に攻撃している。


 エレクドラリュウム・ゴーレムは、移動要塞戦艦デストロイヤーの周囲に敵を近寄せない事と高火力兵器でデストロイヤー共に敵を蹂躙して行く事を目的としていた。


 エンジンを響かせ、10戦車を先頭に立てさせた陸自機甲科部隊は、エレクドラリュウム・ゴーレム隊と激突した。


「敵の鋼鉄地竜隊が、物凄い早さで接近っ!」


「エレクトリュウムマギウス砲を発射するぞっ!」


「各魔導師は詠唱開始せよっ!」


「「「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!!!」」」」」」」



 エレクドラリュウム・ゴーレム隊を率いる魔導師隊長は、エレクトリュウムマギウス砲を撃ち放つべく、魔法詠唱始めた。



 キュイイインンンっ!と言う駆動音と共に、頭部の額に有るエレクトリュウム結晶石が光り輝き出して行く。


 其処から放たれるのがエレクドラリュウム・ゴーレムの唯一の敵殲滅兵器であるエレクトリュウムマギウス砲。


 エレクドラリュウム・ゴーレムを一体、一体を操っている魔導師達によって額のエレクトリュウム結晶石に魔力チャージが成されて行く。



「敵各ゴーレム兵器っ!魔導砲撃の発射体勢に入りましたっ!」


「敵目標のウィークポイントは、頭部額部分のエレクトリュウム結晶石よっ!」


「第一中隊・10各車っ!良く狙って・・・・・・撃てえええええぇぇぇぇぇーーーーーっ!!」


 ダダッダーーーーーンッ!!・・・・・・・・・・



 10戦車の44口径120mm滑空砲発射が北側と南側で発射音が鳴り響いた。


 ダンダンダンッ!!、ダンダンダンッ!!!


 ダダッダーーーーーン!!!



 それに遅れて、16式機動戦闘車と89式装甲戦闘車の発砲音が戦場に鳴り響く。


「此方第二中隊っ!敵ゴーレム8体を撃破っ!」


「此方は9体よっ!」


「椎名三佐っ!新手のトリプトドンにフレイムランドドラゴン。」


「更にそれ等に加え、騎兵や重装甲歩兵を合わせて2千が接近して来ます。」



「其方には我々で対処します。」


「背中は、任せたわ。」


 87式自走機関砲4両・87式偵察警戒車4両・軽装甲機動車6両の3部隊は、新手とし現れた部隊へと攻撃を向う。


 敵には攻撃ヘリの様な存在の兵器と呼べる存在はワイバーンくらいしか無いので、上空の制空権は、空海両航空隊が取って居る。


 そのお陰で陸自車両装備が縦横無尽に行動が出きて居た。


 グリクス地方軍団・レジェンダリア諸島遠征軍・重機動師団の最後の生き残り部隊は、全部で4千人程度だった。


 陸上魔導輸送艦による部隊の入れ替えを行いながら戦線を維持して来たが、流石に短期での激しい戦力の消耗と補給路が断たれた事で、完全に打ち止めと成ってしまった。


 その4千人の軍団は、陸自機甲科部隊が前線へと前進突出による攻勢に出て来たと見ると、迎え撃つべく前進を開始する。


 彼らは戦術的に有利な手段として、移動要塞戦艦デストロイヤーから搬出されたエレクドラリュウム・ゴーレム隊との連携を目論んだ。



「何と言う事だ・・・・・・瞬く間に、17体のエレクドラリュウム・ゴーレムをあっと言う間に、討ち取るとは・・・・・」


「隊長っ!早くっ!エレクドラリュウム・ゴーレム隊の連携をっ!」


「でなければ、敵は速度を利用して、我らを良い様に翻弄して来る恐れがっ!」


「分かって居るっ!敵は少数だっ!数で押して取り囲めえええぇぇぇーーーーっ!!」


「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!!!」」」」」



 彼らの目論みは半ば瓦解してしまう。何せエレクドラリュウム・ゴーレムは、日本人が良く知って居るスーパーロボットよりも足回りが悪く、とても遅いのだ。


 重騎竜のトリプトドンや火竜のフレイムランドドラゴンの方が、走しるのが早かったりする。


 重機動師団は、これまで陸自機甲科部隊によって、再三に亘って、嬲り殺されて行った同僚達の仇を討たんと突撃方位をして行く。


「俺たち87RCV隊が牽制するから、LAV隊は01ATMで、87AW隊は後方からの援護を願いたい。」


「了解した。」


「戦車隊等が、敵高火力兵器と対峙している状態では、高軌道と火力を活かした戦い方が妥当だろう。」


「では互いの健闘をっ!」


 この混沌とした戦場では、逸早い判断と臨機応変が求められる。


 早い話が、色々と組織的な縦割りは大事だが、本番では協力し合って使える手段は何でもするのが正しいのだ。


 だから彼らはこの戦地に措いて、常日頃やって居る縦割りや訓練の垣根を越えた連携攻撃を次々と敵に仕掛けて行った。


「突撃方位をして来る敵部隊を牽制するぞっ!撃てっ!」


ズダダダダダダダッ!ズダダダダダダダッ!ズダダダダダダダッ!


ズダダダダダダダッ!ズダダダダダダダッ!ズダダダダダダダッ!


ズダダダダダダダッ!ズダダダダダダダッ!ズダダダダダダダッ!


ズダダダダダダダッ!ズダダダダダダダッ!ズダダダダダダダッ!



 87式偵察警戒車4両の25ミリ機関砲が、一斉に撃ち放たれた。


 竜達には皮膚表面を傷付けられる嫌な攻撃に過ぎないが、それでも何百発もの弾を撃ち込まれては、流石に竜達も怯んで、その足を止めてしまった。



「今だっ!」


「01ATMっ!撃てえええええぇぇぇぇぇーーーーーっ!!」



バッ!シウウゥゥゥーーーーゴオオォォォォォーーーーッ!!!


バッ!シウウゥゥゥーーーーゴオオォォォォォーーーーッ!!!


バッ!シウウゥゥゥーーーーゴオオォォォォォーーーーッ!!!


バッ!シウウゥゥゥーーーーゴオオォォォォォーーーーッ!!!


バッ!シウウゥゥゥーーーーゴオオォォォォォーーーーッ!!!


バッ!シウウゥゥゥーーーーゴオオォォォォォーーーーッ!!!



 軽装甲機動車隊6両の上部ハッチから身体を出して居る隊員が、01式軽対戦車誘導弾6発が撃ち放たれて行く。



 ドッカアアァァァーーーーンッ!!!・・・・・・・・



「俺達も続くぞっ!」


「目標っ!敵重機動師団っ!」


「撃てえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」



ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!


ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!


ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!


ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!


ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!


ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!


「次弾ヨシっ!」


「撃てっ!」



 87式自走機関砲の35ミリ高射機関砲の水平射撃で、重機動師団の竜達をタコ殴りにし、騎乗している騎士達は粉微塵と成って行った。



 軽装甲機動車隊では、装填をし終えている01式軽対戦車誘導弾が再び撃たれた。


「数が多い。囲まれるなよっ!」


「移動するぞっ!」



 各部隊は、敵をかく乱しながら、敵を次々と討ち取って行くのであった。






「各車各砲っ!」



「撃てえええぇぇぇーーーーっ!」



ズドドンッ!!ズドドンッ!!ズドドンッ!!ズドドンッ!!ズドドンッ!!


ズドドンッ!!ズドドンッ!!ズドドンッ!!ズドドンッ!!ズドドンッ!!


ズドドンッ!!ズドドンッ!!ズドドンッ!!ズドドンッ!!ズドドンッ!!


ズドドンッ!!ズドドンッ!!ズドドンッ!!ズドドンッ!!ズドドンッ!!




 特科大隊は、移動要塞戦艦デストロイヤーを破壊すべく、奮起していた。


 何百発もの榴弾の雨を降らせつつ、アルガス魔導師団と大砲大隊も加わって居る大規模な攻撃にも耐えて居たが、あちこち装甲の表面に皹が入りつつあった。


ドカドカドカッカーンッ!!ドカドカドカッカーンッ!!


ドカドカドカッカーンッ!!ドカドカドカッカーンッ!!


ドカドカドカッカーンッ!!ドカドカドカッカーンッ!!


ドカドカドカッカーンッ!!ドカドカドカッカーンッ!!


ドカドカドカッカーンッ!!ドカドカドカッカーンッ!!



 耐久限界が来ていた。外からの激しい振動と爆撃に、ミサイルによる貫通爆破の攻撃に、移動大要塞兵器と言えども、流石に疲労が見え始めていた。



「各艦っ!各隊へっ!目標っ!移動要塞戦艦デストロイヤー・・・・・・・・・」


「目標のロック完了・・・・・・・・・・・」


「てえええええぇぇぇぇぇぇーーーーーーーっ!!」



 ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!と唸りを上げて天高く、北側と西側から自衛隊初と成る陸海同時に発射した多数のロケット兵器。


 ダバ派遣隊は、陸海空の3自衛隊によって、4度目の誘導弾攻撃を仕掛けていた。


「まだが、まだが?」


「デストロイヤー砲の熱源を確認っ!」


「くそっ!」



 置鮎一佐が緊張と疲労感からイラつく中で、再びデストロイヤー砲の発射がされようとする。





「わしらに任せて置けええええぇぇぇいいいぃぃぃぃーーーーーーーーーーーっ!!」



 エリン達が前に出て、ドラグシールドを広域展開させ、日シベ合同作戦軍の全軍を守って居た。


 彼女達ドラグリアの面々が一気に止めの一撃を放てないのは、最後の手段で有り、魔力の大半を防御に回し、力を温存して居るからだった。


 最大の攻撃力を有して居るドラグリアの白竜人達が撃ち放つドラグバスターは、本当に最後の一撃を撃ち放つ手段なのだ。


「リナっ!まだかっ!?」


 エリンは高位魔導師や高位種族達だけが、使えて居る魔法念話通信を使って叫んだ。


 リナはデストロイヤー2号機艦の射程に捕らえたナガシノ野戦陣地北側塹壕戦線の最前線に立って居る。目の前にはエリンが立ち塞がり、敵の攻撃からリナを守って居た。


 リナは、最大威力のサンダースレイブを撃つ為に、15分くらい魔力の収縮圧縮とその塊を形成するの事に集中し、多く時間を掛けていた。



「ううっ、此処まで威力を上げた事は余り無いけど、物凄い魔力が凝縮された雷撃よ。」


「これでアレを鉄屑にしてやるっ!!」



「みんなっ待たせたわねっ!!やるわよっ!!」



 リナはキリッとデストロイヤー2号機艦を睨んで、最終詠唱を始めた。




「我は風と天と請い願わん、我と汝ら世界の理を操りて、我の前に立ち塞がる全ての愚かなる者共にっ」




 呪文を唱え始めると、バチバチと手の平の中で、此れまで無い大きく巨大な丸い電撃光球が光輝いていた。



 濃い魔力が合わさり、風力と雷力の魔法が渦を巻く様にして、ロングヘアー金髪や自慢をして居ない悪評が立ち過ぎている巨乳が、ゆらゆらと揺れ動いて居た。



 リナは撃ち放つ体制を取ると、戦場に声高く叫んだっ!




「等しく雷帝の裁きを与えん事をーーーっ!!」



「喰らえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」



「サンダースレイィィィブーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっ!!!!」



「者共っ!退避するぞっ!」



 エリンはタイミングを計って配下の白竜人騎士と白龍族と共に空高く舞い上がって前線から退避して行く。



「サシバリーダーより各機へっ!全機っ母艦へと全力で退避いいいいいぃぃぃぃぃーーーーーーーーーっ!!!」



 神谷達も急ぎ攻撃を止めて、全速力でしょうかくとずいかくが停泊している方角へと、退避行動を取って行った。



 その数秒後、サンダースレイブの直撃を正面から受けたデストロイヤー2号機艦は大爆発を起こして沈黙するのだった。



「デストロイヤー2号機艦が沈黙、敵の高主力魔法攻撃による物だと思われますっ!」


「くそっ!敵には、その様な高位魔導師が敵方に居たとは・・・・・・・・・・・・」


「ええいっ!!!こう成っては、この艦が、如何なっても構わんっ!!!」


「デストロイヤー全ての砲門で、敵を殲滅するぞっ!」


「撃ち捲くれえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーっ!!!」


「ははっ!」


 ギンジェム大佐は、直も戦いを続けようと、たった一艦と成ったデストロイヤーで、攻勢を続けるべく、全力で砲撃を始めた。


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