151話 移動要塞戦艦デストロイヤー再びっ!この泥沼な大紛争に、中二聖天使と雷帝の手で終止符をっ!3

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月20日・午前10時43分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島南部・ジャイアガル島・ジャイアガル軍港基地周辺水域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




 洲崎二佐が率いるダバ派遣艦隊の第3護衛艦隊は、東へと進み、もう間も無く第一攻撃目標地点であるジャイアガル島・ジャイアガル軍港から10キロ地点へと到着しようとしていた。



「洲崎二佐っ!間も無く、敵に占拠されているジャイアガル島・ジャイアガル軍港基地が我が方の射程内に入ります。」



「石井三佐から通信です。」


「繋いで。」


「洲崎二佐、此方はカントルナ砦と軍港を陥落させた。」


「拍子抜けする位に、余りにも呆気なかったよ。」


「其処で置鮎司令官とも話したが、本隊に合流する予定を変更して、其方へと向う事に成った。」


 階級が下である石井三佐の口調が、洲崎二佐に対して、やや馴れ馴れしいが、現場主義で、出世に余り無頓着な彼は、実は洲崎二佐から見れば年上なのだ。


 一方のチョッとだけ頼りない性格をして居るが、いざと成ると本気モードに成ってしまう洲崎二佐は、女性でも成るのには大変難しいと言われている艦長職に憧れ、頑張って二佐を目指して居た事も有って若くして出世を成し遂げていた女性自衛官なのだ。


 二人は演習などで、時折会う事も有ったので、会話がやや砕けて居たのであった。


「了解しました。」


「ですが、今からですと、間に合わないかも知れませんよ。」



「それも織り込み済みだ。」


「間に合わなかったら南側を哨戒しつつ、南部の敵拠点を貴隊と共に破壊して回るの事を命じられて居るよ。」



 カントルナ砦と軍港を陥落させた石井三佐は、思って居たよりも早く簡単に占領されたカントルナ砦の陥落を確認すると、次の行動を如何するのか決め兼ねた。


 このまま本隊に戻っても、作戦を切り上げるのには、ちょっと早過ぎると感じていた。



 其処で次の行動を決める為にも、日シベ合同作戦軍の司令本部と成って居るいずも型ヘリコプター搭載護衛艦かがに居る置鮎一佐と連絡を取る事にしたのである。


 総司令と現場司令官との話し合いの結果、第3護衛艦隊とはやぶさ隊を合流させて、そのままブラキュリオス湖南部のグリクス地方軍団の要地を叩き潰す事と成ったのである。



「状況次第だが、龍雲海へと続くと言うシャッポロ川へと突入して北シャッポロ川周辺の砦や基地とその周辺の港も、我が隊のはやぶさなら小回りが利いて、やり易いだろうしな。」


「この際、徹底的にですか?」


「そう言う事らしい。」


「置鮎司令は、グリクス地方軍団の軍事活動を1年から半年程度にまで機能停止に追い込む積もりの様だ。」


「グリクス地方軍団に取って、その被害もかなりの物に成るだろうな。」



 帝国に取って、このブラキュリオス湖・レジェンダリア諸島に措いて、日シベ合同軍との戦いで敗戦と言う結果が確実と成るであろうグリクス地方軍団とその軍団の壊滅。



 そして、先の日本近海での2度に渡る海戦である龍雲海置沖海戦に措いて、一度目は時空転移で国内外が混乱していた時に起きた民間船救出作戦。


 その時に起きたコヨミ皇国・南西国藩の嶋津水軍と海上自衛隊と衝突したローラーナ帝国海軍東洋方面艦隊の一地方艦隊は、その戦いで敗戦し、帆船戦艦の拿捕と捕虜の捕縛される事態と成った。


 続く2度目の海戦である第二次龍雲海沖海戦では、ローラーナ帝国海軍、第一外征艦隊敗走と艦隊が半数の喪失し、かなりの大打撃と成る事が必須で、その報せは激震と成って帝国本土へと伝わるだろう。


 東方方面軍の総戦力の6割が喪失する。


 これは東方地域に置けるローラーナ帝国軍の戦線拡大路線の後退を意味して居た。


 それは即ち、敵に反抗と防備に備える時間を与えると言う事に他ならない。


 この事を狙ってやるならば、相当な戦略家であると言えるが、今回に限って言えば、何れも帝国に取っては想定外の出来事だらけであった。


 反対側の立ち位置と成る日本国とシベリナ連合各国側に取って言えば、そう言った目的の的を狙ってやった事では無いのだから、双方に取っても笑えない冗談と言えた事なので有った。


 特に日本側は、西側諸国との会合をする為に護衛連絡船として、ダハ派遣艦隊を派遣しただけで、ローラーナ帝国軍とその地方軍団であるグリクス地方軍団と戦う積もりは決して無かったのだ。



 勿論、チョッカイくらいは、出して来るだろうと予測もして居た。


 例え戦うとしても、自衛戦闘くらいの戦闘と予想し、対抗策を考え、装備と人員を集めたのがダハ派遣隊なのだ。


 そう、ある程度の中小規模の戦いを想像して居たのたが、いざこの地へと来て見れば、思って居たよりも規模の大きな紛争状態から越境戦争クラス戦争に成ってしまって居た。


 ローラーナ帝国と反帝国同盟と新興国である異世界転移国家群らの戦いは、更に混迷の度合いを深めて行くだろうと予想される。



「作戦変更とその目的の詳細に付いては了解しました。」


「私は予定通りにジャイアガル軍港基地を攻撃します。」



「こちらも補給を済ませてから合流する。では・・・・・・」



 石井三佐は、そう言い終えると、其処で通信は切れた。



「通信をダバ派遣艦隊・第3護衛艦隊の各艦へっ!」



 洲崎二佐は攻撃命令の号令を発する為に、通信を第3護衛艦隊の各艦へと繋げさせた。


「これより我がダバ派遣艦隊・第3護衛艦隊は、予定通りにジャイアガル軍港基地の攻撃を開始するっ!」



 艦隊は、石井三佐と通信でのやり取りをしている間に、攻撃地点へと到着していた様だ。


「各艦へ通達っ!対地戦闘、対水上戦闘っ!うちーかーたよーいっ!」


 無線機のマイクを持ち、洲崎二佐は声を張り上げて撃ち方の準備開始を告げた。


 それに対して、副長が復唱して続く。


「対地戦闘、対水上戦闘っ!うちーかーたよーいっ!」


「目標っ!ジャイアガル軍港基地全域及び陸海空敵戦艦隊っ!」


「P-1哨戒機改からの座標データリンク・・・・・・全目標座標を割り振り完了。」


「洲崎二佐、全目標をロック完了しました。」



 第3護衛艦隊は横一列に並び、全砲門をジャイアガル軍港基地へと向けた。



「各艦っ!攻撃開始っ!撃ちー方始めっ!」



「了解っ!攻撃開始します。各艦っ!撃ちー方始めっ!」


 

 ウイイィィィィン・・・・・・・ダダッ、ダダアァァーーーーンッ!!



 旗艦である護衛艦あかつき、ひびき、すずかぜ、いかづち、いなづま、うらが型掃海母艦うらが等の砲塔から第一射砲撃が放たれた。


 

 あかつき型護衛艦の127ミリ単装砲とむらさめ型護衛艦とうらが型掃海母艦うらがの76ミリ単装砲の6門から、それぞれの艦から連続で5発つづ撃たれる。



「弾着10秒前、9、8、7、6、5、4、3、2、1・・・だんちゃーーく今っ!!」




 ヒュウウゥゥゥ、ドカドカドカッカーンッ!!ドカドカドカッカーンッ!!


 

 第一波砲撃は、ジャイアガル軍港基地とその周辺に降り注ぎ着弾すると土煙が上がる。


「第一波砲撃全弾命中っ!」



「続けて効力射っ開始っ!」



「てえええええぇぇぇぇぇーーーーっ!」



 ダダッ、ダダアァァーーーーンッ!!



 127ミリ単装砲と76ミリ単装砲の砲弾が矢継ぎ早に、そして雨の様に降り注ぎ敵艦や基地内の施設や補給物資と重要物資を破壊して行く。



ダダッ、ダダアァァーーーーンッ!!ダダッ、ダダアァァーーーーンッ!!


ダダッ、ダダアァァーーーーンッ!!ダダッ、ダダアァァーーーーンッ!!


ダダッ、ダダアァァーーーーンッ!!ダダッ、ダダアァァーーーーンッ!!


ダダッ、ダダアァァーーーーンッ!!ダダッ、ダダアァァーーーーンッ!!


ダダッ、ダダアァァーーーーンッ!!ダダッ、ダダアァァーーーーンッ!!



ヒュウウゥゥゥ、ドカドカドカッカーンッ!!ドカドカドカッカーンッ!!


ヒュウウゥゥゥ、ドカドカドカッカーンッ!!ドカドカドカッカーンッ!!


ヒュウウゥゥゥ、ドカドカドカッカーンッ!!ドカドカドカッカーンッ!!


ヒュウウゥゥゥ、ドカドカドカッカーンッ!!ドカドカドカッカーンッ!!


ヒュウウゥゥゥ、ドカドカドカッカーンッ!!ドカドカドカッカーンッ!!





「SM-3スタンバイっ!」


 各艦の垂直発射機から弾道ミサイルが発射される。


「準備ヨシっ!」


「斉射開始っ!」



「てえええええええぇぇぇぇぇぇーーーーーっ!!!」


 ゴオオォォォォーーーーーーーーーッ!と凄まじい音を立て上げて、ミサイルの噴射口から煙と爆煙を吹き上げて各護衛艦から発射されて行く。




 一方のジャイアガル軍港基地では、突如として現れた敵艦隊の攻撃に大混乱を来たしていた。


カンカンッ!!カンカンッ!!カンカンッ!!カンカンッ!!


カンカンッ!!カンカンッ!!カンカンッ!!カンカンッ!!


カンカンッ!!カンカンッ!!カンカンッ!!カンカンッ!!


カンカンッ!!カンカンッ!!カンカンッ!!カンカンッ!!


カンカンッ!!カンカンッ!!カンカンッ!!カンカンッ!!



「敵襲ーーーーーーっ!敵襲ーーーーーーっ!敵襲ーーーーーーっ!」


「敵襲ーーーーーーっ!敵襲ーーーーーーっ!敵襲ーーーーーーっ!」


「敵襲ーーーーーーっ!敵襲ーーーーーーっ!敵襲ーーーーーーっ!」


「報告ーーっ!」


「何処かの敵のと思われる第一波の砲撃で当基地内の多数施設と物資が破壊し尽されてしまいました。」


「現在各地の物資資材倉庫が爆破炎上をし、火災が発生して居ます。」


「報告するで有りますっ!何処かの敵のと思われる敵の攻撃で建物も多数が倒壊した模様です。」


「報告しますっ!」


「当基地の防衛艦隊と輸送艦隊多数が何処からの砲撃で撃沈されており、砲撃された方向へと向い、反撃に移行して居ます。」


「ですが未だ、敵艦隊に対して砲撃が届かず居るとのこと、このままで一方的に全てが沈められ続けてしまいますっ!」



「くそっ!何処のどいつだっ!?やりたい放題しやがってっ!」


 次々と絶望的な被害報告に怒り心頭な様子のジャイアガル守備隊長。


「報告しますっ!」


「南に灰色をした艦影を見たと哨戒していた竜騎士航空隊の1人が、帰還報告をして来ましたが、その場で事切れました。」


「どうやら敵の攻撃に晒されて居たらしく、7名居た部隊員の内6名は、帰還して来ましたが、その内一人は、狙われた者を庇って戦死した模様です。」


「南だと?どの位置かは分からんのか?」


「それを伝え様とした所で息絶えました。」


「第二陣偵察隊の竜騎士航空隊の中から、多数を編制派遣しても構わんっ!」


「直ぐに向わせて敵の位置を確認させろっ!急げえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーっ!!」


「はっ!」


 何処に居るのかは、分かっても誰なのかが分からないのでは、敵への必中の対抗する為の手立てが何も出きない。


 守備隊長は、真実を確かめる為にも、第二陣の偵察隊を編制せて、すぐさま派遣させるが、その後も状況に進展は無く、被害は増すばかりで、再び派遣した偵察隊も戻る気配も無い。


 そんな中で、部下の1人が進言して来た。


「守備隊長殿っ!直ぐにグリクス要塞に応援要請をっ!」


「馬鹿者っ!最早、我が軍団には予備兵と防衛用の残存軍団しか残っておらんっ!」


「そんな状態で、一体如何やって援軍を捻出させる為の軍勢を出させると言うのだっ!?」


「そんな事よりも前線に居られるガミトフ中将閣下に、この事を報せるんだっ!」


「早くっ!早くしろっ!!」


「でっ、ですが、カントルナ砦にも守備隊が有るのに、其処からの応援を頼まずに、行き成り直接ガミトフ閣下に応援や襲撃を頼んだりお報せすると言う事は・・・・・・・」



「まだ分からないのか?」


「もう、此処が襲われて居ると言う事は、北に在るカントルナ砦にも軍艦と兵が差し向けられて居ると・・・・・いや、確実に差し向けられて居るな。」


「良いから、サッサと遠征軍本隊との連絡を取りに行けえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーっ!!!」



「はっ、ははっ!!」


 行き成りの奇襲攻撃で、混乱して居る士官を叱り付けたジャイアガル守備隊長は、ガミトフとの連絡を優先して伝令を走らせるのであった。



カンカンッ!!カンカンッ!!カンカンッ!!カンカンッ!!


カンカンッ!!カンカンッ!!カンカンッ!!カンカンッ!!


カンカンッ!!カンカンッ!!カンカンッ!!カンカンッ!!


カンカンッ!!カンカンッ!!カンカンッ!!カンカンッ!!


カンカンッ!!カンカンッ!!カンカンッ!!カンカンッ!!





ヒュウウゥゥゥ、ドカドカドカッカーンッ!!ドカドカドカッカーンッ!!


ヒュウウゥゥゥ、ドカドカドカッカーンッ!!ドカドカドカッカーンッ!!


ヒュウウゥゥゥ、ドカドカドカッカーンッ!!ドカドカドカッカーンッ!!


ヒュウウゥゥゥ、ドカドカドカッカーンッ!!ドカドカドカッカーンッ!!


ヒュウウゥゥゥ、ドカドカドカッカーンッ!!ドカドカドカッカーンッ!!



「くそっ!これではこの基地は長く持って、後30分程度か?」


「隊長殿っ!南の空から鉄の槍の様な物体が、此方に降って来ますっ!」


「それはニホン軍の鉄槍だっ!」


「・・・と言う事は、この基地を攻撃して来て居る敵艦隊は、ニホン海軍艦隊なのか?」


「まっ、不味いっ!奴らの鉄槍は、かなりの広範囲に爆発する筈たっ!」


「くそっ!今日はトンだ厄日だっ! さっさと此処から逃げるぞっ!」


「はっ!」



 ジャイアガル守備隊長は、基地の施設からの退避を命じるが最早、それは間に合わなかった。


 ジャイアガル軍港基地は、洲崎二佐が率いるダバ派遣艦隊の第3護衛艦隊の一方的な攻撃を受けて全滅をし、基地は陥落したのであった。

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