130話 激闘!セイジョン・ローグリア攻城戦 7

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月17日・午前9 時25分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア島・ロー・デッニッシュ港・日シベ合同軍・総司令部・ヘリコプター搭載型護衛艦『かが』内・旗艦用司令部作戦室「FIC」にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 各地の戦線から続々と緒戦での勝利の報せが、ヘリコプター搭載型護衛艦『かが』・旗艦用司令部作戦室「FIC」内に設置された、日シベ合同作戦軍・総司令部に届いて居た。


 日シベ合同作戦軍の総司令部は、その指揮通信機能の高性能な高さを有して居るヘリコプター搭載型護衛艦である『かが』に置かれて居る。


 その停泊場所は、レジェンダリア諸島の西部にて、最も西側に在るセイジョン・ローグリア島の港、ロー・デッニッシュ港の水上に在った。


 ロー・デッニッシュ港の周囲には、複数の中小の島々が点在する港と成って居る場所で、複数の大型船舶が停泊するのにも、とても向いて居る場所であった。


 その水上に一際大きな船でもあるヘリコプター搭載型護衛艦『かが』が、護衛の護衛艦と共に待機して居る。


 港では海自輸送艦隊と民間輸送船団が停泊して居り、万が一にも完全撤退と成った際の事態にも備え、ビーチングしながらの待機停泊をして居た。


 この紛争での日シベ合同作戦軍の総司令を任されている置鮎竜次郎一佐は、前線から最も遠く離れた場所でも在る「かが」の艦内の艦橋で、現在までの戦況の報告を受けて居た。


「ふーむ、どの戦線の敵も最初は徐々に近付きつつ、散発的だった。」


「それから敵は、我々の余りにも反応が薄く、動きすら見せない無いと見ると、一気に攻め寄せて来た。」


「これらの動きを見る限りでは、どうやら敵は、こちらの動きや出方を伺う積もりだったと見るべきだな。」


「ですが、攻め寄せて来た敵の動きが、余りにも物凄い間抜けぶりですね。」


「三石。そりゃ、こっちの迎撃策が悪どいからな。」


「それも、そうですけど・・・・・・」


 後方支援に徹して居るダバ派遣艦隊の特別臨時体制下で、海自第一艦隊の司令官を任されて居る三石琴実二佐。


 彼女は日シベ総司令部兼ダバ派遣艦隊の総旗艦でもある艦隊を護衛しながら何時でも動ける体勢を取りつつ、今はかがの艦内で戦況を見守り、置鮎一佐と敵に対する対策を話し合って居た。


「最も間抜けなのは、北側だな。」


「ええ、他の戦線の味方の指揮官と軍の動きに、合わせざる負えない形で、釣られて兵を進めたのが敗因みたいね。」


「出きれば我慢をしたかったが、後々の事を踏まえる忖度をすると成ると、進軍しなかった時の面子を気にしなければと言った所の行動だったのだろう。」


「それを狙った我々も、相当に意地悪をした事に成りますね。」



 まんまと罠に嵌められ陥れられたジャーマン・ダニーガン中佐は、卑怯者とか何もしないのかと、味方から後々嫌味を言われる事を恐れたのが敗因であった



「それを言うのなら、何所の誰だよ、東正門口の砦にサナダ丸なんて、ダジャレめいた名前を付けたのは?」


「それって、現場で作業していた陸自隊員が、その場ノリで付けたらしいと聞いたわよ。」


「お陰で大戦果だな。」


「真田幸村様々ね。」


「真田家の軍略恐るべし、なんてな。」


「それで、この後は如何するんですか?」


「追撃はせずに、残敵の掃討をして様子見だな。」


「元々こっちは兵力も少ないし、守りに徹して居れば、基本は負けない様に成って居るからな。」


「敵が想定外の手段に出た場合は、リナさんやアセリナ聖天使騎士隊、それに私達と言うのが、事態収拾の決めてと成って居ますしね・・・・・・・」


「此処で負ければ、帰りが大変だ。」


「北周りでしたね。」


「ああ、燃料も喰うし、実に面倒な航海をする事に成る。」


「だから今の内に、この大河の航路を安定させて置く必要が有る。」


 パイプ・ライン大河の航路を日シベ各国で握る。


 それが今後の日本為にも、重要な戦略なのだ。



 その事に関して、ローラーナ帝国も、対峙して居るグリクス地方軍団とその総司令官でもあるガミトフも同じ考えなのである。



 両者の最終目的が商船及び軍用の輸送航路の確保を目的として居るので、ある意味、お互いに退くに退けない戦いと成って居るのだった。



アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月17日・午前9時25分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア城・セイジョン・ローグリア南正門・セイジョン・ローグリア城南正門前戦線にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




 開戦から30分が経過しようとして居た。


 セイジョン・ローグリア城南正門の守備隊は、門内にて、右往左往しているグリクス地方軍団南方面軍の先方隊の生き残り4000人の掃討戦に移って居た。


「これより掃討戦に移るっ!!」



「各部隊は、味方同士の相打ちに気を付けよっ!!」



 セイジョン・ローグリア城南正門守備隊は、ビダイン団長の命令を受け、迷路内へと突入して行く。


「撃ち方よーいっ!!構ええええぇぇぇぇーーーーーっ!!!」


 陸自中隊の一隊が敵を捕らえる。


「盾を構えええぇぇぇーーーーっ!中座して待機っ!」


 アルガス公国兵の中隊も盾と槍を構え、後ろの陸自隊員の射撃の邪魔に成らない様に中腰にて待ち構える。



 敵は約500程度だが、追い詰められたネズミも同然の者達だ。


 戦場にて、一番に怖いのは死兵である。


 どんな世界の戦場であろうとも、死兵ほど怖いもの無い。


 犠牲を少なくするのならば、「死兵とまともに殺りあうなっ!!」が戦の鉄則であるのだ。


「くそっ!!如何したら・・・・・・・・」


「向こうでも戦闘がっ・・・・・・・・・」


「もう、こうなったら自棄だっ!」


「殺っちまえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!!」


「「「「「うおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーっ!!!」」」」」


 門内にて逃げ道を求め、右往左往しているグリクス地方軍団南方面軍の先方隊の生き残りの一隊である500人の兵士らは、無謀にも自棄に成り、その矛先に居る日シベ合同軍に戦いを挑む。


「撃てえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーーっ!!!」



ズダダダダダタダダダッ!!!ズダダダダダタダダダッ!!!


ズダダダダダタダダダッ!!!ズダダダダダタダダダッ!!!


ズダダダダダタダダダッ!!!ズダダダダダタダダダッ!!!



 89式小銃と5.56ミリ機関銃MINIMIの銃撃音が迷路各地から同時多発的に鳴り響く。



 パタパタと倒れて行く敵兵が半分以下にまで減らされる。


「撃ち方やめえええぇぇぇーーーーーーっ!!!」


「槍歩兵隊っ!前進突撃っ!掛かれえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!!」


「「「「「うおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーっ!!!」」」」」


 盾と槍を持ったアルガス軍の歩兵隊が突撃攻撃を開始し、敵兵を蹂躙して行く。


 戦意を喪失し、大慌てで逃げ出す者も居たが、もう遅い。


 勝敗は決して居るが、戦いは全滅するまで続けられる。


 彼らが降伏と言う二文字を思い出すか、或いは思い付き、その一言を言うまでは・・・・・・・・・


 セイジョン・ローグリア城南正門での初日での戦いは、午前9時41分頃に終了し、同地の日シベ合同作戦軍の守備部隊は、後片付けに追われる事と成る。





 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月17日・午前9時27分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア城・セイジョン・ローグリア城北門内にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



  グリクス地方軍団北方方面軍と戦ったクールな美男子でもあるアルガス魔導師団を率いるレイダー第四騎士団長は、三国志マニア自衛官らと巧妙で緻密に練った作戦で、見事に敵を策に嵌め、得意の魔法攻撃の一撃で撃滅に至る。


 この戦線では、掃討戦の必要が無く、専ら戦後処理の後片付けに追われる時間を過ごしていた。


「石壁よ、大地より現れ、我が前の敵を防げっ!」



「ストーンウオールっ!!」


「「「「「ストーンウオールっ!!」」」」」


「「「「「ストーンウオールっ!!」」」」」


「「「「「ストーンウオールっ!!」」」」」


「「「「「ストーンウオールっ!!」」」」」


「「「「「ストーンウオールっ!!」」」」」


 ズドドドッ、ドスーン!!ドスーン!!ドスーン!!ズドドドッ、ドスーン!!ドスーン!!ドスーン!!


 ズドドドッ、ドスーン!!ドスーン!!ドスーン!!ズドドドッ、ドスーン!!ドスーン!!ドスーン!!


ズドドドッ、ドスーン!!ドスーン!!ドスーン!!ズドドドッ、ドスーン!!ドスーン!!ドスーン!!


ズドドドッ、ドスーン!!ドスーン!!ドスーン!!ズドドドッ、ドスーン!!ドスーン!!ドスーン!!



 レイダー第四騎士団長とアルガス魔導師団らは、旧北正門付近を中心にして、南北数十メールに石壁の防御壁を構築して行く。


 これでグリクス地方軍団北方方面軍が、無茶な突撃でもして来ない限り、安心して事後処理作業が進められる環境が整った訳である。


「良しっ!作業開始だっ!!」


「遺体は使い古した布で包んで後送しろっ!」


「荷馬車とトラックが来ている筈だ。」


 陸自隊員とシベリナ連合の兵士らは、次々と作業に取り掛かる。


 後方から通常の火薬式大砲と魔導大砲、自衛隊が使用している81ミリ迫撃砲が運び込まれ、作業する者達の安全確保する為に、前線へと設置される。


 空に成った荷馬車とトラックの荷台には、遺体や瓦礫等が積み込まれ、遺体は焼却され、後に近隣地域の寺院近くの墓地へと埋葬される。


 瓦礫などの粗大ごみは、場合によっては魔法や火炎放射装置で焼却されるか、仕分けされた後に埋め立てと成る予定だった。


 カチャカチャ、カタカタと音を立てて、物や瓦礫に遺体を移動させて行く中で、南方から戦闘音が聞えて来ていた。



パンパンッ!パンパンッ!パパパパンッ!パンパンッ!パンパンッ!パパパパンッ!


パンパンッ!パンパンッ!パパパパンッ!パンパンッ!パンパンッ!パパパパンッ!


パンパンッ!パンパンッ!パパパパンッ!パンパンッ!パンパンッ!パパパパンッ!



ズダダダダダタダダダッ!!!ズダダダダダタダダダッ!!!


ズダダダダダタダダダッ!!!ズダダダダダタダダダッ!!!


ズダダダダダタダダダッ!!!ズダダダダダタダダダッ!!!



「この音は南の方角からか?」


「はい。まだ、散発的な戦闘が続いて居るのでしょう。」



 ヒユユュュュュウゥゥゥゥゥ、ドドンッ!!ドカーンッ!!


 ヒユユュュュュウゥゥゥゥゥ、ドドンッ!!ドカーンッ!!


 ヒユユュュュュウゥゥゥゥゥ、ドドンッ!!ドカーンッ!!


 ヒユユュュュュウゥゥゥゥゥ、ドドンッ!!ドカーンッ!!


 ヒユユュュュュウゥゥゥゥゥ、ドドンッ!!ドカーンッ!!





「今度は特科ですね。」


「自衛隊の火砲部隊の陣営地の場所は、確か8キロ後方からだったか?」


「はい。こちらも必要が有れば要請が出来ます。」


「しかし、凄いものだな。」


「我々が扱う大砲は4キロから5キロが良い方だ。」


「レイダー騎士団長殿。」


「日本との交流が深くなれば、相互の安全保障の関係から旧式か、もしくは、現用で輸出可能と判断された装備の共有も難しいとは言えなく成るかも知れません。」


「現場の自衛官である私が此処で勝手な私見的な事は言えませんが、我が国が前線で戦うよりも防衛装備の支援を行う方が国益としての利益に成ると国内の世論が高まり、国会での審査が通ればの話ですが・・・・・・・」


 レイダー第四騎士団長の補佐をして居る自衛隊員の中隊長は、前置きで勝手な私見を言えないと言いながらも、一般人が見聞きして言う程度の事を述べるに留めた事をレイダー第四騎士団長に述べた。


「ああ、是非そう成りたいな。」


「あの動き回れる大砲を持った車両である自走砲が今すぐ欲しいとまでは、今は言えないが、せめて、あの牽引移動式の榴弾砲や小型の迫撃砲は、是非、我が国でも導入したいものだ。」



 レイダー第四騎士団長は、バカ高い値段の自衛隊装備の全ての導入は、幾らなんでも当面は、無理と判断して居る。


 せめて小銃や手榴弾。155ミリ榴弾砲と81ミリ迫撃砲の導入くらいは考えても良いと他の団長達と話して居た。


 これらの装備は、輸出したしても軍事機密や技術中核の流出の防止としての機密の観点からも低いレベルに有ると言える。


 155ミリ榴弾砲と81ミリ迫撃砲は、元々海外で開発と生産されて居る代物で、それを日本の防衛省で選定し、ライセンス料金を支払って国内で生産している装備だ。


 遵って日本国の国防機密と言い切れない部分での法の抜け穴が有るとも言える。


 小銃や手榴弾等を含む携帯式の火器類の一部は、仕組みを理解し、簡単な作り物を設計して作り上げられる物であったので、国産の類のコピーさえされない物を作り、量産品として売り付ける形での防衛装備の輸出を前向きに検討するべき案件だろう。


 戦艦類や戦闘機に、各種ヘリを含む航空機類の兵器を売り出すのは、まだまだ無理と言える。


 それ以外で比較的使い易く、運転の方法と道路関係の国内法を整備さえ済ませれば、売り込めるのが、陸戦車両兵器の類だろう。


 初期は一般車両を改造するか、色を塗り替えるだけで、十分な機械化自動車部隊の編成も可能だし、戦車なら61式戦車か74式戦車の劣化版を売り付けるのも良いと言える。


 74式戦車で例えるなら、砲身を105ミリ砲から、100ミリ砲や90ミリ砲程度まで、威力を落とすと言うのも、初期の段階での売り込みとしては、悪い話では無い。



 段階的に国別の国内制度や信頼度に応じて、生産して売り付ける装備品の性能をアップさせて行く形で、異世界各国に輸出すると言うのは如何だろうか?


 そうすれば幾らかは、自衛隊装備の調達価格を下げられる様に成るかも知れない。


 何れにしても、この世界に転移した日本国の今後の方針が問われて居る案件なのである。



パンパンッ!パンパンッ!パパパパンッ!パンパンッ!パンパンッ!パパパパンッ!


パンパンッ!パンパンッ!パパパパンッ!パンパンッ!パンパンッ!パパパパンッ!


パンパンッ!パンパンッ!パパパパンッ!パンパンッ!パンパンッ!パパパパンッ!



「おっ!?段々と収まって来たな。」


「特科の砲撃が止んだと言う事は、敵が引き上げ始めたのでしょうね。」


「此方は如何なって居る?」


 レイダー第四騎士団長は、控えていた兵士に正面の敵の様子を尋ねる。


「はっ!陸自の方々と交代で見張って居りますが、肉眼でも双眼鏡でも動きが無く。」


「敵方も今は、我々に対する新たな対応策を練って居るのでは無いでしょうか?」


「引き続き、協力して監視を行えっ!!」


「ははっ!」


 グリクス地方軍団北方方面軍のダニーガン中佐は、レイダー第四騎士団長とアルガス魔導師団。



 それに自衛隊に、こっ酷くやられて攻める事を手控えして居る様である。


 兎も角、今日の所は何もして来なそうな様子を見せて居たのであった。


 セイジョン・ローグリア城北門の戦線は、呆気無く、平和裏にこの日を終えたのである。

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