113話 激闘!レジェンダリア諸島 カントルナ砦近郊上陸撤退戦  (闇夜に燃えるカントルナ砦 15)

 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月7日・午前3時45分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・ レジェンダリア諸島東部・カントルナ島・カントルナ砦・カントルナ砦 東側付近上空・グリクス地方軍艦隊にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 自衛隊とハンナ達アセリア聖天騎士13名の活躍も有り、グリクス地方騎兵団の第14・17騎兵団と19・8騎兵団併せて1万2千人を壊滅させる。


 それでもグリクス地方軍団の追撃は、まだ止まる気配が無い。


 それは何故か?それには理由が有った。


「おのれっ!!この戦で10万人近い軍の手勢が殺られたっ!!!」


「まだ作戦続行は可能だが、このままでは、我が軍団は、この遠征で本当に採算が合わず、割に合わない戦いに成るっ!!!」


「ひいいいいぃぃぃぃーーーーっ!!、あっあああああっアセリア聖天騎士のっ!!」


「ぐわわわわっ!!あの光は、俺達への天罰の光だ。わあああぁぁぁーーーーっっ!!」


「生き残った肝心の騎士団の者達が、これでは・・・・・・・」


 前線副司令官ラオウ・ケビン中佐は、ハンナ達アセリア聖天騎士13名が撃ち放ったエクスプロトンバスターによる一撃を受けても、尚も偶然にも生き残った20名から敵に付いての何らかの情報を得ようとしたが、精神を病んでしまって居て、話すら出きずに居たのだった。



 ある意味、あの頭の可笑しな中二天使集団達は、恐ろしいかも知れないと言えた。


 此処まで戦闘不能に陥る将兵が少なからず出て来ると成ると、あのアホな連中も満更戦力としては捨てたモノでないと一定の評価を自衛隊幹部らは、後のグリクス地方軍団の生き残りに付いての情報を知ると、そう考える様に成るのであった。


 だが、使い辛い人材である事は変わりないので、確実に勝てると踏んだ時の必殺ビーム砲と言う立ち居地での必殺兵器扱いされ続ける事に決定して居たのである事を付け加えて置く。



「ガミトフ閣下と今後の方針を改めて決めねば成らん。」


「ラオウ、明け方までセイジョン・ローグリア島のセイジョン・ローグリア城から16キロ手前で、先行している追撃軍の追撃を止めさせろっ!!!」


「如何も敵は島から撤退を決めて居る様に見受けられる。」


「砦や要塞に港、どれもこれも肝心な施設が置かれて居る筈の各要地を捨てながら撤退を行って居る。」

 

「その序でに爆破等の罠を仕掛け、我が軍に手痛い一撃を与えながら本拠へと向う所を見ると、奴等はニホン軍の支援を受けて、西側の港に集結して一気に撤退と言う所だろう。」


「頑強な抵抗も、少しでも味方の将兵を無傷で逃がすのが、奴らの狙いの一つだ。」


「そう判断して宜しいと思われますな。」


「この場合、無理攻めは返って危険です。」


「ですが、何れのニホン軍と戦い振りを見るに、これまでの常識が通じない新戦術が多く見受けられますな。」


「貴官の言う通りだ。」


「小勢で大多数を討ち取るなど、この世界の有史以来、殆んど有り得ん戦い方だろう。」


「我が帝国にも、その様な兵法が書かれている書物や記録が殆んどない。」


「いや、古に転移した幾つもの国家の内、何れかの国で有り得た戦術が多く有ったかも知れん。」


「だが、余りにも荒唐無稽が過ぎて実用的で無いと判断されて、伝わって居ないのやも知れない。」


「しかし、我々も油断はして居ないと言いたいですか、こうも敵の策略や戦術が尽くも的中し、我が軍を苦しめてくれる。」


「全く以って忌々しい事だ。」


「一体どの様な歴史的な経緯が有って、あの様な戦術を考え付いたのでしょうね。」



 二人は自衛隊が仕掛けて来た日本と地球で考えられ、各偉人によって研鑽され培った独自で特異な数々の戦術に舌を巻いて居たのであった。


 日本の居た地球世界は、人類が国家を持ち、勢力争いが途絶えない世界で、少数精鋭で大群を蹴散らすやり方は、歴史を振り返れば、結構それなりにあるのである。



 その膨大な戦略で受けた傷は、彼らに辛酸を舐めさせたと言えたのだった。





 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月7日・午前3時45分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・ レジェンダリア諸島東部・カントルナ島・カントルナ砦から約6キロ付近・ゲースター島・ケーマスター島中心部にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



グリクス地方軍艦隊の空挺竜母艦隊に搭載されているグリクス地方竜騎士航空隊は、カントルナ砦での戦いに置いて、日本・シベリナ合同軍に、1500騎も居たワイバーンの内、実に500騎ものワイバーンと竜騎士を討ち取られていた。



 グリクス地方軍団のレジェンダリア諸島に措いて、初戦での本格的な戦いで航空戦力の3割を失うと言う手痛い結果と成っていた。


その傷を癒す術も暇も無いままに彼らは、日本・シベリナ合同軍を追う為に、先行した追撃部隊を支援する部隊を再編成し、ようやく先行部隊のいるケーマスター島付近へと到着しようとして居たのだった。


 前線副司令官ラオウ中佐は、ガミトフ・バイマン中将が率いる後続艦隊と共に補充されたグリクス地方竜騎士航空隊の300人の人員と、先の戦いで無事であった竜騎士航空隊から1000人の人員から抽出した竜騎士達を合わせた300人を追撃部隊を航空支援として向わせて居た。


 今度は念を入れて、グリクス地方軍団の重機動師団と歩兵軍団を合わせた4万人も軍勢を編成し、更に騎兵隊4千人も増加派遣させて居た。


 機動師団には、機動性重視し、行軍にも比較的早くて、歩兵軍団の歩行速度でも付いて行ける重騎竜隊のトリプトドン隊、火炎竜隊のフレイムランドドラゴン隊が同行して居た。


 しかし、日シベ合同軍はケーマスター島中心部に陣を構えて、待ち伏せをして居たりする。



 此処はカントルナ島の西側の岸辺から約20キロの地点。



 ケーマスター島中心部には、小高い山があり、その周囲には、所々疎らに林と丘が点在して居て、人の気配はして居ない様であった。


 更にその東側の中腹には、開けた場所が幾つもあり、天幕や木材で作った塀が幾つも見受けられ、丸で砦の様であった。


 しかも、篝火を付けて、東側を見張って居るかのように設置されていた。


 グリクス地方竜騎士航空隊の追撃部隊は、訓練と根気さえ有れば、誰でも使える魔法である照明魔法ライトを使用して、地上や進む先を照らしながら部隊を進めていた。


 彼らの後ろには、地上をノロノロと行軍して居る味方の軍勢が追い掛けていた。



 部隊は日シベ合同軍の拠点の光を見付けると、その警戒して居るであろう、ギリギリの地点を見極めながら暗がりの中を慎重に飛んで行く。



「おい、あれ・・・・・・」


「敵の砦か何か?」


「分からん。」


「隊長殿あれをっ!」


 グリクス地方竜騎士航空隊・追撃部隊の隊長は、部下の指差した方向へと向う。


「馬車だな・・・・・・・」


「1・2・3・4・5・6・7・・・・・うーん、野外ランプや松明の明かりが灯って見える範囲で、数えた限りじゃ、30台あるな。」


「あの小高い山は、我々と戦う為に建てられた臨時の砦なのだろうな。」


「そうみたいです。確か・・・この島に砦は無かった筈です。」


 何度も偵察や密偵等を使ってこの地を下調べしているグリクス地方軍団。


 その彼らが、最近まで事前に下調べを行って居るし、調べる事を怠っても居ないので、この島に砦が無いのは確かな事だった。



「どれ位の敵が集結し、居残って居るか分からんが、このままやられっぱなしなのは、グリクス地方軍団の沽券に関わる。」


「地上部隊とも連携して、あの砦を潰し、調子に乗ってやがる敵に黒星を付け加えてやろう。」


「はっ!!それでは早速、地上部隊に連絡を取って、攻め掛かりましょう。」


 深夜の暗がりを松明や照明魔法ライトの明かりで馬車達は、追撃から逃れんとして、西へと急いで移動している様に見えてて居た。



 グリクス地方竜騎士航空隊・追撃部隊の者達らは状況判断から、そう見えたのだった。


 そして、怪しげな砦に付いては、臨時の集結地点として作った即興の砦なのだろう考えた彼らは、敵が道なき道を馬車行列を作り、アルガス公国軍は敗戦で逃げ延びるのに、必死な様であるとも判断する。


 彼らは一気に発見した砦を揉み粒さんと攻め掛かると決め、攻撃の準備を整える。


「今だっ!火炎弾を撃ち込めっ!」


 ギャオオォォンとワイバーン達は咆哮を上げて、敵の砦へと火炎弾を撃ち込む。



 彼らが空から砦内を見る限りでは、人影が多数見受けられ、その中では、地図面を見て作戦の進行状況に付いて話して居ると見受けられる者達か居るのも見えていた。


「撃てっ!撃てっ!撃てっ!何も出きずに討ち取られた者達の仇を取るんだっ!!」


「うおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!!」


「やってやるうううううぅぅぅぅぅーーーーーーーーーっ!!!」


「いけええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!!」



 次々と300騎ものワイバーンから繰り出される高温の火炎弾の前に砦は、あっと言う間に、小高い山ごと、炎に包まれて崩れ去って行く。


 やがて地上に居る部隊も生き残って居る敵に攻勢を掛けんとして、壊滅しようとして居る砦へと突入し、攻撃を仕掛けて行った。


 しかし・・・・・・・・・・・・


「居ないだと・・・・・・・」


「何所にも居ない・・・・蛻の殻だ。」


「それ処か死体すらないぞ・・・・」


「おい、これって・・・・・」



「藁人形に、木人形だと・・・・・・・」



 突入した彼らが見付けたのは、焼け焦げたり、燃え盛っていた人形の姿だけだった。



「この馬車に乗って居る人や引っ張っている馬は・・・・・・・全部木材で出きた偽者だっ!!」



「しかも、魔法で細工されてやがるっ!!」



「こっちのは、魔導人形だっ!」


「そっそれもバカ高い品物だっ!」


「こうもあっさりと使い捨てるなんて、何所のどいつだっ!」


「魔導人形は、一体数万エイリスするんだぞっ!」


「何て勿体無い事をするんだっ!」


 いやいや、そんな所は、今は突っ込む所が違うでしょ。



 とある兵士は日本円で数万円から数十万円する品物を戦で平気な顔で使い捨てる心境に対して激怒して居た。



 なお、それをした張本人とは、アプリコット魔導商会を実家に持って居るヘスティア騎士団・魔導師隊の隊長であるマオ・アプリコット大尉である。


 彼女は世間からは、こう言われていた。


 通称・戦で重課金する商家の女魔導師。


  ネトゲーで重課金をして勝ちまくるかの様な振舞いが、目立つ女魔導師である。


「しっ、しまった・・・・・・謀られたっ!」


「これは敵の罠だっ!?」


「たた、たっ、退却だっ!総員っ!退却ーっ!退却ーっ!退却ううううぅぅぅぅーーーーーーっ!!!」


 砦に攻め掛かったグリクス地方軍団の追撃隊の全軍は、砦に攻めかかると、其処は蛻の殻で、誰も居ない場所だと知る事と成る。



 彼らは完全に謀られ、罠に嵌められたのだ。



「くくっ、諸葛亮孔明の十八番作戦の一つである。空城の計は如何かな。」


「グリクス地方軍団の諸君。」



 不適に笑う三国志マニア隊員は言う。


「いやーっ、こうもあっさりと罠に引っ掛かるとは、何だか呆れてしまいますね。」


「全くだ、孔明の罠に嵌められた曹操の方が、もう少しマシだったぞっ!!」


「その通りっ!!!奴なら早めに策に気付いて看破して、負け戦から逸早く逃げ延びると思うぞっ!!」


「ですねーっ!」



 此処にいる普通科部隊の連中は、三国志マニアが多く居るらしい。


 口々にグリクス地方軍団の追撃隊は、間抜け過ぎると言っていた。


 時間稼ぎに色々と掻き集めた物資や策を駆使して、どんな作戦や罠を仕掛け様かと考えた所、三国志マニアの隊員らが物は試しにと、三国志風の罠を仕掛けてみたら大当たり、これが笑いが止まらないと来たもんだ。



 その会議の席で、1人のマニア隊員が「こんなのは如何でしょう?けと、この作戦を提示した訳なのだ。



 そう、そのマニア隊員は、攻め掛かる敵に対して、漫画や無双ゲーム等で、事有る事に言う定番のネタ「しまったっ!これは孔明の罠かっ!?」みたいな感じの台詞を実際に敵に言わせたのである。



 更にグリクス地方竜騎士航空隊は、迂闊にも87式自走機関砲隊8両の射程内入ってしまったのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る