きっと10話

おはようございます。朝です。宿でおいしくない夜ご飯を食べ、部屋で寝ました。屋根があるとやっぱ安心するね。ちょっと寝すぎてしまったかもしれん。昨夜は寝る前にお風呂に入りたかったんだけど、どうやら風呂はないらしい。仕方がないのでお湯をもらって体を拭いた。これはあれですかね…風呂付きの家を召喚出来るようにするべき? まあレベル上げないとだめだけどね!


朝食をさっさと食べ今日はお金稼ぎをしようかと思う。というかどうやって稼ぐのがいいのか考えていかないと、まだお金はあるけどそのうちなくなってしまうからね。そして洗濯なんだけど、桶を貸してくれたので手洗いだ。洗剤とかもないみたいなのでお湯でジャバジャバともみ洗い。夜のうちにパンツと着ていたシャツを洗っておいた。パンツ…何とかしないとね。最悪ふんどしとかなら布を切るだけで出来る気がするんだけど…まあ最終手段にしておこう。


さて、今日は予定通りお金稼ぎをしたい。そしてお金稼ぎといえばここ。そう冒険者ギルド。昨日は覗いただけだったけど、今日はちゃんと利用するつもりだ。つまり何か依頼を受けるってこと。


「楽なのはどれかなー」


討伐とかありえない。武器もないし、そもそも俺に狩れると思う? 無理。そうなると…町の中で出来ることか、まあ採取くらいならいけるんじゃないかな。名前とかわかるし? でも自分で選ぶのも面倒なんだよね…もう受付のお姉さんに選んでもらおうか。


「…というわけだから、何がいいかな?」

「ちょ~っとよくわからないんですけど、おすすめの依頼を聞きたいってことでいいんですよね?」

「うんそうそれ」


このお姉さん聞いていないようでいてちゃんと聞いててくれたみたいだ。どうやら話の分かるお姉さんのようだ。


「えーとクルミさんはFランクで初依頼のようですね。ではこのあたりとかいかがでしょうか?」

「どれどれ…?」


話の分かるお姉さんが1枚の紙を目の前に置いた。俺はそれをじっと見つめる。というかじっと見つめないと文字が理解できないともいう。


「鍛冶屋の雑用…」

「はい、この町は鍛冶屋が多いので結構そこからの依頼が多いんですよ。それに気に入られれば武器も作ってくれる方もいるようですので、まだ武器を持っていない初心者さんにはお勧めですね」

「武器ねぇ…」


そもそも討伐とか受ける気がないのにいるのか…武器。護身用にナイフくらいならありかもだけど、布団があればいらない気もするしね。まあ武器はいらないけどお勧めだっていうし一度行ってみるか?


依頼を受けることにすると話の分かるお姉さんが地図に場所を書いてくれたよ。どうやら反対側の入り口の近くみたい。というか反対側にも入り口があったんだね。初めて知ったよ。


それほど広い町じゃないので10分もすると目的地に到着。どうやらここが目的の鍛冶屋みたいなんだけど…建物の外観は普通の家にしか見えない。一応看板みたいなのが付いてるけど小さくてわかりにくい。念のため扉を叩いてから声をかけてみる。


「すみませーん」


扉を叩くと思ったよりも大きな音がしてビビったのは内緒だ。でも誰も出てこないね…耳を近づけると物音が聞こえるからいるとは思うんだけど。しゃーない少し扉を開けて中を覗いてみるかね。


そーっと扉を開けると奥のほうから金属を叩きつける音が聞こえてきた。なるほどね…こりゃ~聞こえてないわ。もう勝手に入るしかないね。誰かに会わないと依頼も出来なくて困るし。


というわけでそのまま奥のほうへ向かって俺は進んでいく。入り口の周辺はなんだろう…色んなものが散乱している。棚とかもあるけどあまりちゃんと使われていないみたい。床に直に木箱とかがいくつもならんでいるんだよ。蓋が開いているものもし入り口が開いているのに不用心だね。


うわあ…奥は暑くて熱くてすごいうるさい。まさに鍛冶屋って感じ? 相変わらずの小さなおっさんが大き目なハンマーみたいなのを振り下ろしている。すごい力持ちだ。


「あの~…」


カーン カーン カーン


「も・し・もーしっ」


カーン カーン カーン…じゃないよ。全然聞こえてないじゃん。目の前までいかないとだめだなこれは。


「…ん? 誰だお前は」

「依頼受けたんですよ」


真横に張り付くほど近づいたらやっと気づいてもらえた。どんだけ集中してんのこのおっさん。依頼書を見せるとちらりと俺を見て眉を寄せている。なんでそんな顔するんだよっ


「まあ~たひょろいのが来たもんだな…どれだけ時間がかかろうと依頼料は変らんぞ?」


なるほど。ここで仕事をするのにある程度力がいるってことなのかな。だからあんな顔したのか…力仕事か~…疲れそうだな。


「おう坊主。早速仕事だ。入り口らへんで木箱見ただろう? あん中にゃあ金属が入っておる。『鋼鉄』を全部こっちの棚へ運ぶのが坊主の仕事だ。なあ~に今日中に終われば問題ないからやり方は任せるぞ」


…え? それだけ?? 確かに『鋼鉄』を全部抱えて運んだら重たいし1日かかるかもしれないだろう。実際一塊持ってみたけど結構かさばるし重たい。でも俺にはこの袋があるから楽に運べる。まあ袋に詰める手間はあるがそれくらいだろうか?

となれば早速まずは『鋼鉄』探しからだ。木箱を全部開けて『鋼鉄』を探しそれを次々と袋に詰める。それが終わったらさっき言われた棚へ袋から出して並べるだけだ。まあ並べるというか積むっていうのが正しいかもしれないが。


「終わったぞ」

「…何?」


運んだ『鋼鉄』は木箱3箱分くらいだった。袋に詰めて運んだら30分もかからず終わった。これで報酬銅貨2枚とは中々おいしいんでないか? ざっくり2千円ってことだもんな。時給4千円ってこと? やばくね??


「すごいな坊主! これだけ早く終わるやつは初めて見たよっ ぜひまた来てくれ」


ちょっ…痛いっ 痛いって! 喜んでくれたのはわかったけど背中叩くなってっ おっさん力強すぎ!! 


「ああそうだ。売りもんにならなかった武器達なんだが、この中の1つもってけ。使い方によってはいいもんもあるかもだぞ?」


どうやら武器をくれるらしいやったね。さて何かいい武器はあるかな~…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る