きっと5話

うん…依頼とかどれも面倒だね。ざっくり見た感じ薬草などの採取、魔獣や魔物の討伐…魔獣と魔物の違いがよくわからないんだけど、まあ書かれている名前の生き物? を倒してくればいいのかな。後は薬などの納品、配達、料理の依頼とかもあったよ。依頼出した人はご飯作れない人なのかな。清掃とか探し人ってのもあったよ。それと護衛。どれもこれも面倒な感じだ。お金に困ったら何かやることにして今はとりあえずいいかな。じゃあなんのためにギルドに登録したのかってなるけどあれだよ。異世界なんだよ。とりあえず登録するよね? まあそれだけなんだけど。


さて、今度こそ宿探そうかな。最悪その辺で布団敷けば寝れるのだけどいろんな人に見られたり警察みたいなの呼ばれたら面倒だからね。宿はちゃんととらなくちゃ。まだここに住むって決めたわけじゃないけどいつかは自分の家も欲しいところだ。


あ、そうじゃんギルドで宿聞いてくればよかったよ。うっかりしてた。ちらりと後ろを見るともうギルドの看板が見えないね。戻るほうが面倒かも。ちょうどそこでお店出してる子供がいるし、彼に聞けばいいでしょう。


「ねえ、宿ってどこにあるかな?」

「宿行きたいの?」

「そう宿」

「教えるからなんか買ってってよ」


む…タダでは教えてくれないのか…しっかりした子供だ。俺がこのくらいの頃はもう少し素直だったきがするんだけどな。やっぱ異世界は違うってことかな。えーと売っているものは主に乾燥果実かな。トトルの実、モコの実、ルーの実の3種類だね。トトルの実は甘いらしい。モコの実は甘味と酸味があると出てるね。ルーの実は…辛いらしい。どういった辛いなのかはよくわからないな。


「じゃあトトルの実1つ頂戴」

「1イエーイだよ」


1イエーイとトトルの実を一つ交換する。折角だからそのまま食べてみると確かに甘かった。あれだプルーンに似ている。見た目もそれっぽいしね。5つばかり買っておくことにしたよ。で、モコの実とルーの実も一つづつ購入して味見…と。なるほど…モコの実はラズベリーに近い。甘酸っぱくて赤くて表面がもこもこしている。これも1イエーイ。ルーの実は3イエーイした。少し高めで緑色で細長い…うん、気が付くべきだったね。これ唐辛子だ…青いから青唐辛子…口の中がやばいことになっている!!


「あーそれはそのまま食べたらだめだよ」

「…宿聞いていいかな」

「ああ、ここ」


ニヤリと笑った男の子が親指を立てクイッと店を出している背後の建物を指す…え、その建物なの?? そんなすぐ傍だったのに俺は乾燥果実買って道聞いたの? ショックだーーーっ 俺の驚いている顔見て少年がげらげら笑っている。この野郎!


「兄ちゃんありがとなー」

「……」


落ち着け~ 別に少年は騙したわけではないだろう。俺はからかわれたってことだろう。乾燥果実は食べてみないとどんなものかわからなかったし、いい経験になったと思おう…辛かったけど。そして10イエーイ使っちゃったけど!!


気を取り直して宿へ行こう。どうやらこっちは裏手側だから看板も入り口もなくてわからなかったみたい。表に周るとちゃんとベッドのマークの看板があった。よかった宿の場所はちゃんと教えてくれたみたいだ。


扉を開けて中へ入るといい香りがしてきた。どうやら食堂もやっている宿屋だったみたいだ。その匂いに思わずお腹の音もなってしまう。そういえばろくな物を食べてなかったよ。干し肉とか干し果実とか…どっちも乾燥しちゃってるよ! 普通に温かいものが食べたいよ!


「あ、いらっしゃーい。食事かな? それとも宿泊??」


忙しそうに動き回っていた宿屋の女将さんが俺に気が付いて声をかけてくれた。少しだけぽっちゃりとしてていかにも安宿の女将って雰囲気を醸し出している。


「両方で」

「あいよっ 1泊2食付き50イエーイだよ」

「とりあえず3日で」

「じゃあ150イエーイね」


金貨を1枚渡してお釣りをもらった。大銀貨9枚と銀貨8枚と銅貨5枚だ。どれも初めて見る種類のお金だ。手持ちが金貨4枚と大銀貨9枚と銀貨8枚と銅貨5枚と鉄貨10枚…枚数が多くてややこしいなこれ。そのうち慣れるといいんだけど…


「とりあえず部屋案内するけど食事はどうする?」

「もらおう」

「あいよっ」


お腹すいてるんだよねまだ朝食べてないし。女将について2階に上がると部屋は上がってすぐのところだった。どうやらそこしか開いていないらしい。まあ贅沢は言えないわな。特に部屋に置いてくる荷物はないけれど一度部屋を見てから食事にしようかな。


部屋の中はベッドが一つと机が一つ後窓があるくらいだった。掃除はされているみたいだけど少しだけ埃っぽくて薄汚れている。まあこのベッドの上にさらに自分の布団を出すので寝るのには問題はないだろう。そのほうが安全だしね…とご飯食べよう。


一階に戻り適当に空いている椅子に座ると女将さんが食事を持ってきてくれた。湯気が出ている野菜が入っているスープとパン、それとなんか肉と野菜を炒めたものだ。温かいものが出てきたよ! テンションがあがるっ


でもそれは最初だけだったよ…確かにスープは温かいのだけど、薄い塩味で野菜のうまみは出ていたけれども、あまりおいしくないかな。パンは硬いし…肉は歯ごたえがあってなんの肉かわからなかった。炒められた野菜はすでに冷めていた。もちろんこれも塩味。宿でこの味ってことはこの世界の料理はあまり期待できないのかもしれないね。そのうち自分で作ってみようかな。料理ろくにしたことないけどさっ


部屋に戻り布団を取り出してとりあえずゴロンと転がる。これからどうするか考えないといけないからね。あーそうだ貰った冊子と板を見てみようかな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る