きっと2話
おはようございます。朝です。明るいので流石にそれはわかります…が、誰か状況説明してくれっ 小柄な髭を生やしたおっさんが二人俺の右と左側に立っていてなんかこっちをじっと見ているんだが!!
「お、坊主起きたか…おい、報告頼むわ」
「ああ」
起き上がってみるとどうやら足元のほうにも一人いたらしい。その人が走ってどっかに行った。それにしても本当になんなの? おっさんに見つめられる趣味はないんだが? どうせならかわいい女の子のほうが…ゲフンゲフン。
「なあ坊主。ちょっくら俺たちの町に顔出してくれないか? 話聞きたいし」
「町?」
「ああここからそう遠くないんだわ」
どうやら近くに町があるらしい。町に行けばおっさん以外にも会えるかもしれないな。それならば膳は急げだ。俺は布団から降りると服装を整えた。まあそのまま寝たから少し変な風にしわが寄っている。
「案内頼む」
「来てくれるかっ それはよかった」
おっさんが嬉しそうに笑っている。おっさんの笑顔とか誰得だよ…俺はそんな趣味はないぞ? 二人のおっさんに挟まれてどうやら町があるほうへと歩き始めた。うん…木の棒は当てにならないな。町は反対方向だったみたいだ。
「それにしてもなんであんなとこで寝てたんだ?」
「…眠かったから?」
「ガハハハッ そりゃそうかっ」
なんか笑われた。笑うポイントなんてあっただろうか? きっと箸が転がっても笑える年ごろだったんだろう。
「ほら見えてきたぞ。あそこが町の入り口だ」
町ってなんなんだろうな…おっさんが見てる方向にはぽっかりと岩山に穴が開いているだけだ。まあその両側にやっぱり小柄で髭を生やしたおっさんが立っている。おっさんパラダイスだ。小柄な髭面おっさんパラダイス…どこに需要があるんだろうか。
「ああそうか…坊主はここに初めて来るんだな」
ここというかこの世界事態昨日来たばかりなんだが? なんか鉱山の中に町を作ったらしい? もっと何か言っていた気がするが簡単にいうとそういうことなんだとか。
町の入り口だという岩山に開いた穴をくぐり中へと入っていくと、やっぱりどう見ても洞窟にしか見えない。壁とか足元とか岩でごつごつだ。そして薄暗い。
「まずは居住区を案内するな。というかそこで話を聞かせてもらう」
居住区か…なるほど。そりゃそうだよな。中を丸ごと広い空間とかにしたら山崩れるわ。前を歩くおっさんについて奥へと進むとまたおっさんが二人立っている場所があって、その先がどうやら居住区らしい。天井とかさっきと違ってかなり高く広い場所に出た。
「おお…」
「どうだ驚いたか?」
これは驚いた…家がそのまま岩をくりぬいた状態のものなんだ。あっちこっちにいくつも同じような家が並んでいる。この作りだと新しい家が建つことはなさそうだが…どうしてるんだろうな? まあ俺には関係ないか。
門? をくぐり俺は更に奥へと連れていかれた。。通り道でいろんな人を見かけたけど、小さい髭を生やしたおっさんと小柄な少女しか見かけない。どうやらここはおっさんパラダイスではなく、おっさん+ロリパラダイスだったんだ!! つまりおっさんがロリパラダイスを求めてやってきた結果こんな…
「ついたぞ…」
どうやらどこかに着いたらしい。そういえば何しにここへ来たんだっけな…? とりあえずこの目の前にある建物の中に入るらしいのでついてく。
おっさんだ…案内された先にいたのも小さな髭面おっさんだ。なんでみんな髭生やしてるんだよ。たまにはちゃんと処理して綺麗な顔のおっさんはいないの? まあおっさんが好きなわけじゃないから別にいいんだけど、なんかあれじゃん? 絵面的に欲しいじゃん? 変化?
「長老連れてきました。彼が報告した者です」
俺を連れてきたおっさんが目の前のおっさんに頭を下げている。あ…それ以上頭を下げるのは許してあげてっ だってまぶしい物なんていうか天辺が? 身長がおっさんより高い俺はこう…見えてしまうので仕方ないのだけど、わざわざ見せなくてもいいと思うんだ。その落ち武者。
「では早速だがぜひ見せてもらいたいものだ」
「……ん?」
え、何なんでみんなしてこっち見てるの? ていうか…俺が何かを見せるの?? 何を? やばい話聞いていなかった。ちょっと助けてそこの落ち武者おっさん。そんな気持ちを込めて俺を連れてきたおっさんを眺める。
「坊主が寝ていた時の敷かれていた物だ」
「ああ…布団見たいの?」
なんで?? ただの布団だよ? まあちょっと俺に害のあるやつは入れないけど。とりあえず見たいらしいから布団出してみたよ。
「ほうそれが…少し試してみたいのう」
「ではこんなのはいかがですか?」
…? 布団見たいっていうから出したのに、ろくに見ないでおっさんに落ち武者おっさんが耳元で内緒話だ。だからほんと誰得なのか教えてよ…絵面がよろしくない。内緒話が終わると落ち武者おっさんがさらに別のおっさんを連れてきた。狭い部屋に粛々とおっさんパラダイスが完成しつつある…やばい。
「ガルムよ…そこの少年が『布団』に乗ったらこの木の棒で殴ってみよ。当てることが出来たらあれを上げようじゃないか」
「…当てるだけでいいのか?」
「もちろんじゃ」
なんだなんだ…? 増殖したおっさんが木の棒を持ってこっちを睨んでいるんだが。やばくないかこれ? とりあえず布団に入れば安全だよね?? ってことで俺は布団に飛び乗った。そしたらやっぱり増殖おっさんは殴り掛かってきたよ。顔つきがやばい…なんかきめちゃってる人に見える。見たことないけどね? もちろん布団に乗っている俺には当たらないからいいけど…
増殖おっさんが必死に俺に殴り掛かる。初撃はびっくりしてつい頭抱えてしゃがみこんだけどやっぱ当たらないね。むしろ跳ね返ってはじかれて増殖おっさんが尻もちついたり倒れこんだりして地味に擦り傷が増えている。布団万歳だ。
「これはいいな…ガルムよもういいぞ」
「はあ…はあ… もう、少しだけ…」
「ガルム、長老が終わりだと言っているっ」
落ち武者おっさんが増殖おっさんをひきづるようにどっかに連れて行った。ちょっと危ない人だと思ったから助かったよ。
「少年よ、その『布団』とやらを譲ってくれないだろうか。もちろんお礼はする」
「… …?」
譲る? 欲しいってこと?? あげれるのかな召喚した物って…2組とか出てたしどうだろうか。えーと…このおっさんにあげる…みたいな? 布団から降りてどうぞって感じに手を差し出してみる。するとおっさんは嬉しそうに布団に乗っかった。ふむ…えーとしまえるかな?? …しまえない。これであげれたってことかな? じゃあ俺も木の棒持ってるし? 殴ってみる?
「うをっ …おお、本当に当たらないのだな。だが、一言声をかけてからにしてくれ。驚いたぞ」
ちゃんとおっさんを守っているみたいだ。もうその布団はおっさんの物に違いない。
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