休日
Lie街
鈍い痛み
前日のつまらない夜更かしのせいで頭蓋骨の内側に微かに鈍い痛みが響いている。それは憂鬱と呼ぶにはまだ幼すぎた。
スマートフォンが鳴いている。着信は…なんだよく見る名前だ。僕はほとんど迷わずに電話をとる。
「誰ですか?」
「あら、忘れたんですか?」
お決まりのやり取りの末、僕たちにはしばらくの間沈黙が訪れる。体を起こすと薄暗い部屋の中には、ラジオの空き箱と壊れたパソコン以外には何もなかった。僕はため息をついてまた寝転ぶ。時刻はもう1時を過ぎている。本当はやるべき事は山ずみのはずなのに僕は無言でそれら全てを放棄している。ただただ僕は沈黙と会話しスマホの画面を眺めては笑っていた。こんな日は生きてる意味を見失いそうになる。自分を亡き者にしてみたくなる。家族は数分前に出かけた。仕方なくお昼ご飯を作るために立ち上がる。つけっぱなしのテレビから歌が聞こえる。「これが、愛じゃなければ…」
これは愛なのだろうか?分からないけれども、少し前から、見たことのない感情が僕を支配していることは間違いない。僕は、とりあえずそれを愛と呼んでおくことにした。
目玉焼きと、ウィンナーを机の上に乗っける。これじゃまるで朝ごはんじゃないか!そんなツッコミを自分にされながら僕はそれらをもそもそと食べる。それを全部食べ切ってしまうと僕はスマホゲームを何回かプレイする。勝率は3回に1回くらい。今日は調子が悪いみたいだ。そうこうしていると、周回遅れの選手がゴールテープを切るようにご飯がたける音がした。僕は今更炊けたご飯に少し苛立ちを覚えた。きっと僕がノロノロとしているせいなのに、僕は半ば炊飯器のせいにした。それも食べ終えると、再び、憂鬱の子供と会話をすることになった。生きるってなんだ。僕はなんだ?愛とはなんだ?救いはどこにある?僕はなにか成し遂げられるのか?不安は消える?賢い人とは誰だ?弱い立場とはどこだ?強い立場とは誰だ?
考えたって答えなんてでないし、でたとしてもすぐに忘れる。もういいんだ、そんなことは。
「明日、空けといてよ!じゃまた!」
電話が切れる。僕はギターを取り出して歌う。さび切った弦からは最悪な音がしてたけど、味といえば味か。テキトーな歌を作っては歌う。「あの日 君が泣いた日 僕のロックンロールは死ねなかった」
僕は今誰の歌を歌ってるのだろう。この歌は僕の今を歌った歌じゃない。これはもしかしたら予知なのかも知れない。
バイトの時間だもう行かなければならない、途中でモンスターエナジーを買おう、どことなく頭がまだ痛いし、子供は家に返さなければならないでしょ。
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