第8話
わたしは志望校はやっと決めたけど、なかなか授業についていけなくなっていた。
集中力が低い日なのか、ずっとボーッとしちゃう。
「
「え、うん! 行くよ。みゃーちゃん」
体育館ではバスケの授業をしていた。
ちょうど、男子はA組と合同で校庭でサッカーをやっているみたいだ。
「
バスケの授業は好きだけど、部活でやりたいとは思えない。
何度かバスケ部に入らない? って言われたけど、部活は家庭科部でやりたいことがあったし。
ゲームをやることになった。
早速みゃーちゃんからパスをもらって、そのままドリブルで突き進んでシュートした。
「よっしゃ!」
スリーポイントシュートはなかなか入らないけど、普通に体育では実技試験の成績はいいんだよね。
「小夜、すごい! ほんとにバスケ部に入っててよ~」
「えー、家庭科部だけで十分だよ」
「すごいじゃん。小学生の頃、地域のバスケチームにいたってほんと?」
「うん。
試合結果は二点差で勝った。
レイアップシュートのテストの練習をしてから、練習が終わっていた。
更衣室で着替えて、次の授業の準備をしようかなと思ってたけど……教室では男子が着替えてる。
「みゃーちゃん、どうする?」
「こうなったら……着替え終わったやつに聞くしかないね、あ! 狩野!」
陸上部でクラスメイトの狩野に話をしている。
「着替え終わってる? もう女子、全員来るから」
「大丈夫だよ?」
大丈夫そうだから、教室に戻っていった。
四時間目は理科の実験で、出席番号順で男女別のグループで実験することになっている。
「ただいま~」
「あ、おかえりなさい。小夜、雪華は部活?」
「女子バスケ部。そうだね……確実に遅いから。雪華の分は残しとかないと」
母さんは仕事場が近所になって、しかもシフトも楽になったから夜ご飯とかを作ってくれているんだ。
「母さんがご飯、作ってくれるの、とても感謝してる」
「どうしたの? 急に、ほら。早くしなさい。お風呂がわいてるよ」
やっといつもの日常が戻ってきた。
幼稚園の頃。
わたしと雪華は延長保育で、母さんの帰りを待つことが多かった。
迎えに来てから、母さんが大急ぎでご飯を作っている間にシャワーを浴びて、サッパリとしてからご飯を食べていた。
まだ、あの頃は母さんの仕事がこんなに忙しくなかったし、夜遅くに帰ってくることもなかった。
いまだったらわたしと雪華のために、夜遅くに帰ってくるまで仕事をしているということを知ってるから。
――いつも、ありがとう。
そう伝えたい。
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