第4話

『あんたさぁ、ヴォルテールの名言を知らないの?「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」ってヤツ』

 俺は、いつものようにSNS上でブサヨに論争を挑んでいた。

『一体、何度、同じ事を言うんですか? ヴォルテールは、そんな事を言ってませんよ』

 ……ええっと、そう言や、このやりとり何回目だったっけ?

 とりあえず、ブサヨが、また、Wikiに嘘を書くなら、また、俺が正しく修正すれば良いだけだ。

『これが歴史修正主義者のやり口です。間違いだと判ってる事を何度も何度も言い続ければいい。本当に楽な商売ですね』

 今回は、横から変な事を言ってくるヤツが現われた。

『何、ムキになってんだよwwww これだからサヨクはwwww』

『冷静なままトチ狂った事を堂々と言ってる本物の気○いです。御笑覧下さい』

 何はともあれ、今回もWikiのヴォルテールの項目を確認し……あ〜、やっぱりブサヨが内容を書き換えてやがる、では……ん?

 おい、待て、何で修正出来ない? このエラーは、どう云う意味なんだ?

 知恵袋サイトでどうなってるのか詳しい人に教えてもらった所、どうも、Wikiのヴォルテールの項目は「同じような修正と差し戻しが何度も続いた為、『にわか』のヤツには内容の修正が出来なくなった」と云う事らしい。

 クソがっ‼

 翌朝、気を取り直した俺は、ある事に気付いた。

 そう言えば、あのブサヨは、どこの誰なんだ?

 そうして、俺はSNSで、ヤツのプロフを見た。

 ヤツの肩書は「評論家・ラジオパーソナリティー」だった。

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