第2話

『あんたさぁ、ヴォルテールの名言を知らないの?「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」ってヤツ』

 俺は、いつものようにSNS上でブサヨに論争を挑んでいた。

『ヴォルテールは、そんな事言ってませんよ』

『いや、何言ってるんだよ。有名な名言だろ。これだからサヨクはwwww』

『あなた、さっき、私に「Wikiにちゃんと書いてあるだろ」って言いましたよね。そのWikiってのがWikipediaの事なら、Wikipediaのヴォルテールの項目をちゃんと確認して下さい』

 ブサヨの言う事など無視すれば良かったのだ。

 しかし、俺は、悪魔のささやきに従ってしまった。

 念の為、Wikiで「ヴォルテール」の項目を調べてみた。

「ヴォルテールの名言とされてきた文言」

 待て、何だ「されてきた」って?

「実はヴォルテールの著作や書簡にはみえず」

 クソが、無い事の証明は「悪魔の証明」と言ってだな……。

「ヴォルテール自身の言葉とはされていない」

 誰だ? こんな大嘘をWikiに書いた奴は?

 そこで、俺は知恵袋サイトで、Wikiに大嘘を書いてるサヨクが居るので、正しい内容に修正する方法は無いのか? と言う質問をした。

 そして、そこで教えてもらった方法で、Wikiのヴォルテールの項目を正しく修正した。

「……とサヨクは言っているが、サヨクどもは『無い事の証明は悪魔の証明である』と言う事しか知らない。つまり、ヴォルテールが、このような事を言わなかった事を証明する方法は無いので、この名言はヴォルテールが言った事である。はい、論破‼」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る