第12章(3)正しい進化
「神に選ばれし者」と言うと、どういう者のことを言うのだろうか?
あなたの家族や友人、川の魚や野に咲く花々、大空を羽ばたく鳥たち・・・勿論あなた自身も含めて自然に選択されているという意味からすれば、すべてのものが「神に選ばれし者」と言えるだろう。
また人類史においての宗教観によっては、神の命に従い生きる民のことを「選ばれし者」と言ったりもすれば、そんな者はいやしないと言う概念も存在する。
一概に神と言っても、その存在が何なのか? あるいは存在するのか、しないのか? 過去の時代を含め、この地球で自らを人と呼ぶ生物が数多く生まれ死んで行ったように、捉え方、考え方も十人十色である。
そんな人類は物事を「選択」できる知性を有している生き物である。
しかしながら、人類は正しい選択をした進化の道を歩んでいる生き物であると言えるだろうか?
その結論を述べる前に、それでは「正しい選択」とは何なのか・・・その答えは良いものを選び継承すること、良くないものを選別し、遺さないこと・・・
天の意志ではなく、私たちはその「選択」と「選別」を自らの意志で決定し、実行している。
詰まるところ、その選択と選別を判断する人体の機能が重要なのである。
意志を決定するのは他でもない人体であり、その機能は遺伝的要素、生命を育む空間からの影響、教育、人生での経験、食すもの、睡眠の在り方など、先人たちから脈々と受け継がれて来た生命を全うする在り方のすべてが影響する。
そして、それらすべての影響によって人格を含めた人間を形成する。
また人と言う名の生命体は人体を維持するために「良いもの」と「悪いもの」を選別するうえで、自らの人体が変化すれば、その変化した人体にとって「良いもの」と「悪いもの」を選別するようになる。
それもまた十人十色な訳で、現在の地球では数十億まで増加した人の中で欲望を振り翳したほんの一握りの権力者が自らの心身にとっての好都合な「選択」と「選別」をして、地球という惑星を支配しているに過ぎないのである。
崇高な精神を持ち備えていない時の支配者が決定する、その「選択」がより多くの人にとって「良いもの」である場合と「悪いもの」である場合によって、人体への影響は大きく異なり、多様な「変化」を齎すのである。
残念ながら、現代社会においては「良いもの」が自然選択されることよりも「悪いもの」が選択されることもあり得るのであり、人類は正しい選択をした進化の道を歩んでいる生き物であるとは言えないのである。
誤った選択をしてしまう多くの人は「良いもの」の正体を知らない。
それでは人体にとって「良いもの」とは? 人体にとって「悪いもの」とは何なのか? その答えは「清らかなもの」が「良いもの」で「穢れたもの」が「悪いもの」であり、それは私たちが存在している世界の「理」なのである。
嘸かし悔しかったことでしょう・・・この「理」を体感から理解していたにも関わらず、時代の荒波の中で穢れた強欲な者たちに押し潰されてしまい、想いを成就することなく逝ってしまった人たちは・・・
人と言う生命体は、人体にとって「良いもの」である「清らかなもの」を肉体に取り入れれば、人体を構成する細胞もまた清らかな方向へ展開(分裂)する選択をして、人体の各部位がより清らかになりやすくなる。
ひとつひとつの細胞が清らかな基準をメモリーするようになり、その結果、身体感覚は清らかさをより繊細に体感できるようになることによって感性もまた豊かになる。
他方、「悪いもの」である「穢れたもの」を肉体に取り入れれば、細胞もまた穢れた方向へ展開(分裂)する選択をして、人体の各部位はより穢れやすくなる。
取り入れた穢れを当たり前とする細胞は、その基準をメモリーするようになり、その結果、身体感覚は穢れが平気な状態に鈍化を進めるあまり感性も劣化する。
「神に選ばれし者」とは、言い換えれば「清らかな者」のことであり、それは「良いもの」である「清らかなもの」を選択し、「理」に準じて「正しく進化」している者のことである。
もし、人類が此れまでの歴史において誤った選択を繰り返していなければ、人間と清らかな神々との距離は今よりもずっと近く、現在の地球よりも遥かに清らかで美しい惑星に私たちは存在することが出来たでしょう。
しかしながら、現在は地球規模での穢れが進行しているために現代人は鈍化が著しく、工業化やロボット化などの技術開発を押し進めることはしても、清さの基準を正しく持ち備え、その質を向上させようとはしていないのである。
大凡このような状勢で地球環境に多大な悪影響を与えて来た人類が穢れとともに今日まで歩みを進めて来たからこそ、地球は汚れた惑星へと姿を変えてしまったのだ。
それでもまだ懲りずに鈍化した人類は誤った「選択」を繰り返し、空間を穢れさせる速度を加速させて自らも病人と化してゆく・・・
汚穢に塗れて病原菌と化した人類は、姿形を変えて宇宙空間に蔓延っても清らかなものにとってみれば迷惑この上ない存在であって、其れを「正しい進化」だと言うことは誤りなのである。
この広大な宇宙に生を受けた自らを人と呼ぶ存在には無限の可能性がある。
神様たちの存在を思い込みではなく「体感」することができる朋友のように正しく進化したものを空間に生むことができる潜在能力を秘めている。
即ち、人と言う生命体は穢れた欲望を脇目も振らずに生み出して空間に悪影響を齎す脆弱な存在から、清らかな気を放ち空間にあるすべてのものに対して、正しく進化するための要素を分け与えられる強靭な存在までを誕生させることができる可能性を有しているのだ。
未来を明るく清らかな世界へと変えることができる能力を有しているにも関わらず、現代人はその可能性すら自らの手で無きものにしようとしていることを知りもしない・・・
そして、そんな人の一生は道理を熟知して分別がつくほど長くはない。
由々しき問題を抱えた空間で暮らすことを余儀なくされている人体は穢れが進行しているが故に、現在の学問の到達点を超えた「理」を体感から理解することができるようになることを学習しておらず、清らかさを基準とした判断力と物事を正しく精査するだけの処理能力を持ち備えていない。
汚れた惑星、穢れた肉体、それらから創られた人工物の寄せ集めでは清らかなものを増やすことは容易ではなく、「正しい選択」をすることが更に困難を極めるであろうことは誰にでも想像できる筈だ。
有耶無耶にして問題を先送りする時間は人類にはなく、「誤った選択」を更に続ければ人にとっての明るい未来はない。
人類が現状を打破し、地球規模での諸問題を解決するためには多くの人々が「清まる」必要があり、其れを実現させるには地球規模での環境破壊を食い止めて、この惑星を美しく綺麗な場所にすることである。
この世界に清らかな空間を増やすことは、この惑星で生きているより多くの存在が命を輝かせることをできるようになる唯一の方法であって、それが「理」に準じた人が選択するべき「正しい進化」なのである。
「正しい選択」をしなければ、近い将来、人類は跡形もなく灰塵に帰することになる。
自室でひとりパソコンに向かっていた結子は、今宵も清らかな心身の感覚を研ぎ澄ませながら全身で受け取る神々から託かった情報を綴り終えると、静かに目を閉じ眠りに着いた・・・
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