2022年4月
モダンタイムス
ラストレター/岩井俊二
映像作家の書く文章はキツい。。
主人公は自称小説家なのだが、その語りの文だとしたら、小説家をやめてしまえとおもってしまうほど、文章が良くない。視点がコロコロ変わる。意味ありげなフラグは回収されず、よくわからない暗示だけで消費される。ラストは小学生が書く作文のような会話が乱立する。あー、きっとわたしの目が肥えてしまったのね。
相変わらず作者に起因する初恋信仰作品で、現在の夫婦関係の大抵は破綻している人が多い。恨みはわからないわけではないが、都合よく、人が死んだり、DV受けてたりするのに、手のひら返すように突然心を入れ替えたりと、リアリティはない。舞台やお芝居の世界ではわからなくもないが、三つ子の魂百までというくらいなので、人はそんなに変わったりはしないのでは、と心配になる。
逆に、自殺した未咲は自分で選んだ道なのだから自業自得ともいえ、登場人物の全員がなにをノスタルジックに変換してんだよともおもえる。ここら辺も映像だと解釈が変わりそうな気がする。
ということで、映像と小説はぜんぜんちがうと改めておもいました。(打ち上げ花火〜やリップヴァンウィンクル〜などの映像作品は好みなので、決して人格否定しているわけではなく、得意分野があるのだなというはなしですよー。)
なお、映像ではDV夫が庵野ということで、ちょっと見てみたい。キレてるところ、リアリティありそう。
モダンタイムス/伊坂幸太郎
勇気はあるか?
魔王の続編。文庫本版は単行本とは真実が違うらしい。
真実が違ったとしても、大きくは変わらないとのことだが、それはなんとなく理解できる。
悪は存在せず、みんなただ仕事をしているだけ。アリは賢くないが、コロニーは賢い。つまり、システムのお話。
事実を隠すために、大掛かりな真実をでっちあげる。都市伝説みたいなことが起こる世界。
結局、超能力が存在するのかはわかりませんでした。
佳代子のモデルが伊坂幸太郎の妻らしいとのことだが、異常な方なんだなということがとてもつたわってきました。
物語のラストの伏線回収はあんまりって感じでしたが、途中の安藤商会のあたりはとても読み応えのあるところで好みでした。
命売ります/三島由紀夫
数年前にTVドラマやっていてとてもおもしろかったので、それだけで三島由紀夫に興味を持った。
ドラマ版は自殺に失敗し、命を売ることで死のうとするが、結果依頼者の周りの人が死に、自分は生きていくような繰り返しエンドであったが、原作は死にきれないことで逆に生に執着する様になり警察に助けを求めるエンドになっている。また、原作では結構どんでん返しがあって、天才かよとおもった。
章ごとに場面が切り替わっていき、目まぐるしい展開でありながらも、奇妙で狂った世界に踏み込む羽仁男の生き方が追体験できてよい。wiki参照だが、三島由紀夫はサイケデリック冒険小説と認識していており、まさにその通りだなとおもった。てか、ニンジン暗号事件を一瞬で解決できるなんて、羽仁男マジ天才じゃね?
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