2022年3月
終末のフール
まだ伊坂幸太郎まつり。まだ15年前の作品までしかよめてない。
4冊/1852ページ
*終末のフール/伊坂幸太郎
8年後小惑星が地球と衝突すると発表されて、5年が経過した仙台のひとびとの物語。ミステリー要素は特にないけれど、各話で人間が被っていて全体を通していろんな考え方があるんだなとおもいました。
死亡フラグが立った人だけ、最終話に出てきてなかったような気がします。
*陽気なギャングの日常と襲撃/伊坂幸太郎
つづきもの。バラバラのお話から、ひとつの大きい事件に巻き込まれていき、誘拐された社長令嬢奪還をめざす。
伊坂幸太郎作品あるあるなのですが、悪役の行動はかなり非情なのですが、行動原理自体は人情味のあるものになっていて、事件の発端となった可哀想な誘拐犯の家族に銀行強盗で得た金を渡しにわざわざ新潟までいくみたいなこともしていて、そのアンバランス感がすごいなと。みんな金に厳しいはずなのに、ぱっと手放せるのがすごいよね。
*フィッシュストーリー/伊坂幸太郎
四篇からなる短編集。うち二作でやさしい空き巣こと黒澤さん登場。
動物園のエンジンは、元動物園の飼育員が夜の動物園で毎日横たわっている謎についてのお話。初期の方の作品。この頃から、視点トリックが使われていてとてもよかった。
サクリファイスは、黒澤さんが探偵として、ある村を調査した時のお話。
フィッシュストーリー自体は、人の善意は受け渡されていくような話。フィッシュストーリーという曲をつくったことから、本人たちの知らないところで世界を変えていたお話。
ポテチは今西が出てきてて、のちのホワイトラビットのキャラがめっちゃいるやんってなった。あと重力ピエロのくだりもちゃんと含まれていて、よかった。ホワイトラビットはもう一回読も。
*ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎
普通の一般人が、当然新総理爆殺の犯人に仕立て上げられてしまったら、というお話。
事件パートを読み終えたとき、思わず拍手してしまいました。たぶん、現実的にはこのラストなんだろうなというところ。
いっぽうで、事件から三ヶ月後、ラストのスタンプは演出としては最高だが、脈絡がなく、リアリティゼロ。ここまで論理的だったのに逆におもしろいなと。
また、事件から20年後のパートを読み直して、つながりをたどると、より真相への理解が深まる仕様でよいとおもいました。
人類の最大の武器は、習慣と信頼、だそうです。
もう一冊読んでいますが、上下もの故、次回。
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