未来
本です。
今回は珍しくいろんなメディアに触れて来ましたので。
未来/湊かなえ
湊さんの作品で、まさかフェミっぽいことするなんておもいませんでした。いや、少女の貧困がテーマっぽいのですが、結局それは両親が起こした事件からそうなっているんですよね。本当のおとうさん以外の男はろくでもない奴らが多かったです。が、おかあさんがバグっているのが前提なので、まともな男もそうではない描写になっていたのかもしれない。人形と化したお母さんも元々富豪の家族だし、逆に言えば日本の家制度に苦しんで、落ちていったのかも。一度転落するとどうしようも無い、という描写が多いが、ラストは不特定多数に助けを求めるというエンド。その行動力があったのなら、はじめからそうしていればよかったのでは? とおもうのはわたしがあまり感情移入できなかったからなのかもしれない。
ギンイロノウタ/村田沙耶香
ブサイクでコンプレックスのある少女が男の視線がほしくて大胆な行動にでたり、中学の先生の半ば嫌がらせによって毎日先生を殺害する描写をノートに書き足していく、という狂気が、さすがだなと。突然、なにかのスイッチが入ったかのように、急展開するのが村田沙耶香の作風でして、こちらもなかなか良かったです。
銀色の扉が出てくるのですが、これが後の作品のタダイマトビラと繋がっていた気がしますが、だいぶ昔に先にタダイマトビラを読んでしまったので、関連が読み取れませんでした。
サウスバウンド/奥田英朗
いわゆる左翼の父を持つ小六男子のお話。
左翼、といっても元左翼が正解かも。反政府ではなく、反国家。国に帰属して義務が生じるのが嫌だと。どの団体にも所属することなく、自由に生きたいが正解。子どもにも学校に行くなと言いながら、実際行くことには口を出さない。子どものやりたいようにさせたい、が正解かも。
前半と後半で父の印象が結構変わるのはとてもおもしろいです。
近代の共産主義の限界と、資本主義の否定みたいな。金はいらないけれど、物の所有についてあいまいな社会。土地が空いていれば使えばいいし、いらないものはあげればいいし、そうやって善意で成り立つ沖縄のサイハテの考え方。
あれだけダサく見えていた父のカッコよさが伝わってとても良いとおもいました。正義を主張することは悪いことではない。けれど、左翼じみて団体となって主張するのも違う。誰のせいでもなく自分の責任において自分の正義を貫く、それが犯罪であれ覚悟があって行動するなら、仕方ないかなと。
*
なんだかんだ、読み物としては左翼じみた作家の作品をよく読んでいる気がします。
ただ、共産主義(みんな仲良く貧乏で、サボったもの勝ち)より、ノブレスオブリージュの存在する資本主義(与えられる人が与える前提で、働ける人が働いてその分もらえるものがもらえる社会)の方がわたしは納得できます。文句をいうより、自分で手を動かして、変えたいじゃん、社会。
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