第9話 何者ですか?
2日目早朝
小雨だがソーサラーのおかげで全く濡れないが、さっそく始まった。
動物の唸り声と足音で目が覚めた。
エルザ「なんか、犬がいっぱい来たよ」
真っ黒な体、燃え滾る目、黒い息、地獄の底から吐き出されたような見た目
エウフェリア「あれはヘルハウンドです」
マサムネ「ヘルハウンド?」
犬に集られるとは、想定してなかった。
ここを出ると弱肉強食の世界、間違いなくエサにされる。
犬の朝ごはんにされるのは御免被る
イーサン「撃ち殺しましょうか?」
エルザ「僕がやる」
エルザが布で覆われた戦鎚を持ってきて、紐を解きだした。
ラフィア「では、動きを止めますので、その間に追い返してください」
エルザ「わかった」
エルザは戦鎚を構えた
ラフィア「ソーサラーとして命ず、かの者の動きを止めよ、」
例の魔導師長より短い詠唱でここまでやるとはすごい
エルザ「僕はさよならは言わないよ、だから帰って」
ヘルハウンドはエルザの一振りで空高く飛んで行った。
イーサン「なんと、一振りでこれはすごい」
ユリウス「みんなして朝からなにやってるの?」
エルザ「燃えた犬がいっぱい来たからみんな僕がぶっ飛ばした」
ユリウス「燃えた犬のランクは3ですよ、本当なんですか」
支配者クラスの戦闘力が無いと排除できない。
エルザ「本当だよ、僕は嘘は付かないもん」
嘘をつけないから、自爆するような性格なら仕方ない。
エウフェリア「確かに、あれはヘルハウンドでしたが、少し違ったような気がします。少し大きいと言いますか、威圧感がすごかったです」
マサムネ「また新種か?」
ユリウス「死骸はどこに?」
エルザ「どっかに飛んで行った。」
ユリウス「あや~それでは討伐数には入らないですね」
マサムネ「何でですか?」
ユリウス「原則、死骸の数が討伐数です、無ければ記録になりません」
[死骸の数]または[ギルマスの立会い]が無ければ記録にはならないという。
エルザ「ごめんなさい」
レティ「人を助けて謝る理由は無い」
この騎士は毎朝のことだが、めちゃくちゃ汗かいてる。
ユリウス「結果がどうであれ学生がハザードランク3を倒せたのはすごいですよ」
学生記録ではユリウスのランク2が以前の記録だったが記録は更新されエルザのランク3となった。
マサムネ「そんなにすごいことなんですか?」
ユリウス「普通ならありえませんから」
イーサン「エルザって一体何者ですか」
エルザ「普通の女の子だよ」
ラフィア「普通の女の子がカーリーを扱うなんて無理ですよ」
エルザ「これカーリーじゃないもん」
エウフェリア「見た目はカーリーそのままですがあれば巨人族の3大金属器です、それにエルザは私と同じ女の子ですよ」
レティ「胸はエルザが大きい」
エウフェリア「そ、それは余計です」
エルザ「これ、おばあちゃんからもらった」
ラフィア「模倣品にしては細かいところまでしっかりと装飾されてる」
マサムネ「カーリーってそんなにすごい物?」
レティ「巨人族の3大金属器、戦鎚のカーリー、メイスのギデオン、戦斧のルイン、です、そんな物の一つがここにあったら国同士の奪い合いでパニックです」
エルフの3大武器、聖槍のフリューゲル、聖弓のヒメル、聖剣のファントムソードなど様々存在する。
マサムネ「巨人族の武器は名前からして破壊系か」
ユリウス「でもレティさんの言う通りです、先輩冒険者も現物を見たことは無いと、このような精巧な模倣品を見れただけでも光栄です」
イーサン「そんな物が存在するのですね」
マサムネ「ところで、マシューの奴どこ行った?」
エウフェリア「知りません」
また失踪した、面倒な男だ。
イーサン「探しますか」
マサムネ「狩のついでに探す」
準備を始めたパーティーの元にまた、先生がやってくる。
先生「ランク3です。ユリウス以外は避難してください」
ユリウス「俺もランク3は流石にひとりでは無理ですよ」
先生「なら私も戦います」
マサムネ「先生、既にエルザが終わらせました」
先生「あのエルザさんが、ですか」
エルザ「先生、来るのいっつも遅い、もう少し早かったら、先生が戦う姿が見れたのに」
先生「遅くなって申し訳ない」
マサムネ「何でこんなに時間がかかるのですか?」
先生「元冒険者として言い訳はしたくないですが、発令まではギルドで待機しています」
何故わざわざそんな遠くにいるのかわからない
先生「先生はこう見えても冒険者が立ち上げた調査旅団の参謀長なんです、ですから皆様では対処できない災厄があった場合、すぐに旅団を手配できるようにしています」
最初から旅団を率いて行動すると維持費がかかるそうだ。
イーサン「先生は参謀長もされてるのですか」
先生「いろいろあってですね」
レティ「元冒険者も大変だ、、、」
先生の情報をすこし手に入れたが、未だに本名がわからない、ただ[先生]としかわからない。
周りは既に明るくなっていた。
雨は上がり、水たまりに反射した光で完全に目が覚めた。
エウフェリア「そろそろ朝ごはんにしませんか」
エウフェリア「先生も一緒にどうです?」
エウフェリアとラフィアは料理を始めた、本当に仲のいい感じ
先生「ほかのパーティーに癒着と思われますよ」
レティ「私が騎士として全力で先生を守る」
毎度のこと余計な一言で話が逸れる
先生「レティさんは本当に騎士だったのですか」
レティ「下級貴族の騎士です」
先生「貴族で冒険者をされてる人とか、騎士で冒険者されてる人はいますが、エルフで騎士とは聞かないです」
レティ「エルファルトはエルフも騎士をやってますよ」
どうやらエルフの女の子が騎士とは珍しいようだ。
先生「レティさんとエルザさんは一体何者なのですか?それにこのカーリーそっくりの武器」
エルザ「これは、おばあちゃんが僕にくれた」
おばあちゃんから戦鎚貰うとは時代も時代
レティ「私は何も無いエルファルトの下級の貴族、家は練兵場の管理をやってる」
先生「信じ難い話です」
マサムネ「話がややこしい」
エウフェリア「できましたよ」
日に日に料理の質が上がっていく。
このソーサラーの飯が美味い。
イーサン「空腹では何もできません、食事にしましょう」
エウフェリアはそこら辺の食堂よりまともに作れてる。高級なレストランかそれ以上
ラフィア「魔法は便利ですね」
全員が席に座ってから合言葉を言う
先生「深くご恩を喜び、ありがたくいただきます。」
「いただきます」
食事が終わり、先生はギルドに戻っていった。
イーサン「ブリーフィングをお願いします」
くじでハズレて嫌々指揮官をやらされてる。ゲームだと部下は猟犬かボロ雑巾、現実だと慎重すぎてわけのわからない方向に進んでいく。
マサムネ「仕方ない、では、始めます、本日は課外授業の2日目です。優先事項はマシューの捜索、魔物の討伐は優先しません、魔物との交戦は極力避けてください」
イーサン「戦力の低下は1番避けないといけないです」
マサムネ「では始めましょう」
イーサン「その調子です」
ブリーフィングは本職が、、、
そんな雰囲気をよそに、準備が始まった。しばらくして準備が終わり、捜査が始まった。
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