愛と記憶回復の巡礼 0.3

主人公は昔の記憶が曖昧で、親しい友人がいない。過去を思い出すために、おぼろげな記憶がある町をめぐることにする。


かつての知人に会い、ゆかりのある場所を訪れるたびに過去を思い出す。町々をめぐり、かつての恋人と、自分の親友がいる町にたどり着く。恋人は心臓の病で入院し、ドナーが現れるのを待っている。医者に助かる方法はないかと問い詰めると、言葉を濁す。医者が休憩で部屋を出た隙に、医者の部屋に忍びこみカルテを見ると、検査の結果、親友がドナーになれること、自分はドナーになれないことが分かる。主人公は、自分が恋人を救えないことに絶望して逃げ出したことを思い出す。

親友を訪ねて殺害し、すぐに救急車を呼ぶ。自分はその場から離れ、病院に忍び込み、医者の部屋の窓から聞き耳を立てる。恋人のドナーが現れたことを、電話で医者が確認している声が聞こえ、医者は部屋を出た。


主人公は、恋人が救われるまでの間、空いた医者の部屋に再び忍び込み、デスクに出された資料を読み、真実を知る。恋人と自分はすでに死亡しており、現在は記憶を復元したアンドロイドだった。生前、恋人を失った主人公は自殺していた。

「恋人を助けるために、親友を犠牲にできるか」というトロッコ問題に、人間がいかに対処するかの検証実験のために、主人公と恋人は蘇らせられ、親友は捏造されたアンドロイドだった。

不治の病をインストールされた恋人は、病室でまだ苦しんでいた。主人公は恋人がこれ以上苦しまなくて済むよう、泣きながら恋人にも手をかける。


参考文献

ロバート・パーシグ「禅とオートバイ修理技術」

宮部みゆき「保安官の明日」


ひとこと

殺しすぎ、死にすぎ。

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