負け戦(受動的攻撃行動)

ホワイトカラーワーカーは通勤をやめ、会議や雑談も含めてVR空間で仕事をするようになった。

主人公の企業のITサポート担当で、他人との対立が苦手で避けている。ムカつく社員から依頼されると、作業時に通信の優先順位を下げたあと、わざと元に戻さないことで嫌がらせをしたりする。だが、実は自分の価値を認められたい。


支社長が主人公を呼び出して、仕事を依頼する。各社員のタイピング、眼球移動、ファイルサイズの変更などから、社員の活動量を推測して報告しろと言う。社員をこき使って、売上を上げるためだ。管理部門のコストは支社長の責任ではないため、コスト度外視で依頼してきたのだろう、と主人公は考え苛立つ。それに社員の監視と酷使は、長期的にはマイナスだとも考える。

主人公は支社長の命令に、表立って反抗せず、だが手を抜く。残業しているふりをして、趣味のプログラミングをした。社員の活動量が大きく上下しないように、測定間隔を調整することで、社員たちが常によいパフォーマンスをだしているように見せかけた。

だが、支社長は、監視AIを購入し、社員を監視しはじめ、主人公が手を抜いていることを突き止める。支社長は、あえて他の社員に聞こえるよう、VR空間を隔離せずに主人公を叱責する。


主人公は、自分や他の社員だけでなく、支社長も一日の間にパフォーマンスが変動するエビデンスを見せる。また、変動は人間の想定範囲内であり、これ以上の酷使は人道的にも、効率的にも悪手だと、恐る恐る説明する。

支社長はさらに叱責するが、それを聞いていた社員が集まり、自分たちが主人公に守られていたことを知る。社員たちは団結し、支社長に異を唱える。支社長は大声で怒鳴り返すが、その声は、主人公によって本社にも送られていた。本社の人事部門は支社長をクビにし、主人公たちは幸せに仕事を再開した。

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