222 街中での攻防戦③/隊長達の連携
ワイルドグリフィンの斜め後ろにいたライラが動いた。両手に持った双剣で、背中に切りにかかる。
――ガァッ!!
ワイルドグリフィンが振り向き様、前脚の鉤爪で一閃。
「この攻撃、受けるわ!」
双剣を盾にして、ライラは鉤爪を防いだ。ライラはやや背が高く、成人男性の平均的な身長並みで、ちょうどライラの胸あたりを狙ったワイルドグリフィンの攻撃を完全に止めた。
それにより、ワイルドグリフィンの動きも止まった。
「いま!」
フェン、フィオナ、オルハンの3人が動く。
「うおお!!」
フェンが雄叫びし、ワイルドグリフィンの背後から双剣で突き刺しにかかった。
――ウゥ~ガァッ!!
「なっ!?」
「きゃっ!」
ワイルドグリフィンは身体をねじ曲げるように反らすと、勢いよくその場で回転。ライラとフェンを押し飛ばした。
「おっしゃあ!!」
回転した後の隙をついて、オルハンが懐に入った。ワイルドグリフィンが鉤爪を振り回すが、それをウォーターアックスで受け流し、下から上へとなで切りした。
――ズザッ!!
ワイルドグリフィンの正面、首下の胸あたりを切り裂いた。
「うし!手ごたえあり!」
「オルハン!クチバシが!!」
「なに!?」
首下を切りつけられたワイルドグリフィンはまったく怯むことなく、黄色いクチバシを突き出してオルハンへ襲いかかった。
――ブスッ。
なにかを刺す音がした。
「くそっ!喰われてたまるか!!」
とっさにオルハンはウォーターアックスを突き出した。
――パシッ!
「ウソだろ!?」
ウォーターアックスの剣先を、ワイルドグリフィンはクチバシで挟み込んでいる。
――ブンッ!!
ワイルドグリフィンが、激しく首を振る。
オルハンは振り飛ばされた。
「オルハン!!」
――ザザッ!ザッ!ゴロゴロ……。
オルハンはギリギリ受け身を取る。
――ウァアガァアア!!
少し体制を崩しているオルハンに、ワイルドグリフィンが追い討ちをかけに突進してきた。
しかし、
――ガシャアアン!ドン!!
ワイルドグリフィンの突進はオルハンからズレて、さまざまなものを壊しながら石の建物の壁に激突した。
「みんな、お疲れさま」
フィオナの声がした。
「やったわね、フィオナ!」
ライラが興奮して言った。
「ちゃんと、急所の部分を突いたわ。これで左脚は機能停止したハズよ」
ずっとワイルドグリフィンの死角へと回り込み続けていたフィオナが、オルハンとの交戦中、レイピアでグリフィンの後ろ左脚を突き刺していた。
そのため、オルハンへと飛びかかろうと踏み込んだ瞬間、左脚に力が入らずバランスを崩していた。
「オルハン!いけ!」
「これでトドメだ!」
――ジジジジ……!!
水の圧力が増す。切れ味の上がったウォーターアックスを、オルハンが構える。
――ガァッ!
――バサッ。
その時、身を起こしたワイルドグリフィンが翼を広げた。
――バサッ、バサッ。
そして、上空へ。
どんどん高度を上げてゆく。
「逃げたか……」
オルハンがつぶやいた。
高度をあげたワイルドグリフィンは、そのまま飛び去っていった。
「ようやく、一体ね……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます