シスターレナに叱られたい!
雛山
懺悔其の一 猛毒聖女懺悔室に立つ!
部屋のドアをノックすると奥から女性の声がする。
「入りなさい」
優しげな声、だが芯の通った声。
「失礼します」
アタシはドアを開け軽く礼をして部屋に入る、すると五十代位の女性が柔和な顔で出迎えてくれる。
彼女はシスターケイト、実年齢六十なのだが十歳は若く見える。若いころは美人だったのだろう、今もその面影は残っている、肩で切りそろえられて少しウェーブのかかった見事な金髪に上品な顔立ちは今でも美人と言っていいだろう。
「あらー、レナちゃん今日も美人さんね。私の若いころにそっくり、流石は私の娘ね」
「いやいや、アンタとアタシャ血は繋がってないから」
「あら、いやだお母さんに向かって酷いこと言うわね。でも仕方ないじゃない毎回思うもの、レナちゃんは美人さんだって、その赤みのかかった長い髪も容姿と相まって凄く綺麗なのよ、流石は『猛毒聖女』様よね」
「その仇名はやめてくれよ恥ずかしいんだから、しかもアタシから名乗ったわけじゃないし」
アタシの黒歴史的な過去の仇名を持ちだしてきやがって……昔、少しヤンチャしてた時の仇名だぞソレ。
ヤンチャって何かって? んー、昔はやさぐれてて喧嘩ばっかしてたもんさ。そのせいか世間様じゃ口の悪さに喧嘩っぱやく、この容姿も相まって『猛毒聖女』って仇名がついたんだよ。
やさぐれてた理由もアタシの両親がどうしようもないクズでね、思い出したくもないから割合するが両親が原因さ、そのあと両方とも事故で勝手に死んじまったけどな。
そしてヤンチャしてたアタシを拾ってくれて、今では親代わりになってくれてるのがここにいるシスターケイトってわけさ、そしてこの教会で働く他のシスターがアタシの姉妹さ。
「それで用事とは何でしょうか?」
強引に話を戻さないと
アタシが呼ばれた理由をシスターケイトに尋ねるとシスターケイトはクスクスと笑っている
「やはりその口調のレナちゃんはおかしいわね、見た目と口調はあってるのだけど昔を知ってると可笑しくてね、クスクス」
「笑うなよ、アタシだって似合わないと思ってるんだし」
「ごめんなさいね」
「……たく、それで何の用事なんだい?」
アタシは再度シスターケイトに用事の事を尋ねた。
「レナちゃん、貴女にしばらく懺悔室を任せたいの」
え? 聞き間違い? このアタシが? 最近までヤンキー娘だったアタシが他人様の懺悔を聞いたり悩み相談しろと? シスターケイトはボケちまったのか?
「ちょ、ちょっと待て、アタシが懺悔や悩み相談とか冗談だろ?」
アタシの言葉に、シスターケイトは頬をぷくーと膨らませて。
「冗談じゃないですー、本気ですー、決定事項ですー」
ババアがぶりっこぽくほざきやがった、少し似合ってるのが腹立たしいなこれ。
「ウゼェ……さり気に決定事項って言ってるし」
「レナちゃん、そうこれは決定事項なの」
「しかし何故アタシなんだい?」
「うちの教会、神父様いないじゃない。次の神父様が来るのが来年との事なのよ」
「えーと、今が一月だから……って、まるまる一年後じゃないか、神父様がいないとかどうなんだここ?」
実におかしな話なんだが、うちの教会さ何故か今神父がいないんだよね、なんでも深刻な神父不足だとかで派遣が間に合わないそうだ、まあ好き好んで神父になりたいヤツなんて少ないだろうな。
「シスターが懺悔室をする理由は分かったけど、何故アタシに白羽の矢が当たったんだ?」
「理由は簡単よ、貴女が一番適してるからよ。うちの他のシスター見てみなさい」
アタシは自分と一緒に働く他のシスターを思い浮かべる……あぁ、こんなアタシがマトモに見える連中しかないな。
「……あぁ、確かに。懺悔室なんかに向かないわ、あの人たちは」
「そういう訳でお願いねー」
このババアは頑固なんでこうなったら折れやしない、アタシはため息をつくと。
「わかったよ、でもアタシは言葉も悪いし頭もあまり良くないからな、どうなっても知らないぞ」
「いいのよ、懺悔も悩みも割とテキトーに聞いておけばね」
「聖職者がそんなんでいいのかよ」
「あらー、貴女も聖職者よ」
「はぁ、確かにアタシも聖職者だったわ……」
「とりあえず一年の間お願いね」
仕方ないのでアタシはこの決定事項に従う事にした、アタシって何だかんだとこの人には頭が上がらないのだ、後は一年の期限付きならまあいいか。
「了解しました『
「はーい、任せたわよ」
こうしてアタシはあの
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