第9話 ギルドで
ギルドに向けて歩みを進める。
ギルドの建物に着いた。
いかにも冒険者ギルドですと言った雰囲気だ。
うん、ベタだな。
扉を開く。真昼間とあって人は少ない。
皆依頼に向かってるからな。
受付に向かう。これもまた受付嬢が美人だというベタな展開。
「あのぉすみません。」
やっぱり美人には敬語ですよね。
「はい。なんですか?」
「両親の遺産がギルドにあるって聞いてきたんですが。」
「はい?それはいったい?」
「これ身分証です。」
身分証を渡すと目を見開いた。
「ス、スフィンドールってあの事件で遺体が見つかってないウィンバルドくんですか!?」
「は、はい。」
「な、なるほど分かりました。少々お待ち下さい。」
慌てた様子で奥にパタパタとかけていく。
しばらく待っていると戻ってきた。
「確認が取れました。ウィンバルドくんのご両親の遺産が残っています。こちらが通帳になります。ギルドにお越しいただいた際にこちらを見せていただき、金額を伝えれば引き出すことができます。」
「分かりました。早速引き出せますか?」
「はい、もちろん。いくらですか?」
「ええっと、1,000モンで。」
「はい、かしこまりました。少々お待ち下さい。」
また奥へ入っていく。
この国のお金の単位はモンである。
10モンで飲み物が買え、80モンで昼食を取ることができる。騎士の平均年収は40万モンくらいである。
1モンが鉄貨、10モンが銅貨、100モンが銀貨、1,000モンが金貨、1万モンが白金貨となっている。
「お待たせ致しました。銀貨10枚でよろしいですか?」
「はい、大丈夫です。」
「それでは無くさないでね。」
「ありがとうございます。あと冒険者登録って出来たりします?」
「冒険者ですか!?ちょっと早くない?」
動揺で敬語が崩れてますけど大丈夫ですかね。
「いえ、親がいないのでお金を稼がなくては。」
「なるほど、大丈夫です。登録できますよ。」
「じゃあお願いします。」
「はい。それではこの書類を記入してください。」
書類に名前や年齢を記入していく。
「出来ました。」
「はい。ありがとうございます。」
「それではこちらの水晶に手をかざしてください。」
手をかざすとペカーと光り、やがて光が収まる。
「ありがとうございます。お、なかなかステータスが高いですね。こちらがギルドカードになります。無くさないようにね。」
「ありがとうございます。」
「それではギルドの説明を聞きますか?」
もちろん知っているが、怪しまれるので聞いておく。
「はい、お願いします。」
「はい。まず、冒険者ギルドは市民や国からの護衛や討伐などの依頼を冒険者の方に斡旋する組織になっています。国や他の組織には縛られず、独立したもので、各地にあるギルドは連携をしています。
ここまではいいですか?」
「はい。」
「ギルドでは、ギルドランクが存在し、低い方からG、F、E、D、C、B、A、Sです。依頼の完遂能力や、戦闘力などを総合的に見ることでランクが上下していきます。初めはGからということはなく、最初にランク試験を受けて頂き、そちらの結果をふまえて最初のランクが決まります。
受験料は200モンとなっておりますので後ほど。」
「はい、分かりました。」
「続いては依頼についてです。依頼はGからSまであり、自分のランクとその上下1つまでしか受けることはできません。基本的にランクの高い依頼ほど依頼料が高くなっており、またそれに伴って危険も大きくなっていますので、自分のランクより上のランクの依頼を受ける時は気を付けてください。依頼は一度に10個まで受けることが出来ますが、依頼を達成出来なかった場合違約金が発生し、ランクが落とされる場合があります。またそれが悪質な場合はギルドからの除名処分となることもありますので、自分の身の丈にあった依頼量を受けることをおすすめします。」
「なるほど。」
「そして依頼による怪我や死亡についてはギルドは一切その責任を負いません。ギルドにその責任がなければの話ですが。最後になりますがギルド内での私闘は禁じられています。正当防衛などは例外ですが。もし私闘をした場合は冒険者資格停止処分や除名処分となります。また冒険者が外で一般人や他の冒険者に手を出した場合も処分の対象となります。こちらで説明は以上になります。こちらが細かい利用規約になっておりますのでちゃんと読んでくださいよ!」
読まない人が多いのだろう。
「は、はい。」
「それではランク試験の概要を説明しますね。試験はBランク冒険者の方が試験官となります。まず、試験官と模擬戦による戦闘力の判断、次に簡単な依頼を受けて頂き、それをどのくらい達成できるか、最後は試験官の独自の試験となっています。一日で終わる場合もありますが、試験によって長くて1週間程かかる場合もあります。大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です。」
「それでは試験料200モンになります。引き落としでも出来ますが?」
「じゃあそれでお願いします。」
「かしこまりました。それでは試験会場へ案内しますので、お呼びするまでしばらく待っていてください。」
「分かりました。ありがとうございました。」
受付を離れて空いている席に座る。
皆さんお気づきだろうか。
なぜステータスが軒並み1万越えで、スキルや魔法が馬鹿みたいにある俺が不審に思われなかったのか。
それはひとえにサムタイムズスキル"手加減"のおかげである。これにより実際のステータスを100前後にまで落とせることが出来、ステータスの数値にも反映される。なのであの受付嬢が見たものはチートのステータスではなく、ステータスが100前後で、普通のスキル量も普通の冒険者が持っているスキルを5つだけ表示されるようになっている。魔法の量も3つだけだ。
なので子供にしては異常に高いが不審では無い。
なるべく目立ちたくないもんでね。
面倒事はごめんだぜ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます