見捨てる
彼女は神の気まぐれで地球で事故死した後に異世界に転生した……
もちろん様々なチートを与えられるのだが……
勇者として力をつけ…… 気の強い親友と呼べる大魔法使いリカと世界を冒険して恋をしてリカと男を取り合い…… 伝説の武器を持って魔王と戦いなんとか百恵とリカだけで倒す事ができた。
――― しかしこれがダメだった。
神の予定…… ゲームバランスでは魔王との戦いで人種族の3分の1が滅ぶ
簡単に2人だけでストーリーを終わらせた事で神はやる気を無くす
「チート…… 与えすぎたかなぁ…… 」
ポツリと神は呟(つぶや)き
「なんなの!? なんで復活してるの? 」
女勇者…… 山野百恵(やまのももえ)は驚愕した。
林街道をプラプラと歩く百恵とリカの前に魔王がなんの前触れもなく現れたのだ。
真紅のローブにカエルのような顔……
身長は3メートルを超え腕や足は毛で覆われている…… 間違いなく魔王だと戦った2人は体に残る恐怖で理解する。
「モモエ! 気をしっかり! いくわよ! 」
「う…… うん! リカとならまた倒せるよね! 」
魔王を倒した勇者と大魔法使いなのだから、
地球でいうなら戦略兵器のような魔法の暴力が魔王に向かって荒れ狂う
百恵の魔法は木々の並ぶ街道は形を変質させ炭化しまたは溶岩のように溶ける。リカの魔法は空間を圧縮し1秒に満たないがブラックホールのようなものを作った。
ブラックホールのアインシュタインリングが光り輝き周辺の万物を吸い込み圧縮するが……
「え? 」
「なんで? 」
魔王は無傷で…… ローブに肌蹴(はだけ)すらない……
魔王はニヤリと笑い左右の手を2人に一本ずつ向けると百恵は意識を失った。
リモコンを神の部屋で握る百恵の手に汗が滲む
「何をされたから…… 分からなかった…… 」
「ただ風魔法を使われた
神の顔を驚き見ると『続き続き』 とリモコンを押すジェスチャーを神がする。
「さ…… 再生…… 」
――― 勇者は神の加護があるので死んでも復活する
それは常識だった。
だから魔王は一撃で死んだ百恵は生き返ると思い、それまで部下に遊ばせるようにする。
ゴブリンやオーガ、豚(オーク)に犯される体
気が早く指を数本食べるワーム
何時間も続く映像に神の部屋にいる百恵の顔は歪みリモコンで早送りをする。
途中にリカが四肢を抵抗し生きたまま切り離される映像に噦(えず)きながら……
―――――― そして魔王は理解した
もう勇者は蘇らないのだと。
神はこの世界を見放したのだと。
裸に剥かれた勇者を剥製にし、屍(しかばね)であっても馬鹿に出来るよう糞を詰めた。
クサイクサイとゴブリンが百恵だったものを笑う。
魔王は記念碑(モニュメント)として飾る台座を用意するように指示をするとリカの皮膚を引き伸ばし継ぎ合わせた革張りの椅子を用意すると百恵を座らせた……
「えっと」
「え? 」
真っ青な顔をした百恵に神の言葉がかかる。
気付かずに流していた涙を拭い神の言葉を待つ
「どうするの? 」
「はい? 」
「いや
ニコニコと神さまは百恵の亡骸で遊んでいる映像を指差す。
復活…… してももう魔物に勝てない……
リカもいない……
また陵辱され殺される……
「アソコには戻りたくないです…… 転生させて下さい」
チラリと異世界(ディール)に残した人々や友達を思い出したが見捨てる事にした。
自分が可愛いという罪悪感から汗が背中を濡らす
「そう! よかった! 百恵の勇者姿は結構よかったから次も頑張ってね! 」
にぱーっと笑う神に怖気を覚えながら百恵は次の転生先へいく準備に入った。
異世界(ディール)は神と勇者から捨てられたのだ。
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