303.アキラ、横になる。

 身体は徐々に動くようになってくる。そうして、口も動かせるようになり始める。




「皆・・・、ありがとう。」




その言葉を聞いて、彼女らは安堵の表情を浮かべる。




それを合図に、彼女らの緊張の糸が解け始めていき、あることに気付き始めた。




縮こまっていたナウい息子が、その視線を一身に受ける。




「ワァー・・・。(照れ)」




ミユがそう呟く。次第に乙女たちの頬は赤く染まり始める。




それに対して、男として彼女らに恥をかかすわけにはいかない。何も言わず、さり気なく桶でナウい息子を隠すのであった。




彼女らは一瞬、少し残念そうな顔をしたのは、多分見間違いであろう。




 それから、身体を拭いて温かい服装に着替える。こんなに注目されながら着替えたのは、いつぶりであろうか、6歳以来だわと思いながら、着替え終える。




「アキラ様!! さぁ、横になりましょう!! 」




そうアルテシアに手を引かれて、半強制的にベッドに寝かされる。




まゆきとテラは、何か温かい料理を作ってくれており、ミユは前に飲まされた薬らしきものを調合している。




イリスとアルテシアの二人は、ベッドを挟んで向かい合うように座って、僕を見守っている。何か咳をしようものなら、二人の連係プレーで介助される。




「そ、そんなにしなくて大丈夫ですよ。」




そう言うが、




「そんなこと言って、アキラはもうちょっと自分を労わりなさい!! 」




「そうですよ、アキラ様。もっと私達に甘えてくださっていいのですよ。」




イリスとアルテシアにすごい心配される。




「宿主、私からも休息をとることをお勧めします。今、宿主の身体から異常な細胞増殖を感知していますので。」




精霊さんにも、そう言われたらそうしようかと考え直す。




え、ちょっと、待って。今、不穏なワードが聞こえたんだけど、僕の気のせいかな・・・。




「いいえ、気のせいではありません。宿主の意識が戻った時に新たなスキルを獲得されていました。そのスキルというのが、少々未知なものでして。」




そう精霊さんは答える。いったい、どんなスキルなんだと、身構える。




「自己再生という、なんともアレなスキルです。」




嗚呼、確かに自己再生って、なんだか最終的に人間やめそうな能力なのは確かだ。でも、多分このスキルのおかげで復活できたような気もする。




「そんなに、悪そうなスキルじゃないと思うけど。まぁ、用心に越したことはないか。それじゃあ、精霊さんの解析が終わるまでは、大人しくしておくよ。」




そう言って、しばし横になるのであった。その時は、まだこれから待ち受ける羞恥プレイのことなど、考えもしなかった。

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