112.アキラ、逃げる。
異様な静かさが支配する夜の町をアキラは、駆けていく。ここからすぐに脱出しないとまずいと感じながら、城壁の近くまでやってきた。
「精霊さん、あと限界になるまでどれくらいある?」
「もって、3分といったところでしょう。」
そう精霊さんは、壁を這うことができる時間を教えてくれる。ハンターセンスで警備の者が居ない場所を探す。
そして、ちょうどいいところを見つけて、壁を這い始める。
ペタペタと垂直に近い、壁を登っていく。
「あと、一分です。」
ギリギリ登れそうだ。そう確信して、這い続ける。そして、あともう少しで登れ切るところまできた所で、
「限界に達しました。」
と精霊さんが、言った瞬間に、身体が壁から離れるのを感じる。やばいと手を伸ばして壁の淵を掴む片腕で全体重を支える。すぐに、もう片方の腕を壁にかけてなんとか、登りきる。
登る際に時間がかかってしまい、警備兵がこちらに気付き、近づいてくる。やばいと感じる。
近くには、武器の保管場所や資材置き場があり、剣や弓矢、箱、ロープなどが詰まれている。そこに滑り込んで隠れる。
矢を持った弓兵がふたり近づいてくる。まずい、このままじゃ見つかると思い、弓矢を取り、狙いを定める。
そして、放つ。ひとりの頭に命中する。もうひとりがそれに気付き、撃たれた方を見て止まる。
続けて、矢を取り放つ。矢はぐーーんと伸びて、胸を突き刺す。だが、刺された弓兵が異常ありと大声で叫ぶ。
辺りが明るくなる。どうやら、ここでマナ回復はできそうにないと悟る。
仕方ないがないので、もう一度弓を引き、仕留め損ねた奴を始末する。
そして、壁の外を見るけっこうな高さだ。このまま、なにか脱出する策はないかと考える。
ロープはけっこう長さがあるので、これを使うことを決めるが、結ぶ場所が見当たらない。
そこで、重石を使っておりることがアイデアとして浮かぶ。しかし、どこにそんな丁度よく重しになるものが、そう思い周りを見るが、都合よくいい重しが見つからない。
「それなら、重石の代わりに重さがあるもの。」
ふと、思いつく、先ほど殺した人間の死体を重石にすればいいのではないかと。
ロープを手に取り、その死体に近づく。そして、ロープに死体をひとつ乗せる。さらに、その上にまた二人目の死体を乗せ、ロープを縛る。
そして、自分にロープを巻き付け準備完了と同時に、外側の壁を降り始める。
慎重にだが、すばやく少しずつ降りていく。ロープはちょうど、地面より、5m高いところで途切れる。
仕方ないので、ロープを電流で焼き切り落下する。まず、足から落ち、そのまま体を丸め地面に転がりながらすねの外側、お尻、背中、肩の順に着地する。
「うっ!!いてぇな・・・」
と思いつつも、五点着地に成功して、ダメージを最小限にしそのまま、走る。弓兵が矢を撃ってくる。
ハンターセンスが飛んでくる矢を検知して、進むべき道を直感で知らせてくれる。そして、ミユが待つ森まで走っていくのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます