55.アキラ、春来たる。
いろいろありすぎて忘れていたが、乱入少女はなんと、移動中に盗賊から助けた少女であった。
どうしてジルド皇国の姫さんが、他国のアルトリス王国にいるのだろうかと疑問に思う。
「ええ、私はおじであるアルディカ候の後見人として、この国を訪れていました。
少しこの国を見物しようとこの国を遊覧していたのですが、運悪く賊に捕まりかけたのです。」
この異世界の姫様アクティブだな。と思いつつも、ああそれは災難でしたねと相槌を打つ。
「そして、また運命の再会を果たせたのです。あの瞬間、あなた様の放った雷撃で、確信しましたわ!
あの時の雷の君であると! 」
熱い視線を送られながら話すアルテシアの目の中には、ハートがあるような気がした。やん、怖い・・・。
続けてイリスがそれに付け足す。
「決闘の後、私のもとにアルテシアがやってきたの、アキラ様をどうするおつもりですか?ってお母様は結婚される気まんまんだった。
私はこの城には、拘束したくないの、私自身の感想なんだけど王族って退屈で憂鬱なのよ。それで決めたの、アキラには自由の身になった状態で決めてほしいって。
もちろん、自由の身になっても逃がしはしないからこの提案をしたのよ。」
と最後の方に恐怖を感じつつも、またあの生活に戻ることは喜ばしい。
また、狩ったことのない動物もいるので、このまま城に捕らわれることは避けたかった。
「ん?でも、逃さないってどういうこと?」
と言うと、イリスは嬉しそうに
「私はずっとあなたのそばに居るってこと。逃げようとしたって無駄だよ。絶対に見つけ出すから。」
まぁ、怖い事言わないでよ。
ふと、先ほどから無言のテラを見ると、悟ったような顔をしている。彼女にこのことをどう思っているか聞くと、
「まぁ、私はアキラさんが幸せで、最後に私の元へ戻ってくればそれでいいですから。」
と、どこの王だよ。と突っ込みを心の中で入れる。
「私は、あなたの子を産めて幸せに過ごせれば、ほかに女が居ようと構わないわ。」
とイリスは肝が、据わったことを言う。アルテシアもそれに頷く。
この国の結婚観は、元の世界とは少しかけ離れたものであると、この時の僕は思い知る。
その表情を見て、イリスは続けて、
「多分、あなたが異邦人であることは、いずれこの世界に知れ渡ると思うわ。そうすると、自ずと似たような子たちが集まってくると思うから、女の一人や二人、どうということはないのよ。頑張ってね。」
優しい?アドバイスをくれる。その言葉を聞いて、春来たるぅーー!!と心の中で叫ぶのであった。
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