Ⅻ.アキラ、話す。

 さわやかな日の光が覚めざめを誘う。気が付くと日の出の時間だった、




(昨日のアレはなんだったんだろうか・・。)




と昨夜の夢を疑問に思いながらも、服についた泥を払いのけながら家の中に入る。




テラはまだ寝ている。寝顔に見惚れつつ、硬い土の上で眠っていた身体を解す。




「お目覚めですか?」




と声がする。テラの方を振り返る、まだテラは眠っている。




(なんだ、寝言か・・・。やけにピンポイントな寝言だn・・)




と関心しようとした瞬間、気付く。




いや待てよ、あたりを見回す。しかし、誰もいない。




「嫌ですね、私ですよ私。」




声の主は笑いながら答え、アキラは混乱して、なにがなんだかわからなくなる。テラが、それに気付き起きる。




「アキラ、テサアハ。」




とあいさつをする。




動揺を隠しつつ、テラの言葉をオウム返しする。




テラはいつものように、朝ごはんの支度をする。




「おい、精霊さんよ。やっぱり俺の中に住んでいたのか、なんでもっと早く答えてくれなかったんだ。びっくりしたじゃねぇか!!」




と精霊に問う。精霊は




「私も眠っていたんですよ、宿主が起きたからって、同じように起きるわけではないですよ。」




とぐうの音もでない正論を言われる。テラが朝ごはんを支度している。




横で精霊と話しているが、やはり精霊の声は聞こえないのだと理解する。




「昨日、言ってたマナってのは、食事から取れるの?まさか死んだもの駄目ってことは、俺ずっと生食ばっかりってこと。」




と疑問点を投げかけると、精霊は答える。




「嗚呼、すみません言葉足らずでした。正確には腐りかけるというか、なんと言ったらいいのでしょう。虫が湧くと言いますか、そのような感じの蛆共がマナを食べていくんです。」




嗚呼、なるほど。




「じゃあ、もしかして、味噌でもマナは回復するか。」




と問いかけると、




「はい、その通りです。」




と精霊さんは答える。




 テラが朝食の支度を終えて、鍋を持ってくる。




そして、食べ始める。最初にテラがスプーンを掬い、僕に食べされる。




その次に僕が、スプーンも掬い食べさせる。その光景を見ていたのか、精霊さんが茶かす。




「なんですか、この光景はバカップルですか。」




とド正論を言われ、顔が真っ赤になる。




「アキラ、フェイアキド。」




とテラが、笑いながらしゃべっている。それの恥ずかしそうにしながら野菜を食べる僕であった。




すると、精霊さんが




「宿主、スキル【以心伝心】が、少しだけなら使えますが使いますか?」




と問われる。




(嗚呼、そういえばそんなことも言ってたな。)




思いだしたかのようにスキルの話が出てくる。もちろん、テラに感謝の気持ちを今すぐ伝えるために、即行するのであった。




(ポワワン)




と気の抜けた音がする。何も起きない。




「精霊さん、何も起きないんですが。」




と質問すると、精霊さんはまぁ、少々お待ちください。というような返事をされる。




すると、テラの言うことは訛りが強いが、半分ほど理解できるようになっていた。




耳を澄ましよぉ~く聞くと、




「なんだが、こった時間楽すい時間流れるなんて、わんつか前のわっきゃ考えらぃねがった。アキラ本当にどうもね、こったごど言葉通ずねはんで言えるごどなんだばって、なんだが照れ臭えね。」




まぁ、う~~ん、フランス語? ああ、でもこれは、どこか聞き覚えがある方言でもあった。そして、なんとか言おうとしていることを理解し、




「僕も楽しいよ。」




テラにその言葉に固まり、今度はテラが顔を真っ赤にする。




「いづがら、聞いでだのアキラしゃぁぁぁぁん。」




その光景を、精霊は微笑ましく見ていた。

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