第5話 自分が食いたいだけなのでは?


「おーい、蘭」

「なんですか?」

「おまえ、冷蔵庫のアイス食った?」

「食べません」


 あっ。僕だ。と思う僕。


「えっ? ほんとに?」

「食べませんよ。どうせ、猛さんの好きな歯磨き粉味でしょ?」

「チョコミント味な」

「歯磨き粉」

「食わないか……」


 うん。僕だからね。犯人。


「食わないよな」

「ええ」


 あっ、二人がめっちゃ、こっち見てる。


「かーくん。アイス食べたんですか?」

「食べたよな? かーくん」

「えっと……」


「かーくんなんですよね? 歯磨き粉味のアイス食べたの」

「いや、あの、歯磨き粉味じゃなかったけど……」


「あっ! やっぱり、かーくんが食ったんだな?」

「ああ、その……うん。ごめん」


「かーくん! 僕と猛さんに謝って!」

「だから、ごめん」


「僕、ハーゲンダッツのいちご味が食べたいな」

「えッ?」

「買ってきて」

「ええッ?」

「何か?」

「いや、なんでも……行ってきます」

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