ドラゴン退治の勇者を目指して、

ツカモト シュン

序文に代えて、趣旨の説明を

【ドラゴン退治の勇者を目指して、】

いかにもタイトルだが、これは小説のタイトルではなく、自分自身とともに歩んだラノベやゲーム、RPGなどを半生として綴ったモノとなる。

それにカクヨムではジャンルに『創作論・評論』があるので、ここで少し書き綴ることにした。


さて、【ドラゴン退治の勇者を目指して、】この題名は国民的RPG「ドラゴンクエスト」を意識したモノではない。

まず、このタイトルの名前を付けた理由を語っていきたい。


せっかくカクヨムで書く以上、ライトノベルの話題から少し触れていこう。

昨今のライトノベルを引っ張っている存在として、「電撃小説大賞」は外せないだろう。ここから多くの名作が生まれていった。

ただ、歴史、背景を深く語るとキリがないため、あくまで「電撃小説大賞」をメインに。


その歴史はまず「電撃ゲーム小説大賞」という名称だったのが、大枠である電撃ゲーム3大賞が「電撃3大賞」と改称して、第11回より「電撃小説大賞」となっている。

実際、回数自体は継続しているので、名前が変わったというよりも短くなっただけで、それで何か大きく変化しただろうか。


ただ、そうとはいえ、電撃ゲーム3大賞が「電撃3大賞」としたことで『ゲーム』の冠が取られ、また、開催期間(1994年から2003年まで)を明示することで、この変化は大きな意味を持っているような気がする。


それともう一つ、電撃ゲーム小説大賞のイメージイラストを歴代、見ていくと竜、ドラゴンが描かれている。

その名前を変えた第11回電撃小説大賞ではイラストレーターは緒方剛志氏。緒方剛志氏は『ブギーポップシリーズ』手かげており、ある種ブランドカラーを打ち出した、電撃小説大賞を新たに始まるする。


第10回電撃ゲーム小説大賞までにイラストを描いた人たちも知名度は高いが、少々失礼な話だが、今でも一線を活躍しているかといえば、違うと言わざる負えない。

ただ、これは悪い意味ではない。第1回でイラストを描いている天野喜孝氏は完全にファンタジー小説ではレジェンドだ。では、今日のライトノベルでは氏の表紙で売れるだろうか。

私が言いたいのはそういうこと。時代に合わないのだ。


電撃ゲーム小説大賞時点でのイメージイラストは少し以前のラノベを意識しているような気がする。そして、それに代表されるイラストレーター陣営で描かれている。

(ここは筆者の推測、思い込みが入っている。多少のずれ、あるかもしれない。また、イラストレーターの名前ははっきりしているので、検証は容易なのだが、時間はかかるため、推測で済ませています)


そもそも、ドラゴンであるため、ファンタジー色が強い。2000年以前では、「ライトノベル」よりも「ファンタジー小説」として呼ばれているのもあるだろう。そもそも、言葉として「ライトノベル」自体は、1990年初めに出てきた言葉とされるが、その後の移り変わりや言葉の普及から考えても、「ライトノベル」としての概念は2000年以降を刺すべきなのかもしれない。


つまり、電撃ゲーム小説大賞の開催期間(1994年から2003年まで)はここに合致する。

電撃ゲーム3大賞は第1回・第2回はコミックではなく電撃ゲームデザイン大賞、つまり『ゲーム』の冠であるだけにゲームの位置づけが大きかった。その冠が取られることで、『ライトノベル』として完全に移行することになるのは歴史から、経緯から見ても明らかとなる。


その後の年代ごとでも、イラストから見て取れるテーマ性が見て取れる。それは受賞作にも反映されている気もする。ひとまずは長くなるので「電撃ゲーム小説大賞」時点でまとめよう。


国民的RPG「ドラゴンクエスト」は文字通り、ドラゴンが出てきて、姫を救出する。おとぎ話の定番である。


おとぎ話=ドラゴン退治=ゲーム


この構図はファミリーコンピュータ時代では鉄板だった。

だが、「電撃ゲーム小説大賞」の名前を変えて、2000年以降ではドラゴンはあまり見かけなくなった。それでも絶滅には至っていないが、ゲームに置いても、この存在が我々の前に脅威を示したのはいつ以来だろう。


ある意味はドラゴンは死んだ。ドラゴン退治をする勇者もいらなくなった。

これは勇者としてのアイデンティティーの消失である。


この流れ、今よく知る流れに似ていないか。そう、この消失がいわば、「なろう系」を生んだのではないか。


さて、こんな言葉がある。


『お伽話は、ドラゴンの存在を教えるものではない。そんな事、子供達は知っている。ドラゴンを殺す事が出来ると、お伽話は教えるのだ』

ギルバート・ケイス・チェスタートン


私はこの言葉だけしか、聞かなかったため、この言葉の意図することは言葉通りにしか受け取れない。それに作家ギルバート・ケイス・チェスタートンの作品も読んだわけではない。

ただ、私が今語ってきたことは、正にこれだと思う。


『ドラゴンのいない時代に、勇者(読み手である子供達)は何を目指すのか』

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