虹の夕暮れのはなしがしたい

 私はずっと虹の夕暮れのはなしをしたかったんだ。



 毎日、毎日、日は暮れていくわけですけれども、

 空の下のほうだけが燃え盛って、上のほうはクリアに透き通るかのように水色、そしてやがては藍色にその場を明け渡していくとかいう、……ハッ、となるような瞬間がありますでしょう。



 そういうときには自転車を停めて見入るしかなかった、……ランドセル。



 あのね、

 そういうはなしじゃない。そういうはなしじゃ、ないんだよ。

 私がずっとしたかったはなしは、なにひとつ、教室には存在しなかったんだよ。



 虹の夕暮れのはなしがしたい。

 暮れなずむ風景そのものに対してあんまりにも思い詰めると、はなしたい。

 ああそんなもんだよね、で無関心の鈍さで終わらせられるのではなく、



 虹の夕暮れのはなしをしたい。

 虹の夕暮れのはなしをしたい。



 そこには王国だって広がってるはずだよ、って――天国のはなしまで、してやりたいんだ、よ。

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