だめなんだ

少年は世界をなめていた

名作とうたわれる本を読んでは思った

こんなの僕だって書けるさ


じゃあ書いてみろと同級生に言われた

同級生は本が好きで何冊も分厚い本を読んでいた

やってやるよと彼は言った

出来上がった作品は我ながら惚れ惚れするものだった

自信たっぷりに作品を見せた


全然だめだな、これ


あいつの感性はダメだと少年は思った

だから次は絵をかいた

そして絵のうまい少女に見せた

彼女はとても絵がうまかった

まあ僕ほどじゃないけどね


全然だめね、これ


あいつの感性もダメだと少年は思った

だから次は楽器を始めた

そして音楽の得意な先輩に聴かせた

先輩は有名なコンクールにいくつも入賞していた

あんなの僕だってできるけどなぁ


全然だめだね、これ


どうしてみんな僕の才能をわかってくれないんだ

僕に才能がありすぎるから嫉妬しているのか

そうだ

天才は往々にして孤独だというじゃないか

僕はきっと天才なんだ


いつになったら受け入れられる?

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