朱殷のリボン
時が経つのは早いもので、今日は12月24日。
クリスマスムードの溢れる中で、誰も彼女を見ないから、彼女のために赤いリボンを買った。
ダークブラウンの髪に似合うと思ったから。
君はふんわりとゆるく髪を巻いていて、その髪をすくって“かわいいね”といえば、君はくすぐったそうに目を細めた。
赤いリボンを結んでやればやっぱり似合っていて、僕は目が離せなかった。
音楽が鳴り出し、パーティーが始まる。
僕が君の手を取った刹那
僕はそれが幻だったことを知った。
悲しくて、もう何度も経験したはずの別れが、何度繰り返してもまた繋ぎ止められなかった自分が悔しくて、下唇を噛んだ。
なんで会いにきてくれたの。
僕を連れ去らないなら、悲しくするなら、、、、
会いに来て欲しい。
クリスマス、そういえば君の誕生日だったね。
そうだな、どうせ誰も僕たちを見ないパーティーをするくらいなら、2人だけのクリスマスを過ごそうか。
誰もいない場所に行って、2人で小さなケーキを分けよう。
君はなんのケーキが好きかな。
僕は甘いものが大好きだし、トークは得意じゃないから、ケーキのほとんどを食べちゃうかも。
君もあんまりお喋りじゃないから、2人で黙り込んじゃうかもね。
それでも居心地が良くて、離れ難くて、ずっと時が止まればいいのに、なんて思うんだ。
ふんわりと消える雪を“綺麗だね”なんて言いながら。
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