第23話クリスの勘違い
「離して!降ろして!」
リズルに抱かれ、手足をバタバタと動かしている
「すまないな、クリス。とりあえず、本部の外まで出るまでは我慢してくれ」
階段、廊下を走り駆け降りていく
瓦礫、崩壊が進む本部、人々の音が少しずつ外へと聞こえてくる
少しずつ二人の行く手も狭まってくる
クリスは暴れるのを諦め、リズルにぎゅっと掴まる
「リズルさん」
「どうした?」
「アリス、雰囲気違った…怖い」
二人がもうすぐ外へ着くを頃、本部の外では、避難する人々が溢れて大騒ぎになっている
「これは…まずいな」
何とか本部の外へたどり着いた二人
「リズル!」
ノーツ医師が二人を見つけ駆け寄ってくる
「ノーツ医師…無事でしたか」
「えぇ、まさか退出している時に覚醒して出ていくなんて…」
「ノーツさん…」
ノーツ医師を見て、クリスは少しホッとした顔をする
「クリス…大丈夫?」
『クリス、友達たくさんスゴいね。いいなぁ…』
クリス達の後方の少し離れた場所、空に浮かんでアリスがいた
その右手にはアーベル大佐が傷だらけで、捕まれている
『私の知らない人ばかり…ズルいよ』
クリス達の所へアーベル大佐を投げる
「アーベル大佐!」
ノーツ医師が駆け寄り、傷の様子を見ると、応急措置を始めた
『大丈夫、殺してないよ。少し気を失ってるだけ。この人は要らないから』
「アリス…」
『なに?クリス』
「こんなの…アリスじゃない!」
クリスの言葉に、一瞬怯む。だが、すぐに不敵な笑みを浮かべた
『ふふっ、そうね、私は…』
「アリス!クリス!」
二人を呼ぶ声
沢山の人混みから、二人の見馴れた人が三人
「お母様!おばあ様!!それに家政婦のお姉ちゃんも」
クリスの顔が少し綻ぶ
「アリス…」
カフルがアリスを見て、少し悔しそうな顔をしている
『みんな来たんだ…。良かったねクリス』
悲しそうな顔のアリス
リリスはクリスの元へいくと、クリスを抱きしめる
「ダメよ。クリスもアリスにも、儀式なんかさせない。災いは起こらない!」
アリスが、リリスの言葉にフルフル震えだす
その顔は怒りに満ちている
『私達を見捨てて、どっか行ったくせに!』
アリスの言葉を、きっかけにバタバタと木々が倒れ強風が吹き、木々、瓦礫、人々が吹き飛んでいく
本部から更に悲鳴、怒号が激しくなる
アリスは地上に降りると、クリスに手をさしのべる
『クリス来て、私のもとへ』
アリスは笑顔で誘う
「い…いや」
泣きそうなクリス
『どうして?』
悲しそうな顔をするアリス
「だって、誰かが暴れたら殺さなきゃいけないんでしょ?だから、私がアリスを殺すんでしょ?」
そういうと泣き出すクリス
「クリス…」
リリスが、クリスをぎゅっと抱きしめる
クリスの様子をよそに、アリスが、きょとんとしている
『クリス、何言っているの?』
「えっ?だって…」
『死ぬのは私じゃない。クリスだよ?』
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