6月
2020年6月01日 「ブーメラン」
菜食主義者の彼女が肉を頬張る僕を見て嫌悪感を露わに言った。「動物を殺すのは人類最大のエゴよ」気分を害した彼女は立ち上がり、鰐皮の財布から札を出しテーブルに置いて、毛皮のコートを羽織り颯爽と店を後にした。
2020年6月07日 「ハッピーバスデー」
「プレゼント、受け取ってくれる?」『ありがとう。でも、何のプレゼント?』「今渡したのがヒント」『どういうこと?』「プレゼント貰ってどう?ハッピー?」『ええ』「どこで貰った?」『バスで』「そういうこと」
2020年6月16日 「ちょっとした勘違い」
大富豪の爺さんが助けた礼として願いを叶えてくれるという。「メジャーデビューがしたい」「よし、腕を磨いておけ」夢のような話だ。俺はより一層ギターの練習に励んだが、ひと月後にアメリカの地でマウンドにいた。
2020年6月22日 「反応にゴマる」
「ビジネスでは時にゴマを摺ることでも必要になる」ひょうきん者で有名な上司が言った。「媚びることで心を開かせるんだ。開けゴマってな」期待に満ちた表情で俺の反応を待っていたので、俺は曖昧に笑ってゴマかした。
2020年6月28日 「小さいは弱い」
すべての物の小型化が進んだ。飽和時代の中で小さな物の価値が高まったのだ。いつしか人類は自らの小型化を始め、遺伝子操作により、大きさは十分の一程度になった。弱肉強食の世界で人類は淘汰され、消えていった。
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