第14話  煙草の煙と共に・・・

煙草に火を点ける




俺の隣には何の仕事にも耐えることができない男。

酒も煙草も我慢できない。

貧乏ゆすりすらも我慢できない。

全てが面倒で全てが疲れると仰せ。

携帯電話でメールをしながら大きな欠伸をしてる。




煙草の煙を燻らせる




俺の横には中年の女。

腕に内出血して黒くなってる痕。

顔にはファンデーションで隠し切れない青いアザ。

狼狽した笑顔。

汗ばんだ笑顔。




煙草を吸う度に火種が赤く燃える




机の上には請求書の山。

返済の電話が鳴り響く。

身の周りの物は全て売り尽くした。

そして、いつの間にか周りから誰もいなくなった。

泥の船からネズミが逃げ出すように皆、消えてしまった。




煙草の灰が床に落ちる。




脂ぎった肌をした中年太りのおっさんが中指立ててる。

偽物達が大手を振って行進してる。

弱者達が言葉の刃を振りかざす。

言葉や呟きは媚び諂えた輩の悪戯。

小さな箱の中での出来事。





煙草の煙と共に・・・。

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