第31話 手がかり

「見つけたのである!」

探しはじめてから30分後、ケケが戸棚の下から赤い宝石を見つけた。

ここにいる4人のものではない。

「宝探し楽しいのである! これは鍵がかかってる扉の前に置いてくるのである!

ついでに他にどんな宝石が見つかっているかも確認してくるのである」

「よろしく頼みますわ」


ケケは廊下へ出た。しかし次の瞬間、部屋に戻ってきた。

「怖い人がいるのである。近くを歩きたくないのである」

何事かと全員で廊下を覗く。

なにやら男性が背の低い女性に怒鳴っていた。女性はメイドの格好をしている。紙は左右が白と黒で分かれていた。

「いいから早く場所を教えろ!」

「ちょっと待って。今確認しているところだから」

「遅すぎる! あーもう! 使えないなー!」

男性はイライラしたように頭をかいた。


「怒鳴られている女は、説明されていた、宝石の場所を知っている人?」

「ココは察しがいいのである。たぶんそうである」

ケケはココの頭を優しく撫でた。

「男性の方は、あの馬鹿野郎のせいで焦っているのね」

「馬鹿野郎? それって、一番に鍵を開けたあの男の人?」

思わず聞き返した。

「そうよ、あの馬鹿野郎にみんなの前で恥をかかされたわ! あいつが何も言わなかったらもっとたくさんの人が私に賛同してくれたのに」

ナナは怒りながらもショボンと落ち込んだ。

ナナはプライドが高いようだ。


そんなことを思っている間に、メイドは男に宝石の場所を教えていた。

男は言われた通りの場所を探す。男の宝石は意外と近くにあったようで、こちらからも探している姿が良く見える距離だった。

「これでようやく次に進める」

男はわくわくしながら小箱を開けた。


ポンッ

軽い音が聞こえた。男の人は後ろに倒れる。

小箱からは紫色の煙があがっていた。

「毒……」

ココが呟く。

それに反応したナナが激情をあらわにした。

「メイドさん! どうして!?

あなたは宝物の場所を教えてくれるのでは!?」

「場所は知ってるけど、教えてあげるかは別問題でしょ。この男は教えてもらう立場なのに威張っていた。気にくわない」

「気にくわないだけで、人を殺すの?」

怒りで声が震える。

メイドは何も言わない。冷ややかにこちらを見ている。

「この……っ!」

「ネネ、落ち着いて」

ココが私の肩に手を置いた。

「僕達の宝石の場所が分かるなら、教えて欲しいのである」

「いいよ」

メイドは即答した。

「あら。そんな簡単に教えてもらってもいいのかしら?」

「別にあなた達のことは嫌いじゃない。

宝石を見せて」

私はナナに信用しないようにと囁いた。

だが「せっかくの手がかりだから」と言われ、結局メイドの言う通りにすることになった。

教えられた私達の宝石の場所は現在地からは遠いところにあるが、4人の宝石同士はそんなに離れていなかった。

私達はその場所へ向かった。



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