懐中電灯
向こうに光を当ててみたけど、何にも見えなかった。
友達の背中は見えないまま、真っ暗な街を歩き続けてる。
誰からか分からない言葉が私に話しかけてくる。
「だれ?」と聞いても答えてくれないし、「どこ?」って聞いても意味は無い。
複雑な裏路地を通って自分から迷って行ってる気がする。
だんだん知らない屋根の色。
誰かもわからない名前。
電線と電柱だけが見慣れた間隔で置かれている。
難しく考えても、時間が戻るわけでもないのでみたこともない街を歩いてる。
誰が私を見ているの?
ある一本の電柱が目に付いた、何か張り紙が貼ってある。
その張り紙は不思議な張り紙だった。
私が迷った経緯を事細かに、しかも心情までくみ取って書いてあった。
まるで小説みたいだと思ってた。
「ふしぎ・・・。」と一言こぼして、私はそこを立ち去った。
見慣れないブロック塀が私を見ていた。
私は見慣れないブロックがやけに怖く感じた。
多分だけど、これは未知に対する本能的な恐怖だと思う。
その恐怖を振り切った先は何があるのかも気になった。
私は一握りの好奇心を使って、一筋の光を闇に向けた。
私は闇に光を向けた時に気が付いた。
この街に来てから大人が居ないことに。
「わたし・・・だけ・・・?」
私は小さく小さく呟いて、少しだけ微笑んだ・・・。
きっと私以外の人から見たら微笑んでることは分からなかっただろう。
ホントに、ホントに小さく微笑んだ。
「ありがとう」ってね。
『子供は親に逆らうことはできない。』
『恵まれた子供が居れば、恵まれない不遇な子供だっている。』
『その子にとって貴方はどんな存在?』
『消えてほしいのか?いてほしいのか?』
『未来を作り、壊すのもあなた次第ですから。』
『では・・・。』
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