13.タネや仕掛け

 冒険センターに帰った一行は報酬を貰って寮に戻り、準備が出来た者から近所のスープ専門レストランへと向かった。


そこで各々が注文し、コバートはフィッシュスープを、アリータはトマトスープを、テミスはコーンスープを、怜央は味噌汁とパンを頼んだ。

アリータとテミスは追加でワインも頼んでいた。


「パーティー初依頼クリア記念、今日は俺の奢りだ!」


 コバートの大盤振る舞いに乾杯すると、今日の依頼の話になった。


「しっかし怜央さ、あいつの剣てどうやって折ったんだよ?」

「あ、それ私も気になった。教えなさいよ地味――怜央」

「ああ、あれな。実は俺、魔力統制を使って自分の魔力を操れるんだ。今回やったのは魔力を固めて纏っただけ。つまり鎧みたいにしたんだ」

「……それであの時、飛んできた剣を弾いても無傷だったのね」

「その通り」

「しかしあれだな。あのレベルの攻撃を防げるっていうと、実はかなり使える能力なんじゃないのか? そうそうできるもんじゃないだろ、あれは」

「あれくらいだったら余裕だよ」

「余裕!? あの一撃がか?」

「そう。自慢じゃないけどあれよりもっと強い一撃に耐えたこともあるしね。――まぁ、流石にあの時は死を覚悟したけど……」



 怜央は異世界に来る前の龍雪とやったテストの事を思い出していた。

改めて考えてみてもあの威力は異常だしどう考えてもおかしかったなということで、怜央は少しだけ薄ら笑いを浮かべた。


「しかし、俺もひとつ気になったことがあるんだ。テミス。あの時俺は何も言わなかったのに、何でしってたんだ? 俺のやろうとしてたこと」


 テミスは優雅にワインを1口含んだ。

そして焦らすように間を空けて、答えた。


「何でって……。それは私が神様だからよ。神様に見通せぬものなどないでしょ?」


 再びワインを味わうテミス。

それを聞いた皆は「またか……」という反応だった。


「あのなあテミス嬢、そういうことばっか言ってっと友達出来ないぜ?」

「別に構わないわ? 友達なんて、必ずしも必要じゃないでしょ?」

「でもいればいるで……楽しいとは思うよ」

「私は1人でも十分楽しいわ」

「そういうところがダメなのよ! あなた友達出来たことないでしょ? だからわかってないだけなのよ。それに、楽しいだけが全てじゃないわ。人生を豊かにする為にも、見聞を広める為にも交流を持つってことは大切なのよ!」

「「おお〜!」」


 パチパチと拍手を送る怜央とコバート。

アリータは言ってやったぜと言わんばかりに鼻高々なご様子だ。


「なら、友達がどんなもんなのか――貴方たちが教えて?」

「ああいいとも! テミス嬢は今後、俺達無しでは生きて行けない体にしてやるぜ!」

「おうとも! 徹底的に学生生活を謳歌してやろうぜ!」

「……少しくらいなら、私も付き合って挙げなくもないわ」

「――よろしい。がっかりさせないようせいぜい頑張るのよ?」


 テミスは頬杖を突きながらグラスを傾けた。

 結局、怜央の行動を知ってた理由わけは上手く煙に巻かれて喋ることはなかった。

しかしなんだかんだ、このパーティーの仲は最初の時よりも深まっているようで、若干の一体感は見え始めた。

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