第2話 風の堕天使−人間ノ血コソ切リ札ノ鍵−
「優菜。これ持っていって。」
「はーい。」
「失礼します。こちら白身魚定食です。」
「はい。」
「以上でよろしいでしょうか?」
「あっはい。」
「では失礼します。」
そんな風にランチタイムが過ぎ、賑やかだった店内も静かになる。
「ひろ君。優菜。もうお客さんもだいぶ減ったからそろそろ準備して二人でお出掛けしてきなさい。」
とおばさんは二人に促した。
「「あっ、はーい。」」
そして俺と優菜はエプロンをほどき各々の部屋に行くため階段へと上った。
俺は自分の部屋に入り私服へと着替え始めた時に携帯姿だったダビデが喋りかけた。
「お疲れ様です。マスター。これからデートですか?」
「あっ?ああそんな所だ。ってデートじゃなくて少し出掛けるだけだ。」
「女の子と二人きりで出掛ける事をデートと言うのでは?」
「や・か・ま・し・い……」
「マスター。」
「なんだ?」
「べリアルはいつ人を襲うか解りません。一応ファウストグローブと私を持って出掛けて下さい。」
「ん?あぁ、わかった。出来れば優菜と一緒にいる時は出てほしくないな。」
「べリアルは神出鬼没ですので少し難しいかと……」
「それはわかってる。だが優菜をこの戦いに巻き込みたくないんだよ……」
「そうですか。彼女も一般人ですからね…」
「ただ……一般人だけじゃない……俺の幼馴染みでもあるし、血は繋がってないけど家族みたいなものだし。それに、一番大事だった人の妹だしな。」
俺の目には少し涙目になってていた。
やはりまだ彼女であった優梨を思い出すのであろう。
優梨と優菜をたまに重ねて見てしまう事があるようだ。
確かに優梨と優菜は似ている。
もう初めてその姉妹を見た時は誰もが見分けがつかないくらいに……
それくらい似ているのだ。まだ俺は優梨の死を完璧に受け入れきれていないのだろう。
目の前にいるのは優梨ではなく優菜だ。
優梨はもう本当にいないのだ。
本当は忘れて前に進まなければいけないのだが、今の俺にはそれが出来ないようだ。
本当に愛してしまったからだから……と考えて込んでいるとダビデが話し掛けてきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます