屋敷に戻って小休止
無事スライムの核を回収した僕と紅華お嬢様は、
門の前にいたのは、
「よくお戻りになりました、紅華お嬢様。敬斗君も」
二十代半ば、クールな美貌の恒川さんが腰を折る。
「あら、
お嬢様が、恒川さんに気さくにそう問いかけた。
「ええ。最初はなんの冗談かと思いました。箸蔵がそんな冗談を言うはずもないのですが……」
「無理もないわね。わたしだって驚いたんだから。箸蔵はどうしたの?」
「紅華お嬢様は本日異世界にてご一泊の予定と聞いておりましたので、わたしと箸蔵が交替で門の見張りをしていたのです」
「そういえばそうだったわね。ごめんなさい、急に変更してしまって。食事の準備は頼めるかしら?」
「もちろんでございます。そのあいだにお風呂に入られてはいかがでしょうか? お召し物が汚れてしまっておりますよ?」
「森の中を駆けずり回ったものね。森のモンスターも倒したし、盗賊どもも成敗したし、ギルドマスターもコテンパンにしてやったし、さっきはスライムを火あぶりにしたわ」
「それはそれは……」
困ったように、恒川さんがそう応じる。
たしかにそんなの、「それはそれは……」とでも言うしかない。
僕は苦笑しながらお嬢様に聞く。
「本当に盛りだくさんの一日でしたね。ご満足、いただけていますか?」
「もっちろん! 楽しくてしょうがないわ! スライムの核を取ってくるとかは、地味なお使いクエストって感じで微妙だったけどね! 魔法まで使えるようになっちゃったし!」
「魔法……でございますか?」
恒川さんが驚く。
「そ、魔法よ、魔法! ほら――火よ!」
お嬢様が、ぴっと立てた人差し指の先に、小さな火の玉を生み出した。
「わっ! 何もないところから火が……!」
普段は冷静な恒川さんも、さすがに目を見開いている。
「ふふん。すごいでしょ? 食事の時に異世界の話をたっぷりしてあげるわ!」
「それは楽しみでございますね」
お嬢様は恒川さんとおしゃべりしながら、門のある地下室を出、屋敷内の廊下を進んでいく。
ここに来て、僕はどっと疲れを感じていた。
いや、安堵といったほうが近いだろうか。
疲労自体は、日頃から鍛えてることもあって問題ない。
だが、何が起こるかわからないのが異世界だ。
知らず知らずのうちに、気を張っていたということなのだろう。
「ケイ、あんたも一緒に食べるでしょ?」
「ええ、もちろん。箸蔵さんや恒川さんに土産話をいたしましょう」
「その前に、敬斗君もお風呂にでも入って休んだほうがいいでしょう。珍しく疲れて見えますよ?」
恒川さんが若干心配そうに言ってくる。
「そうですね。そうさせてもらいます」
「では、食事ができたら呼びますので」
シャワーを浴び、仮眠をとった後。
お嬢様と夕食をいただきながら、箸蔵さんたちに異世界の土産話(というか報告)をした。
「ほほう、盗賊にモンスター、冒険者ですか」
箸蔵さんは感嘆を織り交ぜつつ、お嬢様の話に相槌を打つ。
いつもながらいい聞き手だと思うけど、今回ばかりは、橋蔵さんの感嘆は本物だろう。
「そのように危険な世界ならば、銃火器を持ち込むべきでしょう」
恒川さんが、直立不動のままでそう言った。
「どうかしらね? あのスライムが相手じゃ、小口径の銃弾なんて意味がなさそうに思えるわ。スライムにも通じないくらいなら、他のモンスターにも通じないと見るべきね」
お嬢様がそう言って肩をすくめる。
(どうだろう)
あのスライムは、実はかなりとんでもない存在だった。
森の中にいた他のモンスターが相手なら、銃火器はそれなりに有効だろう。
また、低レベルの人間を相手にするときには、こちらの世界同様、銃は圧倒的な優位性を持つはずだ。
ただ、銃のなさそうなあの世界で、銃を突きつけて「動くな!」と言ったところで、相手の動きを封じられるとは限らない。
何より、銃弾に「気」を乗せることはできないので、最終的な威力では僕のナイフやお嬢様の拳に劣ることになる。
「ふむ。そのような文明水準の世界では、表立っては使いにくいでしょうな。それでも、必要な時には持ち込めるよう手配しておきましょう」
箸蔵さんがそう言って僕を見る。
お嬢様は銃が嫌いだ。
現代兵器を持ち込むとしたら、それは僕の担当になる。
(冒険者証のインベントリに突っ込んでおけば邪魔にもならないしね)
箸蔵さんにうなずく僕に、お嬢様が不満そうに頬を膨らませる。
「えーっ。せっかくのファンタジー世界、剣と魔法の世界なのよ!? 銃なんて邪道じゃない!」
「わかりませんよ? あの世界にもマスケット銃くらいはあるかもしれません」
「そんなのどうとでもなるでしょ。銃弾なんて、避けるか撃ち落とせばいいだけなんだから」
「まあ、そうなんですけどね」
要するに、向こう側に銃があったとしても脅威になりえず、こちら側は銃があってもなくても大差がない。戦車やヘリでも持ち込めれば別だろうけど、民間用のヘリくらいはともかく、軍用の車両やヘリなんて、さすがの鳳凰院家でも手配ができない。
銃のことはともかくとして、お嬢様は終始上機嫌だった。
こんなに機嫌のいいお嬢様を見るのは何年ぶりだろう。まだお嬢様が今ほどお強くはなく、この世界でも対戦相手を見繕えた頃にはこんな表情を見せることもあった。
(でも、まだお嬢様と手の合う相手を見つけられたわけじゃないからね)
たしかにお嬢様は、盗賊どもやモンスター相手に無双したことで、
だが、この高揚感はけっして長続きはしないだろう。
依頼を受けてモンスター狩りをしてみたところで、スライムパークのスライムほど手強い相手は滅多にいないはずだ。
それに、冒険者のランクを上げるには、弱いモンスターを大量に、継続的に狩って、ギルドとの信頼関係を築く必要もある。
そうなると、これからしばらくは――下手をすれば半年、数年という単位で――お嬢様は拳の一発で確殺できる「雑魚」を掃除して回るだけという事態になりかねない。
そんなことになれば――
(飽きる。下手をすれば三日で飽きる!)
そうなっては元の木阿弥だ。
僕は、お嬢様の今の輝きを、可能な限り長く見ていたい。
そのためには、さまざまな準備が必要だろう。
鳳凰院家のシェフが作った素晴らしく美味しいはずの料理を機械的に口へと運びながら、僕はこれからのことについて様々に思いを巡らせるのだった。
核狩り兼お嬢様への言い訳作り
その夜、
「これくらいなら問題ないかな」
降りかかる雨、草についた水滴、ぬかるんだ地面。ぐしょ濡れになるのは目に見えてるが、その程度で風邪を引くようなやわな鍛え方はしていない。
「とりあえず、スライムの核からだね」
屋敷に戻る前に回収した核は、【看破】によれば《かなり歪んだスライムの核》だった。
「せっかく納品するんだ。お嬢様がドヤれるくらい品質のいい核を用意しておきたい」
お嬢様と一緒にスライムを
「お嬢様のMPはまだ多いとは言えないしね。スライムを狩る効率が上がらない」
僕だけなら、お嬢様の目を気にすることなく魔法を連発することができる。夕刻のスライム炙りでは僕とお嬢様で協力しなければスライムの【自己再生】&【魔力合成】のコンボを破れなかったが、僕には【火炎魔法】や【獄炎魔法】もある。
「【火炎魔法】は上級魔法だって話だったね。僕はてっきり、【火炎魔法】が中級、【獄炎魔法】が上級だと思ってたんだけど」
どちらもまだ試してないが、なんとなくで効果のほどはわかってる。【火炎魔法】は【火魔法】の範囲強化版、【獄炎魔法】はその【火炎魔法】をさらに範囲特化で強化した魔法のようだ。
「今回の目的にはちょっと使いにくいかな。核まで焼いちゃいけないわけだし。まあ、【火魔法】でいいか」
夕刻の時は、僕は【火魔法】の威力をお嬢様に合わせてセーブしていた。単に全力で【火魔法】を撃つだけでも十分そうだ。
今夜のスライム狩りで、僕のレベルはさらに上がってしまうだろう。お嬢様とのレベル差が開くことになるが、今回に限っては都合がいい。
なぜなら、
「『理想のスライムの核をご用意しておきました。その際に、非常に不本意ながらも、僕のレベルが上がってしまいました』……うん、完璧な言い訳だ」
僕はお嬢様に、【鑑定】や【看破】でステータスを見られることを秘密にしている。
お嬢様が調子づいて無理をしないようにとの配慮だったのだが、これは完全に裏目に出た。
最初の晩に徹夜でレベリングしたのは、お嬢様に万一のことがないようにと思ってのことだったが、これもまた完全にやりすぎだった。
その結果、今の僕をお嬢様から見れば、「ステータスなどという面白そうなものを自分に隠し、一人で勝手にレベルを上げた裏切り者」なのである。
ゲームでもコソ練を嫌うお嬢様にこのことを知られたら、たぶん三日は口を利いてもらえない。
「そのためにも上質な核を手に入れなくては」
僕は手近なスライムに忍び寄り、いきなり全力の【火魔法】を叩き込んだ。スキルレベル61の【火魔法】が、夜の草原を赤く染める。
炎の中でスライムは蒸発し、なにやら焦げた核だけが残された。
【看破】。
《焼け焦げたスライムの核》
拾い上げると、黒ずんだ核は僕の魔力に反応する間もなくぼろりと崩れた。
「これでオーバーキルなのか」
どんな恐ろしいモンスターがいるかと身構えてきたのが馬鹿らしくなってくる。
今の【火魔法】は、夜の闇の中では目立ったらしい。
草原のあちこちから、こちらに敵意が飛んでくるのがわかった。
いい加減、気配を探れるようになってきたが、向かってくるのはほとんどがスライム、その中に数匹のレッドスライムが混じってる。
僕はあえて気配は殺さずに位置を変え、スライムたちを誘導した。
スライムたちが一箇所に集まったところで、
「――燃えさかれ!」
【火炎魔法】を叩き込む。
紅蓮の炎が、僕の正面から扇状に放射される。
空の雨雲すら炎の照り返しで赤く染まる中、スライムたちが悲鳴を上げて倒れていく。
スライムは、【火炎魔法】一発で全滅していた。
だが、数匹のレッドスライムは健在だ。
お返しとばかりに、揃ってこちらに【火炎魔法】を放ってくる。
それぞれが別の位置から思い思いの角度で放ってくる火炎放射に、一瞬にして僕の逃げ場がなくなった。
「うわっ、危なっ」
僕はトン、トン、と大きくステップを踏む。
炎の押し寄せてくるのと同じ速度で跳びのきながら、火炎放射の射程を正確に測る。
炎が伸びきった地点で足を止め、
「――地獄の業火に焼かれろっ!」
今度は【獄炎魔法】を発動する。
レッドスライムたちの足元が、いきなり赤く輝いた。
赤くなった地面は瞬時に溶け、火柱を噴き出す溶岩の沼と化して、レッドスライムたちを呑み込んだ。
さすがのレッドスライムたちも、これにはひとたまりもなかったようだ。
「わかってはいたけど、すごい威力だな」
草原は、酷い有り様になっていた。
僕やレッドスライムの放った【火炎魔法】と、その直後の【獄炎魔法】。魔法の効果範囲内だった場所は焦土や溶岩となって赤熱している。
炎はその周囲の草へと燃え広がり、このまま放っておくと山火事になりそうだった。
「【水魔法】――も面倒だね。そうだ、これを」
僕は冒険者証のインベントリから、あるものを取り出した。
あるもの――屋敷から持ち出してきた消火器だ。
僕は消火器の黄色いピンを引き抜くと、ノズルを燃え広がる炎に向け、消火器のレバーを握り込む。
――魔法の炎は消火器では消せないのではないか?
そんな疑問も浮かんだけど、消火器は期待通りの効果を発揮してくれた。
草原の炎がみるみるうちに鎮火する。
「ふう……さて、核は?」
炎が消え、再び闇の閉ざされた草原で、スライムの核を見つけるのは大変そうだ。
僕はスライムのいたあたりに【看破】を向ける。
《焼け焦げたスライムの核》《少し焦げたスライムの核》《焼け焦げたスライムの核》《少し焦げたスライムの核》《ちょっと歪んだスライムの核》《焼け焦げたスライムの核》《焼け焦げたスライムの核》《少し焦げたスライムの核》《歪んだスライムの核》《焼け焦げたスライムの核》《レッドスライムの核》《レッドスライムの核》《焼け焦げたスライムの核》《溶け固まったスライムの核》《過熱したレッドスライムの核》《歪んだレッドスライムの核》……
「うーん、焦げと歪みばっかだね。まだ火力が強いってことかな?」
とりあえず、核を片っ端から拾ってみる。
ほとんどの核は、手に取った瞬間に崩れてしまった。
《歪んだスライムの核》は、僕の魔力に反応して爆散した。
手元に残ったのは、《レッドスライムの核》が2つと、《過熱したレッドスライムの核》、《歪んだレッドスライムの核》がそれぞれ1つ。《過熱したレッドスライムの核》は手に持つと火傷しそうなほど熱かった。
「冒険者証に突っ込んで大丈夫かな?」
MPさえあれば何を入れても大丈夫とは聞いている。
僕は残った4つの核を、ひとまず冒険者証にしまっておく。
「お嬢様と回収したのは《かなり歪んだスライムの核》だったから、さっきドロップしてた《歪んだスライムの核》はそれよりはマシな品だってことだね」
僕が手に持つと爆発するが、手で拾わずに直接冒険者証に収納してしまえば問題ない。
ただ、
「お嬢様が《歪んだスライムの核》なんかで満足するはずもないね」
僕とお嬢様のレベル差を納得させられるくらいには質の高い核を手に入れたい。
「それと、《レッドスライムの核》はオーブの代わりにはならないような気がする」
僕が手にしても弾けないのはいいのだが、どうも火属性の魔力にしか反応しないように見える。冒険者ギルドで新人の魔力検査に使うには不向きだろう。
「【火炎魔法】の威力を調整してなんとかするしかないかな」
僕が核を回収しているあいだにも、草原には続々とスライムが湧いていた。
「一体どこから湧くんだろうね? 無限に湧くのか、それともどこかで打ち止めになるのか……」
まあ、今それを考えてもしょうがないか。
「一晩しか時間がないしね。効率よく片付けよう」
僕は草原全体に殺気を放つ。眠ってるモンスターでも一発で目覚めそうな強烈な殺気だ。草原中にいるスライムやレッドスライムが、一斉に僕に向かって跳びはねてくる。
「誘導してもいいけど、面倒だ。こういうのはどうだろう? ――舐め尽くせ!」
僕は、スライムたちを引きつけると、その場で回転しながら【火炎魔法】を放った。
【火炎魔法】の範囲は、どうやら扇状で固定らしい。スキルレベルが上がったら範囲を変えられるのかもしれないが、少なくとも今のレベルではできないようだ。
その代わりに、術者である僕が回転してみる。
僕の両手から勢いよく噴き出した炎が、赤い尾を引きながら、全周囲から迫るスライムたちを焼き尽くしていく。
だが、【火炎魔法】ではレッドスライムは倒せない。
炎を割って跳びかかってきたレッドスライムをかわし、そこに襲いかかってきた別のレッドスライムの【火炎魔法】を跳びすさってかわす。
「オーブにはならないとはいえ、たぶん何かに使えるよね」
僕はレッドスライムを一箇所に誘導、二度目の【火炎魔法】を撃ち込んだ。
レッドスライムは二度目の【火炎魔法】をも耐え抜いた。おそらく、火属性に耐性があるのだろう。属性とか耐性とか、そんなゲームのような仕組みがこの世界にあるのかどうかはわからないが。
「レッドスライム自身が【火炎魔法】を使うんだ。自分の攻撃に耐性があってもおかしくはないね。じゃあ、弱点属性みたいなのもあるんだろうか? ――水よ!」
――プギャアッ!
僕の【水魔法】は効いたようだが、レッドスライムを倒すには至らなかった。【水魔法】のスキルレベルは24。効いた様子ではあったが、ベースとなる威力が弱いのだろう。
「しかたない」
僕は後退をやめ、レッドスライムの群れへと突っ込んだ。
前は核を壊して倒したが、
「――今回はこっちだ!」
レッドスライムの赤いゲルを、僕は鉤状に曲げた指でえぐり取る。
指に、「破点」を突いた感触があった。レッドスライムの赤いゲルが一気に剥がれ、剥き出しの核だけが残された。
――プ、プギィッ!?
他のレッドスライムたちが驚いた……ような気がする。
その隙を逃さず、僕はレッドスライムたちに襲いかかる。
均一な構造と核という中心を持つゲルは、破点がかなりわかりやすい。というか、ゲルがありえないくらい均質なので、ゲルのあらゆる部分に破点があった。
どんなものにも破点はあるが、ものによって、破点のわかりやすさには違いがある。
その意味でこのスライムたちは、僕がこれまで見た中で、最も破点がわかりやすく露出している。
僕にとってこれ以上狩りやすい相手もなかなかいない。
「ふう……」
レッドスライムたちを一息で片付けた僕は、草原に転がる核に【看破】をかける。
《限りなく完璧に近い状態のレッドスライムの核》《いまだ魔力渦巻くレッドスライムの炎核》《真球のレッドスライムの核》《仮死状態のレッドスライム》
「ひょっとして……こっちのやり方のほうが状態がいい?」
【火魔法】や【火炎魔法】で炙ってしまうと、核に焦げがついたり、熱で歪んだりしやすいのかもしれない。
一方、僕が破点を突いてゲルだけを破壊した場合、残される核の状態は完璧に近くなるようだ。
さっき【火炎魔法】で倒したスライムたちの核も【看破】してみる。
《スライムの核》《若干焦げたスライムの核》《少しだけ歪みの気になるスライムの核》《スライムの核》《状態のいいスライムの核》《まずまずの状態のスライムの核》《スライムの核》《焦げたスライムの核》《焼け爛れたスライムの核》……
「まだ焦げてるけど、前よりはマシだね。回転した分火力が分散して、ほどよい火加減になったのかな?」
手の取ってみると、《スライムの核》《状態のいいスライムの核》《まずまずの状態のスライムの核》は、僕の魔力に耐えられた。
「【火炎魔法】回転撃ちのほうが効率はいいけど、品質はゲルを壊したほうが上ってことか」
今回の目的は、「お嬢様にご満悦いただけるクオリティのスライムの核の回収」である。面倒ではあるが、ゲル破壊で状態のいい核を回収したほうがいいだろう。【火炎魔法】ばかりバラまいてると、草原や森が火事になりかねないし。
「レッドスライムの核はどうしようかな?」
今回はオーブの代わりになるスライムの核が手に入ればいい。だから、レッドスライムの核は必要ない。しかも、核を残して倒す場合、「素手でカラースライムの核を潰して魔法のスキルレベルを上げる」という例の方法が使えないようだ。しかも、今のところレッドスライムの核にこれといった用途はない。
ただ、スライムの核すら貴重品らしいことを思うと、ストックしておいて損はなさそうな気もする。
「ま、そこはバランスかな」
僕は寸暇を惜しんでスライムとレッドスライムを狩りまくる。
最初はしとしとと降っていた雨は、徐々に本降りになってきた。
雨に打たれながら闇の中で戦っていると、どうしても「あの時」のことを思い出す――
「あの時」――そう、僕が紅華お嬢様と初めて出会った時のことだ。
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