第6話 クイーンを召喚しよう。
ダンジョンマスター23日目
ターマイトは30匹に増え、採掘班は6班体制になった。今は3交代で各班8時間づつ、常に2班がダンジョンを作っている。1日に入手できるDPが1000DP近くになったので、数日前からはクイーンターマイトを召喚する為にDPを貯めている。
そして最初に召喚した5匹のターマイトは今までずっと穴を掘り続けてきた為かレベルが20を超えた。それを知ったアンは俺に声をかけてきた。
「レベルが20を超えたようだな。モンスターの詳細欄をクリックしてみろ。」
俺は言われた通りモンスターの詳細欄をクリックした。詳細欄には進化可能と書いてあった。
「なるほど。つまり別のモンスターに進化させることができるって事か。」
「ああ、一定のレベルになると進化させることができる。進化が可能になるレベルはモンスターによって異なるな。」
今ターマイトから進化可能なモンスターは3種類だ。1つはワーカーターマイト。これは恐らく働きアリだろう。2つ目はソルジャーターマイト。これは兵アリだな。最後はフライターマイト。これは羽アリか。
そういえば進化させた後ってレベルとかはどうなるんだ?1からやり直しなのか?
「ちなみにレベルとかはどうなるんだ?」
「ああ、レベルは今のレベルの半分が引き継がれる。スキルは今のレベルで引き継がれるな。それとレベルに応じて進化後にスキルポイントが貰えるな。」
レベルの半分を引き継げるって事は能力の減少はある程度抑えられるって訳だな。それにスキルをそのままのレベルで引き継げて更にスキルポイントまで貰えるのか。じゃあレベルを上げてから進化させた方がたくさんスキルを覚えさせられるな。
今はそんな余裕がないから進化可能なレベルになったらすぐに進化させるけど…でもある程度能力の減少を抑えられるとはいえレベルが半分になれば相応に能力は下がるよな。いったいどれぐらい下がるんだ?
「ちなみに進化直後はどのぐらい能力が下がるんだ?」
「そうだな。進化後のランクにもよるが1ランク上がった場合だと進化直後でも進化前よりも強い場合が多い。0.5ランクだとモンスターの攻撃方法や特性次第だな。」
じゃあ1ランク上がるんだったらすぐに進化させても問題はないって訳か。0.5ランクアップの場合はその時の戦力と相談だな。レベルが下がる分能力が一気に下がると思ったが実際の能力低下はそこまで大きいわけじゃあないって事か。
「進化先は3つあるがどれに進化させるつもりだ?」
「全部ワーカーターマイトに進化させようと思う。今はダンジョンの拡張が最優先だ。それに覚えさせたスキルもダンジョン拡張に特化させているからな。」
「そうだな。私もそれがいいと思う。」
「じゃあ全部ワーカーターマイトに進化させよう。進化の方法は…進化先を指定して進化させるを選べばいいんだよな。」
「ああ、それで合っている。」
俺は進化先を選び、進化をさせるを押した。するとターマイト達の足元に魔法陣が現れ、ターマイトを光が包み込んだ。やがて光は消え、俺の目の前には一回り大きくなったターマイトが居た。俺はモンスターの詳細を確認した。
ワーカーターマイト Lv11 ランクE-
保有スキル 採掘速度アップ+4
適応スキル 虫モンスター強化Lv2
害虫強化 Lv1
残りスキルポイント 2
名前も変わっているな。レベルはアンの言っていた通りちょうど半分か。ランクはFからEに上がっているな。
「1ランク上がったが、ランクEってのはどのくらいの強さなんだ?」
「武器を持った人間と五分五分といった感じだな。まあ、この種族の場合は戦闘要員としてソルジャーターマイトを作った方がいいだろう。」
そうだな。スキルもダンジョン作成に特化させているし、そもそもこのモンスターは戦闘向きじゃないだろうからな。このモンスターを戦闘に参加させるとしたらよっぽどの危機だろう。
俺は残りの4匹も同じようにワーカーターマイトに進化させた。そして俺は早速進化させた5匹を作業に当たらせた。作業速度は5割増しといったところだ。これでダンジョンの採掘作業が格段に速くなる。
「残りのターマイト達も同じようにワーカーに進化させる感じか?」
「ああ、全部ワーカーに進化させれば作業速度は格段に上がるだろう。多分30匹を全部進化させれば予定よりも早くダンジョンを作れるはずだ。」
採掘速度が5割も上がったのは嬉しい誤算だ。上がってもせいぜい2~3割だと思っていたからな。これなら予定よりも早くダンジョンが作れそうだ。DPの上昇速度が早くなれば予定よりも早くクイーンを呼び出せる。結果として戦力の増強につながるはずだ。
俺はワーカーの作業速度に感心しつつ次の手立てを考えた。
ダンジョンマスター30日目
いよいよこの日が来た。ダンジョンポイントが1万DPを超えた。これでターマイト達の女王であるクインを召喚できる。俺は内心興奮していた。
「とうとうここまで来たな。ちなみにこの日数は予定通りなのか?」
「いや、予定よりも数日早かった。ワーカー達が予想よりも早くダンジョンを作ってくれたおかげで予想よりも早くDPが貯まった。」
「なるほど。それは嬉しい誤算だな。では早速呼ぶとしようか。」
そうだな。早速召喚するとしよう。
俺はモンスター一覧からクイーンターマイトを選択した。今までは「ポイントが足りません」と表示されていたが今はその表示はない。俺は召喚のボタンを押した。
召喚のボタンを押すと魔方陣が地面に現れた。その大きさは今までで一番大きい。そして色も今までとは違った。強いモンスターだと魔方陣の色も変わるのか?
やがて光は消え、魔方陣があった場所には6m程のターマイトが現れた。やはり女王と言うだけあって大きい。
俺は現れたターマイトの詳細を確認した。
クイーンターマイト Lv1 ランクD-
保有スキル なし
適応スキル 虫モンスター強化Lv2
害虫強化 Lv1
ランクは今までのモンスターの中で一番高いな。でも前線には出せないモンスターだからあまり意味はないか。
「ふむ。どうやらなるべく深いところに卵を産むための部屋を作ってほしいといっているな。」
「アン、このモンスターが言っている事が分かるのか?」
「ああ、完璧とまではいかないが会話が出来る程度には分かる。」
そうか、モンスターが何を言っているのかがわかるのは大きいな。でも、さすがにアンでも全部のモンスターの言っている事がわかるって訳じゃなさそうだが。
それにしても卵を産むための部屋か。現状の最深部はこの第3階層だ。予定じゃとりあえず第5階層にクイーンの部屋を作る予定だ。
30匹を投入して1本道で第5層まで掘ったとしても1週間弱はかかるな…それに全部を投入したら他の工事がストップする。ここは各班から要員を抽出して採掘班を新たに作るのが得策だな。
「部屋についてはすぐに掘るように手配しよう。ひとまずこの階層にある戦闘用の大部屋を使って貰うように伝えてくれないか?」
「ああ、わかった。」
アンは彼女に俺が行ったことを伝えた。彼女からの回答は部屋は無理に作らなくてもよいとの事だ。理由を尋ねると深いところに部屋を作る理由は、産卵を安全な場所で行いたいからとのことで産卵自体はよほど悪い環境でなければどこでも出来るとの事だ。
だがいずれにしても彼女の為の部屋は作らないといけない。彼女はこのダンジョンの要になる筈だ。彼女が倒されるようなことがあればモンスターの補充が大幅に制限されることになる。安全な場所に部屋を作ることは重要な課題だ。
俺は各班から1匹づつターマイトを選び、女王の部屋を作る予定の第5階層までの1本道を掘る班を編成させた。順調に行けば1週間ぐらいで通路と部屋が出来るはずだ。勿論この通路は後で変更する。
さて、これでいよいよソルジャーターマイトの量産を始めることができるな。恐らくこの種のモンスターは数を揃えることで真価を発揮するはずだ。猶予期間が終わるまでになるべく数を揃えないとな。
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