野外で合法的に全裸になりたかったので、オーストリアで混浴してきた

@the_naked_sun

全裸、その前に

 服を着るのが苦手だ。できることなら裸で生活したい。


 ビジネスホテルに泊まるときは大抵全裸だし、男女関係なく素っ裸で過ごしたら、さぞ気持ちがいいだろう。


 そんなことを呟こうものなら、不審者扱いされるのは目に見えている。挙句の果てに、公共の場で脱ぎだして陰部を露出する不審者予備軍と誤解され、警察のお世話になるかもしれない。


 だが、よく考えてほしい。ああした人たちは、自分の全裸、特に陰部を見てほしいのであって、裸になりたいのとは少し違う。それに、皆様も思うことはないだろうか。たとえば大浴場に浸かったときの安らぎ。もしもそれが露天風呂だったらなおのこと心が緩み、湯の中に嫌なことが溶けていく思いがしないだろうか。


 目の前にどこまでも緑が、あるいは紅葉が広がっていたら。あるいは、絶えることのないとどろきを繰り返す海洋が広がっていたのなら。これほどまでに自由を感じつつ、大いなる存在に受け止められている安心感を覚える場所はないはずだ。何も身にまとうことなく立っていると、海風が全身をそっと撫でていき、普段どれほど重いものを身にまとってきたかを、嫌でも意識させられる。


 とはいえ、男女混浴が可能な場所は国内でも限られている。ましてや、近年は混浴のマナーの低下が甚だしく、混浴を取りやめてしまう地域も多いと聞く。ある意味では仕方がないのかもしれない。混浴が誕生した時代とは、私たちの羞恥心の感覚も変わってしまった。


 そういうわけで、私は混浴文化がまだ息づいている、ウィーンにまで足を運んだのである。概して、ドイツやオーストリアを含む中東欧の人々は裸体に対するタブーが弱く、混浴についても寛容なである。緯度が高いので、全身で太陽を浴びたいのだろうか。冬になると日照量不足で気分が落ち込む私としては、その気持ちはよくわかる気がした。

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