第92話

「お帰り、泰道くん」

「ただいま、さくら」

さくらの笑顔を見ると、ほっとする。


馴染んでしまったのか・・・


「どうだった?」

「何が?」

「ひいひいおじいちゃんと、ひいひいおばあちゃん」

「元気だね。いろんな意味で・・・」

「よかった。気に入ってもらえて」

いえ、気に入ったとは、言ってません。


まあ、悪い人ではなさそうだが・・・


「お父さんと、お母さんは?」

「仲良さそうだね・・・って、さくらたちはハーフだったんだね」

「うん。そうだよ。」

「僕も、ハーフだよ」

「泰道くんのは、ハーフとは言わないよ」

わかってますよ・・・さくらさん。


「泰道くん、今日はのんびりしてね」

「いいの?」

「うん。晩御飯は適当に食べて。厨房は開けておくから」

自炊するのね・・・


「私は、出かける用事があるから、明日までお別れだね」

「大袈裟な・・・」

「私は君に会えないのは、1日でも永久に感じるよ」

何だろう?

何が言いたいんだ?


みずほさんは、さくらは寂しがり屋と言ってたし、僕もそう思う。


しかし、プライベートな事には、首を突っ込まないのが吉。

触れないでおこう。


さくらは、ぽんと手を叩いた。


「なんだったら、晩御飯は作ってもらおうか?頼んでみるよ」

「さおりに?」

さくらは首を横に振る。


「みずほさん?」

「みずほお姉ちゃんも、私とどっこいだから」

となると・・・


「あすかさん?」

「うん。あすかお姉ちゃんは、料理が美味いんだよ。

姉妹の中では、1番ね」

「そりゃ、楽しみだ」

「じゃあ、頼んでおくね」


さくらは、走って行った。

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