第82話

「いらっしゃい。さくら屋だよ。

お好み焼きと、たこ焼きが美味しいよ。

お好み焼きは関西風だよ。

そこの、お兄ちゃん、買ってかない?


えっ、ひとつずつ?


お兄ちゃん、将来もてもてだよ。

サービスしちゃう。


泰道くんも、どんどん焼いて。

私も焼くから」


さくらは、ひとりで盛り上がっている。


今、僕とさくらは、屋台でお好み焼きと、たこ焼きを売っている。


「泰道くん、今度うちで模擬店を出すから」

「どこで?」

「駅前」

「人が来るのか?」

「うん。言ってなかった?」


確か、夏祭りがあるんだな。

名所は殆どないのに、行われるということは、避暑だな。


かすみ静養館が、毎年行っているようだ。

この日限定で・・・


宿泊施設もないから、とんぼ返りか・・・


まあ大阪で言うなら、淀川の花火大会みたいなものらしい・・・

花火はないけど・・・


「でね。店の名前は『さくら屋』で、登録しておいたから」

「用意がいいね」

「うん」


文句はやめておいた。

無駄だし・・・


そんなわけで、ふたりでお店をやっている。


周りを見ると、さまざまな模擬店がある。


「さくら、あの人たちは」

「うちの入居者と、相棒さんだよ」

「初めて見るな。ファミコンの隠れキャラみたいだ」

「そんな、いいものではないけどね」

「確か、紹介してくれると・・・」

「忙しかったからね。お互いに・・・」


これを機会に、親睦を深めようとしたが、やめておいた。


向こうのほうでは、千夏さんとその相棒さんが、茶店をしている。

秋吉さんと久子さんは、豪快?にバーベキューだ。


「さくら」

「何?」

「食材は、どこから手に入れた?」

「泰道くん」

「はい」

「男の子は、細かいことにはこだわらないの」


細かくないです。

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