第74話

「私、弟が出来て嬉しいよ」

そういう意味だろう。

そうしておこう。


まあ、僕もお姉ちゃんが欲しかったので、いいが・・・

あの4姉妹に、溶け込んでいるな。


Qちゃんを、ゆきおの待つ浴槽へ連れて行く。

哺乳類と鳥類でも、心は通じ合うのか・・・


淡水や海水は、無視しておこう。


後で、ご飯を持ってくるか。


そういや、ゆきおの世話は、さくらだったか・・・

彼女が、用意していたのか?

Qちゃんの食事も・・・


「ヤスミチ、ゲンキ。ヤスミチ、ゲンキ」

パンナが飛んでくる。


さくらは近くにいるのか?


フクロウの竜も、飛んでいる。

元気なことで・・・


「さてと」


外へ出てみる事にした。

まだ、見ていない所があるかもしれない。


中庭には、アリゲーターのダイルが、寝そべっている。


千夏さんが、日傘をさして、読書をしている。

ご婦人という感じだな。


僕に気付いて、微笑んでいた。


中庭にしゃがみこんだ。

うん・・

何かいるな・・・


腕を何かが登ってくる。


「てんとう虫?」

ナナホシテントウが、いた。


小さいけれど、アブラムシには天敵なんだな。


かわいいな。

さくらに見せてみよう。


さくらが、こいつが苦手ってことは・・・

さすがにないか・・・


「泰道くん、ここにいたんだ」

「さくら、昨日ぶり」

「うん、昨日ぶり。」

さくらのプライベートには、踏み込まないでおこう。


それが吉。


「泰道くん、何しているの?」

「ナナホシテントウがいたよ」

さくらに、見せる。


見せるが・・・

まさかが起こった。


「キャー、ごめん泰道くん、その子、どこかにやって・・・」

「えっ?」

「私、だめなの。てんとう虫だけは、だめなの・・・全般に・・・」

かなり、取り乱している。


仕方ないので、逃がした。


「さくら、飛んでったよ」

「本当に?」

「うん」

「もう、いない?」

「うん」

「まだ出たら、私を守ってくれる」

「うん」

「よかった」


安堵のため息をつく、さくら・・・


意外だな。








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