第40話

「ここ(かすみ静養所)にも、水族館はあるよ」

さくらは、先日言ってたが、足を踏み入れたことはない。


でも、イルカは飼えないだろう・・・

当然、クジラやシャチも飼えないわけで・・・


簡易的なものだろう・・・


「泰道くん、ここへ来てよかった?」

連れて来られた、水族館だろう。


「うん。いい刺激になったよ(別の意味で)」

「それは、よかった」

さくらは満面の笑みを浮かべる。


否、浮かべてくれてると表記したほうがいいか・・・


「ところで、さくら」

「何?」

「僕をここへ連れてきた、本当の目的は?」

「本当の?」

「イルカに会わせせるのが、本当の理由ではないだろう」

さくらは、頭をぼりぼりかいている。


「やっぱり、ばれていたか・・・」

「そりゃあね・・・」

「実はね。君に紹介したい子が、他にいるんだ」

「他に?」

「うん」

人間でないのは、確かだな。


「おいで」

さくらが合図をすると、ペンギンが入ってきた。


「さくら・・・この子は?」

「無知だね、泰道くん。イワトビペンギンよ」

「それは知ってる。なぜ、ここにいるの?」

「君に飼ってもらいます」

「なんだって?」

「この子を君に、飼ってもらい、従業員にしてもらいます」


しばしの時が流れる。


「どこで飼うの?」

「かすみ静養所」


当たり前のように、答える。


さくらさん、あなたは何者?


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