第34話

「泰道くん、そろそろ行くよ」

「了解」

さくらと並んで歩く。


「さあ、我が相棒よ。新しい食事の始まりだ」

「大袈裟な・・・」

さくらの、発言につっこみを入れる。


ペンション風の建物・・・

でも、中は・・・


「さくら」

「どうしたの?」

「ここに、静養に来て、逃げ出した人いる?」

確認のために、訊いてみた。


「いないよ。少なくとも私が来てからは・・・」

「本当に?」

「うん。でも、それ以前にも例がないんじゃないかな・・・」

意外だ・・・


フクロウの竜が、羽を休めてる。


「あの子たちの餌はどうしてるの?」

「餌?」

なぜか睨まれるが、その意図を悟った。


「食事は、どうしているの?」

「心配しなくても、与えてるよ。でないと、大変だし・・・」

与えるはいいんかい。


「あっ、お兄ちゃんとお姉ちゃん、遅いよ」

「ごめん、余裕を持ってもらおうと思って・・・」

姉妹で、会話をしている・・・


この4姉妹は、最初は同一人物ではと、漫画のような事を考えたが、

そんなベタな展開には、ならなかった・・・


上のふたりは・・・

やめておこう・・・


「さっ、お兄ちゃん、食べてね。すぐに、用意するから・・・」

「ありがとう。ところで、さおり・・・」

「何?お兄ちゃん」

「さおりは、どうして料理をするようになったの?」

念のために訊いてみた。


「上の3人が、みんな料理が下手で・・・」

「ストップ。いいよ、さおり・・・」

「そう・・・」

あわててとめた。


反面教師か・・・


「僕も手伝うよ」

「だめ。お兄ちゃんはじっとしてて・・・」

「でも・・・」


さくらの、視線を感じる。


「泰道くん、さおりには紳士的だね」

「理由は、自分の胸に聞いてみろ」


しかし、女の子にこんな口のきき方をしたのは、初めてかもしれない。


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