第三章 第二話 二次会はファミレスで

 カラオケを終え、俺たちはファミレスへ向かうことにした。


 さすが繁華街近く、色んな人が交差し賑わいを見せる。


「どうした宏? 行くぞ」


「いや、人多いなって思って」


「あーそうだな。この時間帯帰宅する人や飲みにいく人も多いからなぁ」


「二人ともなにしてるの? 早く行くよー!」


 俺と亮夜は同時にお互いの顔を見つめ、苦笑いする。


「今いくよ、真吾」


 俺はそう言い真吾について行くのだった。


 ファミレスに着き、俺たちは席へと座る。


「二次会だよ! イェェェイ!!」


 真吾はそう言い右腕を挙げ、そのまま俺たちの向かいに座る。


 俺は「いぇぇぃ」とちょっと反応し、奥の方へ座った。


 彼の勢いに押されてしまった。


「なんだ宏? ノリいいじゃねぇか」


 亮夜が俺を微笑みながら俺の隣に座る。


「い、勢いで……」


「勢いでも反応してくれたことが嬉しいよ! さっ、何食べようか」


 そう言い真吾はメニュー表を取り出し、俺たちに見せるように開けた。


 俺と亮夜はお互いメニュー表を見て、何にしようか考える。


 そこで聞き慣れない声が亮夜を呼んだ。


「あれ? 水島くん?」


 俺たちはその声に反応し、全員振り向く。


 そこに立っていたのはコップを片手に俺たちを見ている優しそうな男の人だった。


 あれ? どこかで会ったことあるような?


「あっ、桜星(おうせい)さん。こんちはっす!」


「こんにちは、彼らは君のお友達かい?」


「はい、そうっす」


「ふーんそうなんだ」


 そう桜星と呼ばれる人が言うと、俺から見て正面の三席先から彼を呼ぶ声が聞こえる。


「おうせぇぇぇ、早く座れよ! ガァハハハハハハ!」


「はぁぁぁ、もう今いくからちょっと待って! ごめんね、騒がしくて。もう行くよ、じゃ」


 そう言い彼は軽く手を挙げ、席に向かった。


「あの人は誰?」


 俺は亮夜にそう質問する。


「あぁ、俺のバイト先の常連さんだ。いつも店の奥の席に座ってるんだが——って岩城どうした?」


 真吾を見ると、腰をひねり立ちながら桜星さん達を見ている。


「真吾?」


「……ん? あぁあ、ご、ごめんね。ちょっとボーッとしちゃったよ。あははは」


 そう言い笑顔で答える。


 亮夜が心配そうに「岩城、大丈夫か?」と聞く。


 真吾は「大丈夫、大丈夫。ほら、料理頼もうよ」とメニュー表の写真を指差す。


「真吾は見ないの?」


「僕はもう決まってるから。ほら、早く早く〜」


 俺たちはそう言われ、料理を決めるのだった。


 その後は料理を注文し、それを食べて、店を出た。


「いやー、美味しかったねー」


「そうだな。やっぱり大勢で食べる方が美味しいな」


 俺は「うん」と頷く。


「それじゃみんな。屋敷で会おう」


「あぁ」


「屋敷で」


 そう言い俺たちはファミレスで解散した。


 俺は自室へ帰り、風呂に入ったり、宿題したり色々していたら時刻は午前零時。


「寝るか」と大きな独り言を言うが、誰も反応はない。


 改めて一人なんだなと感じながら、布団を敷き、倒れるように横になる。


 はぁ、またあの世界に行くのか。


 そう思いながら瞼を閉じた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る