問0-4 神の正体
……僕は心の中で祈っていた。
「神よ、――どうか我に力を与えたまえ」
僕は唯物論者である。見たこともない、感じたこともない、神などというものの存在を、認めることはできない。神とは弱い人間の心が創り出した、脳の中の幻想にしか過ぎないのである。
「神は死んだ――」
過去の偉人の言葉である。されど死んだのではなく、最初から存在していないのである。だがしかし、だがしかし、現状は、針のむしろ。背に腹はかえられない。
無神論者だった僕は、悔い改め懺悔した。たった今から、席替えのために、席替えという神事のために、神を信じることにしたのである。
「神よ、――どうか我に、白鳥の隣の席を与えたまえ」
我ながら、軽薄であり、滑稽の極みである。
つづく
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